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コロナ禍中に逝った猫

 先日、私は『ちびまる子ちゃん』のまる子に涙するポイントが似ているとしたが、動物好きという点もよく似ている。

 私の父は私が中学一年の時に他界したが、父も動物好きで私が生まれた頃から家には動物がいた。

 飼ったことのある動物といえば、犬、インコ、うさぎ、金魚、カメ、ネコである。父の知り合いのヒトが営む牧場に遊びに行った際には、父と一緒に馬に跨ったが、秒で落馬。父も私も真っ逆さまに落ちた。

 あれは一体何だったのだろう。

 父はその牧場のヒトに影響され、「からだの小さいポニーをくれるっていうから、土地を買って、ポニー育てるぞ!」とニコニコ顔で私に言った。「ロマンがあるだろ〜?ロマンだロマンだ」父は何かにつけてロマンだと主張していた。父も何となく今思うと、まる子の父・ヒロシに似ているところがある。

 何度も山を越えた奥地へ色々な土地を見に行ったが、ポニーを飼うことは実現せずに父は亡くなった。私が中学一年の終わる頃、季節は冬だった。


 家には相変わらず猫がいて複数の猫と生活を共にしていた。初めに飼ったのはラン。次にリー。その次に飼ったのはルネ。この3匹はペルシャやチンチラであった。知り合いのお宅からランとリーを譲っていただき、ルネはその子どもである。

 高校一年の夏、雨降る朝。その猫はやってきた。後々知ったが、ハチワレ猫。黒と白で毛並みがキレイ。母がゴミを出しに外へ出ると赤ん坊のような鳴き声が聞こえ、しゃがんで辺りを見回していると小さな体でそのハチワレ君は走ってやって来た。

 私が玄関フードから外を眺めた時は、母がしゃがみ小さな子猫が母の膝の上に抱かれていた。霧雨の降る空の下。

 1学期が終わる最後の日だった。学校の友人に飼える人いるか探してくるように言われたが、自分が飼いたい私は「ね、みんな、飼えないよね?」という言い方をして、一応の母の言いつけを守った。
 その猫はその日から晴れて我が家の一員となった。

 レオ。赤い首輪がよく似合う。蝶ネクタイのようなリボンが付いていると尚かわいい。野生児だったレオはとてもたくましい。その時家にいた、上品なリーとルネとは違っていた。でもレオはとてもいい奴で、ネチネチしていない爽やかな奴。悪気ゼロで生きる爽やかさを猫から学んだ私。


 あれから20年。ゴールデンウィークに実家へ帰るつもりだったのに。

 コロナの影響で移動することは許されず、ゴールデンウィークの2週間後の5月20日、レオは母に抱かれながら大きな深呼吸をしてこの世を去った。

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大切だったレオ。人生を共にしてくれてありがとう。

 
 ペットはとても重要な存在で、私の感受性が強いのは共にいてくれた動物達のおかげだと思っている。そのような経験はとても感謝すべきもので、できれば子ども達にも機会があればペットを飼いたいと思う。飼わせていただく、という感じだ。

 娘は前に犬を飼いたいと言っていた。どんな名前がいいか。んー…ラン、リー、ルネ、レオ、、ラ行で付けてきたからね。次はろ、ろ、ロ……


あ!ロマン!!

そうだ、ロマンにしよう。



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