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芸術家たちの試行錯誤①

 早いもので、もう9月…ということは、今年も残り4ヶ月ですね。8月の後半には、東京でいくつか展覧会に行ったので、そのことについて書いてみようと思います。
 まず東京都美術館で開かれていた「マティス展」、旅行で不在だったり足を捻挫したりで、閉会ギリギリになって滑り込みで見てきました。毎年、8月15日の都内は道路も街中も比較的空いているのですが、この日も午前中は山手線はガラガラ、美術館もほどほどに空いていて助かりました。
 マティスは20世紀のフランスを代表する画家で、ニースのマティス美術館Musée Matisse de Nice や、パリのポンピドゥセンターに行くと多くの作品が展示されています。フランスに住んでいた頃はいまいち良さがわからず、ピンとこない画家だったのですが、今回の大規模な展示会はかなり充実していて私なりに新たな見地から楽しめました。
 「色彩の魔術師」と言われ、原色を大胆に使った鮮やかな色彩が目に飛び込んできますが、初期の作品はかなり暗めな色使いが印象的でした。会場にはクロッキーや彫刻も数多く展示されており、色のついていない作品においては尚更際立つ独特なライン、そのダイナミックさにも魅せられました。彫刻は同じ対象物の連作を見ることで、試行を重ねながらフォームが変化していく様子を見てとれます。

マティスは彫刻を手がける理由について、絵画制作における「補足の秀作として、自分の考えを整理するため」と述べている。鑑賞の際はぜひ、絵画と色彩を持たない彫刻のつながりを感じていただきたい。

美術手帖

 立体作品群を見ることで、3次元に在る物を2次元の平面に落とし込んでいくプロセスを想像させられたのは、面白い体験でした。今度は逆に平面的な2次元の絵から3次元の立体空間を想像してみると、まるで物が浮遊しているように配置された不思議な図から、空間を捉えられるような気がしてきました。
むしろ空間の魔術師、的な。



マティスはヴァイオリンが弾ける音楽好きとして有名で、ヴァイオリンを弾く人物をよく描いていました。晩年には『Jazz』と題した、躍動感のある切り絵の画集を発表しています。マティスの子供たちは父親の教育方針で、幼少期からピアノやヴァイオリンなど楽器の厳しい練習に励んでいたそうです。


こちらの作品は「ラ・フランス」と題されているのですが、ナチスに占領されたフランス国民の誇りとナチスへの抵抗(レジスタンス精神)を表現している女性なのだそうです。

 晴れやかな気分でマティス展を後にし、ふと振り返ってみて気がつきました。都美って、、、都美って、動物園の隣なのね!?
いつも噴水まで歩いてから、右折か左折か迷うのだけれど、どちらにしたって一体どれほど遠回りしていたのだろうか…

パンダと都美、衝撃の並び


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