日系大手企業は30歳までに退職するべき、たった1つの理由
突然ですが、大企業の定義って何だと思いますか?
売上高? 従業員数? 日経225に入っているかどうか?
私はかつて、誰もが知る大手有名企業で働いていたことがあります。
「あの会社で働いていた」と言えば、誰もが賞賛の目で見てくれますし、
私は今でも、このような、いわゆる "大手有名企業" で働けたことを、本当に誇りに思っています。
それでも、私は、誰もが羨むような有名企業を20代で去ったことを、全く後悔していません。
むしろ、数年経って、あのとき大企業を辞めて本当に本当によかったと、心から思っています。
それはなぜか。
少し説明していきたいと思います。
大企業の「安定」という罠
もちろん、大手有名企業で働いていると言えば、周りの印象は良く、親も喜ぶでしょう。
給料もそこそこ高いだろうし、よっぽどのことが無ければ、会社が倒産したり、リストラでクビになることもなく、安定しています。
でも、私はこの "安定" こそが罠だと思っています。
大企業で働いたことのある方なら理解していただけると思いますが、従業員5,000人を超えるような日系の大手企業では、100%と言っていいほど確実に、多数の "働かないオジサン" が年収1,000万円以上の高給を貰っています。
50代でもバリバリ働いている部長職、役員なども中にはいるでしょうが、大企業では、40代を過ぎて出世コースから外れ、既に野心も情熱も失って、ただゾンビのように会社にしがみついているだけのお荷物オジサンが、日々、大量生産されています。
この大企業の人材構造に関しては、多くの良書がありますので、敢えて私がここで詳しく書くつもりはありません。
大企業では、
"一度入社すれば終身雇用で絶対にクビにならない" という数十年間の安定と引き換えに、"定年まで自分の人生ではなく会社の都合優先で働く" ことが前提となります。
毎年結果を出し続けなければ解雇される可能性のある外資系企業や、会社の業績次第では突然のリストラが待っている中小企業と違って、大企業の正社員は、よほど大きな問題を起こさない限り、特に何の結果も残さなくても、年を取れば徐々に出世していくし、多少のパワハラ・セクハラをしても、解雇されることはありません。
これは昭和の話ではなく、今日時点でも明らかな事実です。
その代わり、会社が自分を守ってくれている分、会社の命令に無条件に従って、兵隊のように働かなければなりません。
その結果、大企業には、特にこれといった目標も情熱もなく、与えられた仕事を言われた通りにこなしているだけの、ゾンビのような人材が大量にいて、大企業で働く限り、あなた自身も、必ず徐々にそのゾンビ状態に近づいていきます。
多くの人は、
自分がゾンビ化していることにさえ、気がつきません。
そして、この構造は変えることができません。
なぜならば、大企業で長く働く限り、確実に、"自分のキャリアを自分でコントロールすること" が出来なくなり、年を取るに連れて、100%確実に、
仕事への情熱を削がれていくからです。
これこそが、日系大手企業は30歳までに辞めなければならない、たった一つの理由だと、私は思います。
そんなことはない、自分は大企業で働いているが、毎日やりがいを持って楽しく働いている、という人もいるでしょう。
でも、私が言っているのは、「ある日の時点で個人が仕事をどのくらい楽しんでいるか」とは、根本的に別の話です。
「ジョブ・ローテーション」が社内ゾンビを作る
日本の典型的な大企業で、未だに新卒採用・終身雇用が前提になっている会社では、数年単位で配置転換(ジョブ・ローテーション)があります。
これがある以上は、仮にあなたが今の仕事を、心から楽しんでいたとしても、明日から全く別の仕事をしろと言われるかもしれません。未経験で全く興味のない部署に回されるかもしれません。縁もゆかりもない地方に転勤と言われるかもしれません。
それに無条件で従うのが、大企業の社員です。
私自身も、過去にいた会社では、東京で働きたいと希望を出していたのに、2年ごとに地方を転々としたり、海外で働くならアメリカがいいと思っていたのに中国・上海支社に転勤になった経験があります。
また、私の友人には、営業がやりたいと猛烈アピールして入社したのに、初期配属で経理の仕事に就き、もう10年以上経理の仕事をしている男性や、
得意の英語を活かして海外営業をやりたいと強く希望していたのに、「美人で人当たりがいいから」という理由で人事配属になり、10年経った今でも、人事・総務といった英語を一切使わない仕事をしている女性がいます。
この男性と女性、22~23歳で新卒でこの会社に入社してから、10年以上、
一度も、自分がやりたかった仕事を出来ていないにも関わらず、結局同じ会社で未だに働いています。
