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結局どの村上春樹の本がおすすめなの?

少しでも村上春樹の魅力に気づく人が増えたらな〜という思いから、それぞれのニーズに合った村上作品を読みやすい作品テーマ別でさらっと紹介してみます。※独断と偏見で

村上春樹って読みにくい、難しい、性的描写が多すぎる、不可解、などまあいろいろ言われているわけですが、あなたのテイストに合った村上作品に出会うことができたら、好きになるかも?

読みやすさ

★☆☆☆  デビュー初期の本。村上ワールドは全開だが抽象的で曖昧な表現が多くすらすら読むことは難しいかも。ちなみに、この頃村上さんはジャズ喫茶を経営しながら書いていました。
★★☆☆  村上ワールド全開だけれど、まだ読みやすい。
★★★☆  ストーリー性があるのですらすら読める。表現が洗礼され、近代的な雰囲気に親近感を抱きやすい。
★★★★  超読みやすい。

「村上ワールドにどっぷりハマりたい」ハルキスト志向なあなたへ

風の音を聴け(1979年)★☆☆☆ 

処女作です。超〜読みにくいです。が、登場人物や場所の設定、細かい描写はいかにも村上さんらしく素敵です。読み終わってからレコードプレイヤーを書いたくなります。

「孤独」と戦いたいあなたへ

羊をめぐる冒険(1982年)★★☆☆  

これは村上さんデビュー初期の作品であり、『風の歌を聴け(1979年)』と『1973年のピンボール(1980年)』に続く物語です。この2冊を読んでから読むと、すっと腑に落ちやすいです、が、この一冊を単独で読んでもじゅうぶん理解できますし面白いです。

「恋愛」について読みたいあなたへ

ノルウェーの森(1987年)★★☆☆

村上春樹といえば、『ノルウェーの森』。究極の恋愛観が詰まっている代表作です。村上春樹ファンなら「大衆向き」とも捉えられる作品であり、世間でも映画化されるほど有名なおかつ大ヒットした作品です。恋愛とは何か、人を本当に愛することとは何か。そんな恋愛観がぎゅっと詰まっています。登場人物も、ひとりひとり違った価値観を持ち合わせていて、それぞれぶれずに生きている姿がとても素敵。ちなみに、性的描写が多いので好き嫌いがわかれる作品でもあると思います。

スプートニクの恋人(1999年)★★★☆

叶わない恋、運命、人を愛することの哀しさ、儚さ、やるせない気持ちが詰まった物語です。少し哀しい気持ちになるかも。魅力的な女性の登場が多く、雰囲気が素敵です。

「男女の友情」に疑問を持つあなたへ

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(2013年)★★★★

村上作品の中では珍しく、恋愛観よりも友情愛に焦点が当てられた物語です。設定も大学生の男女5人組から成り立っているので、そこまで現実離れしておらず、ストーリーを飲み込みやすいです。あと個人的感想ですが、圧倒的に読みやすいです。「村上作品苦手〜」という方でもおすすめできます。

憎しみって?人間のダークな部分をのぞいて見たいあなたへ

ねじまき鳥クロニクル ★★☆☆ 3巻

人間誰しも「嫌いな人」っているはず。そんな「嫌いな人」に全力でぶつかって対抗する主人公の姿を3巻におさめた作品。この作品はそれ以外に、戦時中(ノモンハンの戦い)の人間の憎しみや憎悪、暴力や恐怖を描いており、人間ってなんでここまで残酷になれるんだろう、、ってちょっと思っちゃうような作品です。長いです。

冒険作品が読みたい!ワクワクドキドキしたいあなたへ

1Q84(2009~2010年)★★★☆ 3巻

海外でも根強い人気のある、冒険感の強い作品。分厚い本3冊から成り立っているので、「よし、読むぞ!」という覚悟を決めてから読むことをおすすめします(つまり長い)。追うものと、追われるもの。あの手この手で追ってくるこわ〜い組織にヒヤヒヤしちゃいます。出てくる女の人がかっこよくて個人的に憧れ。

海辺のカフカ(上)(下) ★★★☆

とある家出少年の冒険物語で、いろんな不可解な事件があちこちで起き、先の展開が気になりすらすら読めちゃいます。また、グロいシーンが多く、一癖ある登場人物ばかりで印象に残るシーンが多いかも。なんとなく伊坂幸太郎の作品を思い出す。

未来が見えなくて不安なあなたへ

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(下) ★★★☆

「心とは何か」を問いかける長編小説。主人公「僕」は現実世界と、ユートピアとも取れる平和世界という、2つ世界を交互して物語は進みます。心とは少なからず自我やエゴが存在し、私たち人間はそれらを抱え、葛藤し時に困惑しながらも、それでも強く生き続けている。そんな村上さんの捉える「心」を知ることで、私たちのような弱くもろい人間でも、少しは強くなれるかも。

騎士団長殺し ★★★☆ 2巻

2017年に発売された、分厚い2巻にも及ぶ超大作です。これも読むのに覚悟が必要(つまり長い)。そして設定やストーリー構成まで、めちゃくちゃ村上作品っぽい。そんな作品の中で登場するダンディな男「免色」さんですが、彼は得られぬ夢を追い続ける孤独な男として描写されています。しかしそんな彼の強く自信に溢れた生き方を見ていると、なぜ私たちは先のわからない未来に不安になってしまうのか、わからなくなってしまうかも。ちなみに、なんか怖いシーンが多いので、ねれない夜とか深夜に読むのはマジでおすすめしないです。

時間がないのでさらっと読みたい人へ (短編集)

女のいない男たち ★★★☆

THE村上さんらしい視点から描かれた、まさに「女のいない男たち」を主人公として描かれた恋愛短編集。それぞれ短いのでさらっと読みつつ、村上春樹のテイストをじゅうぶん味わうことができます。個人的に『木野』という作品が一番村上春樹っぽくて好きです、登場するバーが素敵。

パン屋再襲撃 ★★☆☆

ねれない夜に読みたい作品。なんだかよくわかんないけど、どこかリアルで現実的で、のめり込んでしまう作品。読むたびに感じる色がコロコロ変わります。昔から好きな作品です。

TVピープル ★★☆☆

村上作品って、「ちっちゃい人」が出てくること多いんですよ(笑)そんな「ちっちゃい人」たちばかりが出てくる作品です。

最後に

村上作品をいくつか読むとわかるのですが、どれもすごく似たような登場人物、ストーリー構成、起承転結となっていることが多いです。これにはいろんな意見があると思いますが、個人的には作品ごとにつながりを見出して新しいテーマを発見したり、全ての作品に一貫性があって村上さんが伝えたいだとか、大切にしたい価値観が垣間見得たりしてすごく好きです。これをきっかけに、村上春樹の本を手にとってもらえると嬉しいです。


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