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MV「裏サテライト」制作進行 - e.p.「サテライト」セルフライナーノーツ (7)

なにしろMVなんて作ったことがないし、ましてひとに絵をお願いしてそれをもとに制作するという、ほぼひとりで音楽作り続けてきた身としてはかなりの冒険だったわけで、どんな風に進めていったのかをぜひ書いておこうと思います。
(「制作進行」という表現であってるんですかね)

最初のラフ案

曲を頭の中で流しながら漠然と「ここはこんな絵だとよいな」といったイメージは思いつくものの、それを形に起こすことの大変なことで。
はじめは、よくある1ページ4コマくらいの絵コンテを作ろうかと思ったのですが、なにしろ自分では絵が描けないというのがもどかしいところでした。絵コンテ枠まで印刷してみたけど絵を描いても思っていることがまったく描き出せない。動きや曲とのタイミングもうまく表現できない。
しかたない、というかいっそのこと、というか、結局どうしたかというと直接曲に当ててラフな動画をそのまま作ってみたのでした。描けるところは落書きレベルで、そうでないところは文章で書き込んだり。

いちおうGoogleスライドでも各シーンの説明を。。。

この動画とスライドをCYONさんにお見せして、具体的に進められそうかうかがった気がします。生々しい話で言えば費用の件も。(最低限このくらい資料を出してようやく描いていただく絵の枚数や大きさ、必要なクォリティがわかるのでは、と思ったので。スライドのシーンNo.に☆のあるのが描き下ろし箇所の想定でした)

ちなみにこのご相談をした直後、アイドルグループのnuanceクロスノエシスが「haru feat. CYON」と銘打ってツーマンツアーをしたのもよい思い出。。。(メインビジュアルにCYONさんが使われていたのです。ピクチャーチケットやグッズになって)
発表後だったら気が引けてぜったいMVの件お願いできなかったなと思います。いちばんお忙しいタイミングだったはず。

アナザーno.1

ラフ案の話に戻ると、スライドの随所で出てくる「アナザーno.1」はこの絵のキャラクターのことです。

アナザーno.1

前回の「きっかけ」のときに書き漏らしてしまったけど、これもきっかけのひとつでしたね。
もともとは「サテライト」という曲の本家でもあるアイドルグループRAYの甲斐莉乃さんの作品が元になっているわけですが、そのキャラクターのひとり「アナザーno.1」をCYONさんが描いたこの絵が好きすぎて、個展で手に入れられたのもひとつのきっかけでした。(「これをこの歌詞のところで使ったらみんなをびっくりさせられるじゃん」みたいな よこしまな考えも込みで)

「『サテライト』の本家でもあるアイドルグループRAY」
⇒もちろんほんとの本家は「・・・・・・・・・」(ドッツ)です

「甲斐莉乃さんの作品」
⇒くわしくはこのまとめを参照。。。アナザーno.1~15の後日談+ファンアート的な企画でCYONさんやいろんな方が描いていました。

注記

CYONさんからのラフ案提示、アイデア出し

自分が作成したラフ案動画を元に、CYONさんからシーンごとのラフ案やアイデアをいただきました。たとえばこんな感じ。

自分のオーダーを見てもらうとわかりますが、わりと「未定。一枚絵」みたいな無茶振りひとまかせみたいなシーンが多くて、それをCYONさんは歌詞や全体のイメージからひとつひとつアイデアを出してくれました。
ほとんどの箇所で2~3案提示してくださって、そこから自分のほしい絵を選ばせてもらえるなんて、なんてぜいたくな。。。
他の案件でもこうやって進めているのかと思うと、これはほんとうに絵の費用だけでなく案のやり取りやラフ画、リテイクの労力もすべて込みの費用にしないと割に合わないよな、、、と思いました。

ちなみに自分は絵のうまい人が描くラフなイラストが好きなので、じつはMV用の原画もさることながらこうやってやりとりの中で描いていただくラフ画がすごくうれしかったりしました。

ラフさ具合

ここらへんがラフ画とそれに対するやりとりの例ですが、、、

ここらへんのやりとりを見ていると、自分がどんどん「ラフに」ってお願いしているのがおもしろい笑。けっこう言いたいことを言ってますね。
CYONさんがラフな絵ときっちりした絵のことを答えてくれていて、それを聞けたのはよかったなと、思いました。

「自分はもちろん絵やアニメーションは素人ですし、ご本人の描きたいものを描いていただかないと結局よさを失わせてしまうだろうな、とも思いますし。。。(ちょっと別件で、ひとに依頼してダメ出ししまくっている案件を見たので)」

CYONさんとのやりとりから抜粋

これはね、、、ちょうど横でやりとりを見ていた件であったんですよね。。。
絵やなにかを依頼するということは、その作り手を信用してお願いするということなので、よいものが出てこなかったとしたら自分が全面的に非を負うくらいの覚悟でないとだめだと思うんですよ。
それに、自分が思ったとおりのものが出てきてもおもしろくないし、どう考えても相手の方がセンスがよいわけなので。

逆にMVを作るという点では、下手なものを作ったらむしろCYONさんの評価を下げることになってしまうので、そういう意味での責任とかプレッシャーはありましたね。(まあ、「MVつくるの初めてだし」とも思ってたけど)

シーン別管理シート

MVはかなりシーンが分かれていて並行かつ順番バラバラに進めていたので、進捗管理のためにシートを作成しました。シーンごとのお願い事項や確認、回答などを記入するようにして、宿題事項があったときに忘れないようにしたりとか。
やったことがあるひとには分かりそうですが、まさに本職でやっていたシステム開発の管理方法そのままというか。。。

シーン別管理シート

ちなみにCYONさん、管理シートを進捗で色分けしてくださったり、ラフや最終版の画像をフォルダ分けして保存してくださったり、実務的な面でも進めやすくて助かりました。(これは仕事のグチですけど、自分の本業の方の会社ではそういうことがちゃんとできないひとも多くて)

最初のラフと最終版を比較すると

なんか面白そうなので初版ラフと最終版、その中間を同時に動かしてみました。

適当に妄想していた各シーンがこうやって形になっていくの、おもしろい。「意外と最初のラフ動画も雰囲気うまく伝えてたんじゃない?」とか。


次回はMVの各シーンをこうやって作った、というのを紹介できたらと思います。MV制作やっているひとには当たり前だったり、ひどく効率が悪い話だったりするだろうけど、試しにこれからやってみようというひとにはおもしろいかなと思い。


(つづく)

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