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海外映画チームとの共同作業を再度進めるには

まず私個人の海外向けの作業。
個人的には今回くらいに「重大発表」ができる予定だったのですが、まだ詳細な内容の詰めができておらず、とりあえずビジネスを行う上でのベーシックアグリーメントは締結したのですが、これはNDA(守秘義務契約)の締結のレベルと変わらないので、残念ながらまだ具体的な内容の発表できる段階には至っておりません。
まあこちらは映画製作の制作マネージメントというよりは「本職」の映画音楽制作の案件なんですが、とにかくここで言いたいのは

今世界の映画業界、動くのが凄く遅い

という点。
これには理由があって映画の出資のシステムがここ10年以内に大きく変化したのが理由で、今海外の映画は一部の超メジャーなシリーズでない限り映画会社のみ、とか大きな投資ホールデイングス1つで作られる、というケースが殆どありません。
全部複数の投資家の資金提供によるファンデイングで運営されるために、何か新しいプロセスが進行すると、いちいち全員の投資家の承認を得られないといけない、ということもあり一人一人の投資家にいちいち確認を取っているために時間がどうしてもかかってしまう、というのがあるのです。
 これというのも海外では日本の制作委員会制度と違い、投資家グループの会合に映画の企画をプレゼンテーション作業(日本人の殆どは知らないですが海外ではこのプロセスを「ピッチデック」といいます)をとおしてファンデイングが行われているためにこういうことになってしまいます。とにかく海外の映画とおつきあいするには忍耐強くないと駄目ですね。

さて、「日本で撮影したい」と考えている海外のフィルムチームが多いことは既にこちらのnoteブログで何度か書いていますが、昨年の入管法改正に伴い新法がさまざまな「ビジネスの障害」となりうる懸念をこちらの記事に書きました。

映画グローバル時代に昨年施行された出入国管理法の改正は映像制作のグローバル化の足枷になるか?

これに関して最近偶然ですが外務省のビザ発給担当官の方と話す機会があり、これを機会に,昨年の8月に施行された新入管法に関する正しい理解をしておこうと考えました。
私がみたところ、法曹関係者でも100%正しい理解をしていない人がいるように見えました。
そして一時は絶望的な感じだったんですが、今日展望が見えました

結論からいいまして、海外から撮影チームやキャスト(俳優+女優)を招聘する場合にと誰が彼らのギャラを払うかによって全然違うようです。
つまり海外の映画会社が払う場合と日本側の会社が払う場合です。

結論からいいまして先ほどの記事で悪戦苦闘した「在留資格認定証明書」(Certificate of Eligibility-通称COE)が必要になるのは日本の会社が海外のクルーやキャストを払う時のみで、海外の会社が彼らのギャラを支払う場合は不要ということがわかりました。

しかもビザ取得が不要な国(アメリカ、カナダ、イギリスやフランス等の西ヨーロッパ諸国)では特に新たな申請は不要ーつまり信じられないでしょうが今まで通り普通のビザでの入国が可能になります。

但し、外務省の方から何か言ってきた場合に備えて、海外の会社が招聘したクルーやキャストの契約書、ギャラ支払いを証明する書類のコピーはもらっておいた方がいいかもしれません。

但しビザが必要な国、(ロシア、中国、インドネシア、インド、中近東諸国)は招聘する場合は「招聘理由書」とか「身元保証書」とかが必要になります。

つまり上記の記事のケースは先方の国の会社が支払うケースでしたのでそもそもCOE (在留資格認定証明書) など必要なかったんですね。無駄な動きに1-2か月費やしてしまったということになります。そこがはっきりしなかったため私も混乱しましたが...
招聘理由書、身元保証書だけで済んだんですね。
まあ今さらもう遅いですが..

しかしCOEは前回経験したように申請から発行まで1カ月から1カ月半かかり、COEが発行されてもそれでビザが通る保証もないので、時間的にもコスト的にもリスクが高くなるということを前回嫌というほど経験しました。

そのため今後日本での海外フィルムの撮影の場合、本当にやむを得ない場合を除いて、クルーとキャストは全部海外のフィルムメーカーに支払ってもらうという条件を必須にしたいと思います。もし海外からその話が来た場合、そこの条件をしっかり話された方がいいと思います。正直、COEは前回でもう懲りました。

しかしこれで展望が開かれましたので、半年以上停滞していました「海外フィルムメーカー」のフィクサー事業を本腰いれて再開したいと思います。


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