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わたしはもっと人にやさしくあれる。

夕食を食べながら関ジャムの録画を父と一緒に見た。
音楽プロデューサー3名が選ぶ2021年の年間ベスト10の前半をやっていた。

この番組のこのコーナーで、これまであいみょんや髭男に出会った響子は、今回もかなりわくわくしながら見ていた。

いしわたり淳治の第9位。
響子にとっては新たな出会いではなく、再会だった。

ハタチくらいから3年ほど毎日のように聞いたYUKIだった。
当時付き合っていた彼氏がYUKIのファンだったことから響子も聞き始めた。
最初に好きになった曲は「ハローグッバイ」だった。
髪もボブにしたし、服装もパステルカラーをよく着た。

でも彼氏と別れたことをきっかけに、あまり聞かなくなった。
思い出さないようになんとなく避けていたようにも思える。
今はセミロングのパーマだし、カジュアル路線のファッションだ。

でもあの優しいメロディが、大学時代の響子を今に連れてきた。
自分の興味のあることに純粋に向き合っていた。
人の冷淡さや卑怯さを知らなかった。
人の善意を疑わず、素直に接することができた。
あの頃の自分と再び会えた。
あの頃の自分が好きだった。

今はたくさんのことにむかつくし、いらつくし、人を見下すし、軽蔑するし、真剣に取り合わないようにすることも増えた。
自分が傷つかないように、要領よく生きるようになった。
あの頃の自分は、今の私になりたかっただろうか。

YUKIをイヤホンで聞きながら布団に入った。

人の悪意なんかに気づかなくたっていい。反応しなくていい。
不機嫌な人はそっとしておけば良い。
騙されてバカを見ても良い。
私はもっと人に優しくあれる。
YUKIのメロディと声が響子の頭をやさしく撫でてくれたような気がした。



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