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わたしには何もない、の先にあること

前回、いかに自分が自己啓発・健康・スピリチュアルにどはまりし、それをどのように止めたかを書いた。なぜ私が沼にはまったか。それは自分に自信がなかったから。人に見せたくない、自分でも見たくない自分でも、スキルアップしたら自分で自分を好きになるし、人にも好かれると思ったから。今思う。完全に仮説が間違っている。多分、周りの人たちもそのことについて教えてくれていたと思う。だけど全くそのアドバイスを受け入れられなかった。だって信じ込んでるんだもん。他に何も見えないんだもん。

この2年で「わたしには何もない」と思った瞬間が2つある。正直きつい、というか現実を受け入れがたくて、ぼんやりしてしまったりする。1つ目は2年前。大学時代の元彼に会うことになったとき。恋人というより、大親友という感じで何でも話したし、とても楽しかった。彼は新卒で入った会社で働き続け、職場で出会った人と結婚し、2人の子供がいる。おまけに昇進して年収四桁万円だ。かたや私はアラフォーの派遣社員で結婚はおろか、彼氏もいない。自分がみじめで、それまで会えなかった。彼に会う前だか、会った後だか、私はふと思った。「非正規雇用で独身、これが私だ。」わたしには結婚も仕事も何もない。ゆるぎない真実。しんどすぎる。仕事の昼休み、外を歩きながらそれを思ったとき、涙が落ちた。でも、これを受け入れたら、それをつっこまれることにおびえなくなった。「非正規雇用で独身。うん、そうだね。」

2つめのきっかけは今週月曜日、転職の面接で、面接官である社長と一対一で話していた時のこと。私はちょうどリーマンショックの時にイギリス留学から帰国し、就職がうまくいかず派遣社員、さらにイギリスに戻るために少しでも海外と近い仕事につくため転職を重ねていた。しかも、ちょっとずつ職務内容のフォーカスが異なり、職務経歴書の印象が悪い。各職場ではそれなりに重宝がられたと思うのだけど。正直感じの悪い会社で社長だったし、求めているポジションと私の経歴のミスマッチが発覚し、既に破談が見えていてた。社長は言った。「これならできる、っていうことは何?」えーとえーと、リサーチはまあ回せるけどな?でもここでは役立たなそうだし「ありません。」と私は言った。質問はないかと聞かれて、ないと答えると、社長はにっこり笑って「以上です。」と言った。私は解放された。ブランクがあったり、派遣社員だったとはいえ、がんばったのになあ。正社員と比べてよくやったこともあるし、人にはできないこともたくさんしてきたけれど、こういう場で「これならできる」って言えることがないんだなあ。キャリア分断して点在しちゃってるもんなあ、「わたしには何もない。」と痛い足で歩きながら思った。

でも、な。私小さいながらもワークショップを自分でやってるよな?企画も、アレンジも、告知も全部これまでの経験を駆使してできてるんだよ。すごいことだよ。何もなくはない。これまで転職エージェントや会社の面談で、何度も自分の経歴を後ろめたく思って突っ込まれないように、ごまかしてみたり、被害者ぶってみたり、強がってみたり、気にしないふりをしてきた。うん、私には日本の転職業界における高ポイントな項目がない。うん、ないわ。でもその軸以外では色々、それこそかなり色々な経験をしているのだ。もだえるほど見たくなくて、受け入れたくなかった「わたしには何もない」。でもその先に、まだ、見ていなかったものがある。

#エッセイ #随筆 #転職 #読みたいことを書けばいい

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