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Episode. 13 - 「福利厚生」に釣られて転職すると、きっと後悔する。

 
転職活動における企業選びの際、「年収額面」だけではなく「福利厚生」が大事だ、と主張する人は多いです。

そんなの当たり前だろ! と思う人もいるかもしれませんが、実は、そう安易に吞み込んではいけません。魅力的な福利厚生には、たいていの場合、裏があるからです。

今日は、転職活動における福利厚生の考え方と、企業選びで特に注意すべきことを中心に書いていきます。


福利厚生の「正体」


例えば…

  • 借り上げ社宅制度があり、会社負担の家賃補助が月5万円ある

  • 配偶者手当が月3万円、子ども手当が月2万円など、各種手当が充実している

  • 格安価格で栄養バランスの良い昼食を取ることができる社員食堂がある

  • 社員向けの持ち株制度、従業員株の優待積み立て制度がある

  • カフェテリアプランなどの各種割引制度がある

このような福利厚生は、一見、とても魅力的に思えます。

しかし、よく考えてみてください。


「福利厚生が良い会社」という先入観を一度取り払って、冷静な頭で考えてみると、福利厚生が充実しているよりも、本当は、現金で支給される年収が高い方がずっと良くないでしょうか?

家賃補助が月5万円あるよりも、手取り月収が5万円高い方が、本当はうれしいですよね?
その場合、その5万円を家賃に充てるのか、ほかの食費や趣味などに使うか、貯金に回すかは自分で自由に決められるのだから。
 
実は、福利厚生って、お得なようで全然お得ではありません。
福利厚生とは、完全に「会社都合の制度」です。


会社側から見ると、社員に給料として月5万円を払うよりも、家賃10万円の借り上げ社宅に社員を住ませて、その家賃の5割=5万円を会社が毎月負担するという方法のほうが、毎月会社から支払う社会保険料負担などの節約になります。

会社にとって得だからやっているのです。
必ずしも、社員のためではありません。


配偶者手当や子ども手当なども似たようなものです。
会社にとっては、「社員全員支給」にするのではなく、「既婚者」「子どもがいる人」など支給対象を細かく絞って手当制度をたくさん作った方が、全体の給与水準を上げるのに比べたらコスト削減になります。本来、未婚だろうが既婚だろうが、仕事上の会社への貢献度が明らかに変わるわけではないので、配偶者手当や子ども手当があるのは不公平ですよね。

あくまで、「給料が安くても各種手当が充実しているから、うちの会社は良い会社だ」と社員を納得させるための演出です。また、このような各種手当は、項目によっては、会社が支払う税金などが有利になるものも多くあります。

会社にとって得だからやっているのです。
必ずしも、社員のためではありません。


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もっと残酷な話をしましょう。福利厚生のメリット・デメリットを深く考えるうえで、重要なことです。

福利厚生の、もう一つの大きな落とし穴は、

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