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パフォーマンス評価の具体例

前回、コンピテンシーを評価するためには、パフォーマンス課題を設定してパフォーマンス評価を行うのがよいという話をしました。
授業におけるパフォーマンス課題では、ある問いに対して、児童・生徒が一人で、またはグループで話し合いながら、思考し、表現します。表現は、論文やレポート、壁新聞、ポスター発表、プレゼンテーションなどのパターンがあると思います。

そのような取り組みのプロセス(活動)や成果物(作品)を評価基準に照らして測定するのがパフォーマンス評価です。

パフォーマンス評価は、第一義は児童生徒本人が自己評価することです。自身が何ができて、何ができないかを把握することが学びを深め、進めるためにはとても大切なことです。そして、その自己評価に客観性を与え、自己評価力(メタ認知)を高めるために、児童生徒同士の相互評価や教員による評価を行います。

先ほど「評価基準に照らして測定する」と書きましたが、この評価基準づくりもとても大事です。私は、この評価基準づくりに「ルーブリック」をお勧めしています。ルーブリックについては、またいずれ詳しくお話ししたいと思います。

パフォーマンス評価について、もう少し具体的に説明しましょう。例えば、中学校社会科の「世界各地の人々の生活と環境」の単元において、「粘り強く取り組む力」と「自分の意見を発表する力」という2つのコンピテンシーを身につけてほしいと考えたとします。

そこで、2つのコンピテンシーに対して5段階のルーブリックを用意します。各段階で求める力を示しながら生徒に目標を明示します。その上で、パフォーマンス課題を提示し取り組ませます。

例えば課題は、「世界のさまざまな地域の生活や文化について、その違いに着目しながら発表しよう」というものです。図表等の資料を読み込んで、グループで話し合ってまとめて、発表するという活動です。
まず、生徒を4〜5人ずつのグループに分けます。地域名を隠した6つの地域の雨温図や生活や文化に関する資料・グラフなどを提示します。
この中から2つの地域を選んで、地域名を答え、さらに教科書や資料集を使って詳しく調べ、特徴を対比させて発表します。

この課題は、単元の最後に行います。単元の授業の中で学んだ既習知識を活用し、課題に取り組むのです。知識の定着を確認する意図もありますが、同時にコンピテンシーを身につけることを目的にしています。

この取り組みの過程で「ねばり強く取り組む力」や「自分の意見を発表する力」を発揮してもらいます。そして、生徒自身にその場面を振り返ってもらい、ルーブリックの振り返りシートを使って自己評価をするのです。

同時に、グループ内で、生徒同士がお互いに相互評価を行うこともできると思います。もちろん、教員がグループ活動や発表の場面を見取り、ルーブリックを使って評価することもできます。活動をしている中でフィードバックができるようであれば、それが「指導と評価の一体化」となります。生徒の学びを促進するための評価ができることが大切なことです。

授業の中で、指導と一体化させながらコンピテンシーを評価をする「パフォーマンス評価」についてお話をしてきました。
このパフォーマンス評価を単発で終わらせないために、評価結果を記録して、学期ごとに振り返ることが大切です。その方法がポートフォリオ評価です。
次回は、そのお話をしていきましょう。


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