男性のほうは、入社後3~4年は営業部への異動希望を出していましたが、数年経って、希望が叶わないことを知り、諦めて経理として働いています。やはり日々の業務はつまらないらしく、「仕事は仕事」と割り切って、さっさと業務を終えてアフター5の趣味を重視する、という生活をしています。
女性のほうも、5年くらい前までは、「早く海外営業に行きたい」と会う度に愚痴を言っていたのに、結局30歳を過ぎて適齢期の結婚を考え、社内結婚して妊娠したことで、「もう仕事の内容なんかどうでもいい、産休・育休取って復帰して、子供の為に働くだけ」と言うようになりました。
結局、二人とも、「誰もが認める大きな会社で働いていて、そこそこ給料も良く安定しているし、転職にはリスクがある」と考えて、自分が望まない仕事を何年も続けているうちに、かつて確かに持っていたはずの、仕事への情熱を失ってしまったのです。
この2人が特別な例というわけではなく、「会社のために働く」ことで、会社の方針に黙って従い続けた結果、やる気と情熱を徐々に失っていった大企業の社員を、私は、数えきれないほど沢山知っています。
こうして、仕事へのモチベーションが低い状態で、目標もなく、ただ淡々と与えられた仕事をこなして年を取っていくと、どうなるか。
ゾンビの出来上がりです。
あなたも "働かないオジサン" の仲間入りです。仕事はあくまで「お金を稼ぐ手段」。
いくら綺麗ごとを言っても、これが大企業の現実です。
社内ゾンビにならないための、唯一の方法
たまに、「私は自分の会社が好きで、この会社で働けているだけで幸せだ。別に将来どんな仕事になっても構わない」と言う人がいます。私の友人にも何人かいます。
こういう人は、始めからゾンビ状態です。自分の将来や、会社の将来、業界の将来を考えることを、放棄しています。
そんな働き方で、仕事楽しいですか?
欲がない。
野心がない。
目標がない。
それが悪いとは言いません。
その人の生き方を否定するつもりはありません。私の人生じゃないし。
もちろん、大企業にも良いところは沢山あるし、"働かないオジサン" が大量生産されているのは、大手有名企業だけに限った話ではないかもしれません。大企業で働く人が全員ゾンビだとは、私も思いません。
でも、明らかに大企業の社員に顕著なのは、「今の会社よりも良い給料をもらえる会社なんて、どうせ見つからないし...」などと言って、会社に不満があっても、ずっと辞められないまま、いつの間にか、自分の将来のキャリアを、「社内」でしか、考えられなくなっていくことです。
こうなったら、もう会社には逆らえません。
今後の自分の人生が、特定の会社に依存してしまっているのだから。
自分の希望よりも、会社の命令に従うことが優先されるので、結果として、仕事がどんどんつまらなくなっていく。
大企業の若手社員には、会社の文句ばかり毎日言っているのに、結局、何年経っても転職せずに、同じ会社で働き続ける人が非常に多いです。
有名ブランド企業で働いている自分が好きだから。
転職する勇気と自信がないから。
自分の本当に好きな仕事をすることよりも、
長期的に楽して稼げる「安定」が欲しいから。
こういう人材は、絶対会社に逆らわないので、自然と立場が弱くなる。
逆に言うと、大企業だろうが中小企業だろうが、「俺は能力があるからいつでも転職できる」という、確固たる自信がある人は、圧倒的に強いです。
自分の望まない仕事が与えられれば、それを拒否したり、会社と交渉したりできるし、最悪の場合でも、今の会社を辞めて、もっと楽しく働ける会社に移るという選択肢がある。
これだけが、ゾンビにならない唯一の方法です。
「社内」しか見ていないあなたに、自由は無い
自分と会社は、完全に対等な関係であり、会社側が、賃金を対価として業務命令を下せるのと同様に、社員側は、その命令に従うか、辞めて他の会社に行くか、選ぶ権利があるし、会社側と対等に交渉することができる。
これは忘れてはいけません。
この交渉が出来ない人は、ゾンビ化するしかありません。
そして、残念ながら、日本の大企業では、この交渉が通じる会社は多くはありません。
だから、大企業は早々に見切りをつけて、去らなければならない。
好きなことをして稼ぐなんてただの理想だ、仕事っていうのは我慢しているから金が貰えるんだ、などと愚かなことを言う人が、沢山います。
それは、自分がいつの間にかゾンビになっていることに、気が付いていないだけです。
世の中には、「転職」という選択肢を持っていることによって、特定の会社に過度に依存することなく、毎日好きなことをして自由に楽しく働くことが出来る、ゾンビ化していない人たちが、数えきれないほどいるのだから。
そもそも、世の中にはこんなに、多種多様で素敵な会社がいっぱいあるのに、たった1社にこだわって、40年も働くなんて、馬鹿らしいとは思いませんか?
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