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逆効果のナッジ

今回もナッジについて。
前回のナッジはこれでした:

では今回の記事に入ります。

フレーミング

有名な話だが、医者が患者に手術の説明をするとき、「死亡率10パーセント」というよりも「成功率90パーセント」というほうが、患者を説得しやすいという。
電気の使用量を「環境への貢献度」として提示すると、単に「使用量の削減」と提示するよりも節電につながりやすい。
もし「塩分5割残存」と書いたらその減塩醤油は売れないだろう。実際には「塩分5割カット」と書いてある。

これらは「フレーミング」と呼ばれ、
人は同じ内容の情報を異なる表現で提示された場合に、異なる解釈をし異なる反応をする
ことを意味する。

「フレーミング」は「ナッジ」の一種。
ナッジとは、おおざっぱにいうと、
「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・穏やかなテクニック」
を指す。

応用

この「フレーミング」を協会に活用できるだろうか。

数字を述べる際の表現例を挙げてみる。

★活動への参加勧誘

  • もとの表現:「2割の会員が参加しています」

  • 改良された表現:「まだ8割の会員がこの素晴らしい経験をしていません」

★会員募集キャンペーン

もとの表現:「100人が参加しています」
改良された表現:「限定200人中、半数がすでに集まった!」

★会員資格の継続

もとの表現:「退会率は1割です」
改良された表現:「9割の会員が毎年継続しています」

★講座の受講促進

もとの表現:「xxx人がこの講座を受講しました」
改良された表現:「xxx人がこの講座を選んだ理由を体験しませんか?」

★募金活動

もとの表現:「95%の人が募金していない」
改良された表現:「あなたも上位5%の貢献者に入ろう」

スレッジ

いっぽうで、「マイナスのナッジ」というものも存在する(スレッジという)。

インドがイギリスの植民地だったころの話。
猛毒のコブラが増えて問題となったため、政府はコブラを捕まえた者に報酬を支払う政策を実施した。
すると人々は報奨金を得るためにコブラを飼育し始めた。

政府がこの事実を知って政策を中止すると、彼らは無価値になったコブラを野に放った。
結果としてコブラの数はさらに増加した。

これは「コブラ効果」と呼ばれる。
コブラ効果は、せっかく考えた作戦が、予想外のダメな結果を招く現象を指す。

卑近な例でいうと、テストで100点を取ったら小遣いをアップすると言うと、子供によっては100点を取るために勉強ではなくカンニングの練習をするかもしれない。

応用

コブラ効果は協会運営上でも起こりうる。
たとえば、

  • 会員を募集するための報酬を設定すると、質より量を優先する傾向が生じ、会員の質が低下しかねない。

  • 特定の活動を義務化すると、参加者が形だけの活動をしてごまかすようになり、活動が形骸化するかもしれない。

  • 会員の評価システムを導入すると、会員が評価のためだけに行動し、真の協力やコミュニティへの貢献が後回しになる。

  • 同様に、貢献度に応じた報酬を設定すると、会員が競争的な行動をとり始め、協力や共感が低下するかもしれない。

  • 活動報告や課題の提出を過剰に求めると、会員が形式的な報告に時間を費やし、本来の活動をしない可能性がある。
     
    とくに何らかの金銭的なインセンティブを導入したい場合は、コブラ効果を避けるよう、慎重に設計するのが望ましい。





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