練習ショートショート お題「階段」
気づくと私の目の前には、幅の広い階段があった。白いコンクリートでできたそれは、真っ青な空へ向かってどこまでも続いていた。階段が示す目的地は、遠く青空の向こうに溶けて消えている。
ふと、自分の姿をよく見ると、真っ白な薄手の着物を羽織っていて、すぐに死装束だとわかる。
そうか、私は死んだのか。
不満はなかった。むしろ生を全うした充足感が確かに私の中にあった。満たされた感覚と共に目の前の階段を見つめていると、どこからか声がした。
「登れ。この階段は天国へ続いている。天国へ行