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『シェフを「つづける」ということ』 井川直子

料理人、飲食店を営む人はかっこいい。おいしいものを作れるから。自分で決断して経営しているから。そんな飲食店の人々がコロナ時にどうしているかという連続インタビューを、この本の著者井川さんがnoteで発表していた。店をいったん休むのか、開くのか、テイクアウトに切り替えるのか、それらを組み合わせるのか。立地やお店の形態(レストラン/バー/居酒屋…)に加え、お店が大事にしていること、表現したいことは何なのかといった思想まで伝わるインタビューたちだった。インタビューを受ける飲食店の人々もかっこよかったが、インタビューをする井川さんもご自身の仕事を全うしていてなんてかっこいいんだと思った。ああ「かっこいい」しかかけない私の語彙力よ。でも、本当にかっこいいのですよ。

その井川さんの著書『シェフを「つづける」ということ』を読んだ。この本の前に『イタリアに行ってコックになる』というイタリアに飛んで学んだ料理人やサービスマンたちについての本があったらしい。(残念ながら絶版のよう)この中から15人がどうなったかを追跡した本。日本各地のほか、イタリアや別の国で店を開いた人がいる。車椅子に乗ることになった人がいる。どんな店を作りたいのか、イタリア料理の何を自分は表現したいのか、その夢を叶えるにはオーナーシェフになるのがいいのか、立地はどこがいいのか、資金繰りは、食材は地元のものか、イタリアから空輸するのか、どんなトラブルがあったか。夢中になって読んでしまった。

なんでこんなに面白いんだろう。きっと机上の空論ではなく一人一人が自分で体験し、考えてきたことだからだ。さらに海外でやってみようという好奇心と行動力、そして現地でやっていくためのオープンさ、柔軟性と自立性とを兼ね備えた人間的にも魅力的な人々。井川さんの文章を通じて彼らの思想と実践に触れると、自分の心まで沸き立つ。

失敗もしているし、つらいこともたくさんあるような彼ら。でも、本当にかっこいい。

172.『シェフを「つづける」ということ』 井川直子

●井川さんの本


2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

#シェフをつづけるということ #井川直子   #読書感想文

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