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超怖い話

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私が聞き集めた怖い話を綴っていきます。 週一ペースで更新します。
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屋敷稲荷

屋敷稲荷

 会社員のSさんの家の向かい(道路を挟んで北側)には、空き家がある。
広い庭と屋上付きの立派な物件だが、現在は中々買い手がつかない。
この家にはよくない噂があって、夜中、無人の家の中を何かが動き回っているのを見た人が何人もいるという。
昭和末期の頃、T氏という会社経営者が父の死を境に家と土地を受け継ぎ、その時に現在の形に建て替えた。
ただその際にトラブルがあったらしい。もともと敷地の隅には屋敷稲荷

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肝試し

肝試し

私の出身県のほぼ真ん中辺りに大きな湖がある。
夏は湖水浴を楽しむ人々で賑わい、冬は白鳥が集まって来る風光明媚な場所だ。
その反面、付近には謂わゆる心霊スポットと噂される場所もいくつか点在している。
私も子供の頃からこの湖に纏わる妙な話はいくつも聞いていた。
何年か前、県内の大学のとあるサークルが夏休みにある浜でキャンプをした時の話。
昼間のうちは湖水浴やバーベキューを楽しんで過ごしたが、夜になる

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ダムの底にあったもの

ダムの底にあったもの

主婦のTさんは大学生の時に不可解な体験をしたという。夏休みに仲のいい友人達で中古車に乗り合わせ旅行に出掛けた。

目的地は特にないが西日本をぶらっと周るつもりでいたという。夕方、ある山中を走っていると視界が急に開けた。
ダム湖だった。
ただ雨不足の影響か干上がって湖底が露出している。Tさん達は珍しい光景に目を瞠った。かつてここに存在したであろう村の痕跡が見て取れる。橋や崩れかけた石造りの建物の遺構

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窓から見える公園

窓から見える公園

 二十代の男性、高原さんはかつて小学生の時に、ある重い病気に罹り小児科の病棟に一年ほど入院した。
入院からほどなくして、同じ年頃のK君という友達が出来たという。
別々の病室だったが母親同士が仲良くなったのをきっかけに、親しくなった。
聞けばK君も同じ病気で治療中で、入院した時期は高原さんよりも早かった。
友人が出来た事で入院生活の大変さも少しは紛れる。
ある夜の事、高原さんが寝ていると窓の外から物

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厭な感じのするアパート

厭な感じのするアパート

 知美さん(仮名)は通勤時の通り道で、一か所だけ苦手な場所がある。
それは古びた二階建てのアパートだった。
その横を通る時、異様な気配を感じるという。

具体的にはアパートの側面にある階段の踊り場の所。
そこに女が立っているのだという。
何をするでもなく俯いて立ち尽くしている。

そしてもう一つ。
階段を登り切った所に首から上の無い男が、手すりから身を乗り出して下を見下ろしている。
首から上が無い

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廃病院の非常口

廃病院の非常口

 Nさんがまだ大学生だった頃、夏休みに数名の友人を伴って心霊スポットと呼ばれる場所に赴いた。
市街地を抜けた山の中腹に廃病院があり、そこで怪異が起こるという噂があった。
現地に着くと車を降りたが、病院の周囲は雑草が生茂っていて玄関まで行くのも難儀だった。
昭和の頃に営業していた病院で、懐中電灯の光を当てると建物の外壁もかなり傷んでいるのが見てとれる。
中に入ると心霊スポットにありがちな落書きがそこ

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吐息

吐息

 男性会社員のFさんから伺った話。
ある夜、仕事の帰りに山の中を通る道路を車で走っていたという。
遅い時間だったし、もともと車の往来が少ない道ということで対向車もほとんどない。
同乗者もいないので、Fさんはラジオをかけながらのんびりと車を走らせていた。
道路の両側は鬱蒼と木々が立ち並んでいる。
Fさんはふと視界の隅に何かを捉えて、そちらに注意を向けた。
車の左側に広がる森の中に、女性らしき人影が立

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守り刀の話

守り刀の話

 五十代の女性、由実さん(仮名)から伺った話。
彼女がまだ幼かった時、父方の祖母が亡くなった。葬儀のために由実さんの家族は急遽、父の実家へと向かった。実家は片田舎にあって、家屋自体もかなり古いものだった。子供だった由実さんは広くて薄暗い屋敷が何となく怖かったという。仏間に祖母は寝かされていて、胸の上に何かが置かれていることに由実さんは気がついた。
「お父さん、お祖母ちゃんの胸のところに置いてあるの

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無縁仏

無縁仏

Mさんは高校二年の時、バスケットボール部に所属していた。彼は夏の合宿の時に奇妙な体験をしたという。
その年の合宿は隣県の強豪校と練習試合をするため、二泊三日での遠征となった。
遠征先は緑が豊かで風光明媚な土地だった。
Mさん達のチームはその日の試合を終えると、マイクロバスに乗って宿舎へと向かったという。
バスが信号で止まった時、Mさんはふと窓の外に目をやった。
道路の周りは田園風景が広がっていたが

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