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No.48 - 「やりたいことが見つからない」と、自分に嘘をついている人へ。


こんにちは、安斎響市です。

最近読んだ本に、「過去は関係ない。未来に向かって生きよう」ということが書いてありました。素晴らしい言葉だと思いました。

すみません、嘘です。
全然素晴らしいと思ってません。まったく思ってません。

「過去は変えられないから悩んでも仕方がないじゃないか。だったら、少しでも今日から先の未来のことを考えた方が建設的だよね」という内容はとてもよく理解できるものの、それは、決して「過去は関係ない」という話ではなく、むしろ、ほとんど真逆だと思うからです。


人生にやり直しは利かない、という残酷な真実


「過去は関係ない」は、さすがに嘘です。

以前、別の記事にも書いたのですが、「何歳からでも挑戦するのに遅いということはない」というのは、「今日が自分にとって一番若いから」という個人の不可逆な人生の話であって、決して、「20代で挑戦するのも、40代で挑戦するのも別に変わらない」、「挑戦するのに年齢は関係ない」という楽観的な妄想ではありません。


自分個人にとっては、もう20代には戻れないから40代からでも何とか頑張るしかないじゃないか、というだけの話であって、「本当は20代から頑張っておけばよかった」ことに何も変わりはないと思っています。


私、あんまり好きじゃないんですよね。

「40代からのキャリア大逆転」とか、「人はいつからでも挑戦できる」みたいなの。

キャリアに逆転はそうそうないし、確かに「挑戦すること」自体はできたとしても、そう簡単に結果は出ません。

どちらかというと、大逆転なんてしなくても済むように元から強いキャリアを築くこと、自分にとって圧倒的不利な状況を初めから作らないことの方が、ずっとずっと大事だと考えています。

私自身がそういう「石橋を叩いて渡る」タイプの人間であり、やりたいことをやりつつ、できるだけリスクを取らない人間なので、なんだか、「人生失敗しても何度でもやり直せるよ」という楽観的なギャンブル思考って、あんまり共感できないんです。

だって、人生はやり直せないから。

失敗したら、そう簡単に取り戻すのは無理だから。


「やりたいことが見つからない」の裏にある感情


そんで、その、最近読んだ本には、「やりたいことなんてなくていい」「将来なりたい姿をイメージして、少しずつそこに近づければいい」的なことが書いてあったんですけど、私、正直言って1ミリも共感できなかったんです。

よくあるじゃないですか。

自己啓発本とかで教えられている、「ノートに自分の将来像を書き出してみよう」「自己分析をして、今後やってみたいことを100個書こう」みたいなの。

うーん…… という感じがします。


たぶんですけど、「やりたいことがない」という人が抱えている本質的な問題って、「やりたいことがない」ことではないんですよ。

もしかしたら、本人も気づいていないかもしれないですけど。


たぶん、本当の課題は、「やりたいことが見つからない」ことではなく、

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