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『銭湯の女神』 星野博美

「星野博美の『銭湯の女神』っていうエッセイ読んだことある?」というLINEが届いた。聞けば彼女のすごく好きな本で、既に3、4回買っており、その度に友達にあげているとのこと。ちょうど前日、この本を古本屋で見つけたらしい。いつもなら吉祥寺か、知人のカフェで待ち合わせをして受け渡しをするが、このご時世なので郵送してくれるという。コロナで閉塞的な雰囲気が漂う中、彼女のくれた連絡は楽しいし、温かくてとても粋だ。

お菓子や手紙と一緒に届いた本を少しずつ読んでみた。著者の星野さんは写真家でノンフィクション作家らしい。そう言えば友人が以前、香港返還を書いた『転がる香港に苔は生えない』も勧めてくれていたことを思い出す。彼女が通う銭湯や、原稿を書く吉祥寺界隈のファミリーレストランで思ったことなどのエッセイ。銭湯に持参するセットについて、銭湯で出会った女神を街で見かけた話、ファミレスの常連スタッフについて思うこと、香港と日本の違い、などなど。

公共の場所での他人の振る舞いにイラッとしたり、世を憂いてみたりするけれど、何かの行動は起こせない自分。星野さんはそれを文章にする。別の国にも暮らしたことがある人だから、より日本の人々の違和感に気づけるのだろう。日頃「なんだかなあ」と思うことがある人は共感ポイントがたくさん見つかると思う。

私も世の中に憤りを感じることは多々あるけれど、彼女はもっと多そうだ。どう解消しているんだろう。感受性が豊かだから、美しいものや喜びを感じているんじゃないかと憶測する。私は、それが読みたい。

164.『銭湯の女神』 星野博美

●この友人がこれまでに勧めてくれた本


2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

#銭湯の女神 #星野博美 #読書感想文 #本

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