待ってた本が出版されました。 日本の経営が海外をどう取り入れたのか。

Translating and Incorporating American Management Thought into Japan.2022/10/11

本全体の主旨
 アベグレン先生のご指摘である、終身雇用、年功序列型賃金制度、企業内労働組合の三種の神器という日本固有の経営が日本型(的)経営と言われてきたのに対して、この本は、諸外国の経営理論や思想の影響を受けたが、日本で受け入れられるように改良し、翻訳し、カスタマイズしてきた。
 その過程を探求するものである。提示する仮説は、戦後の高度成長期において、アメリカの経営に関する考え方に大きな影響を受けたハイブリッドな経営理論・経営手法の集合体であったというものである。

私見ですが
 果たしてこのように取り入れて自分たちのものにしたのはいつまでだったか?と思わなくもない。
 というのも数年前に院生が「世界標準の」と言い出して顎が外れたことが。「標準は、だれが決めて、誰が合意して、誰が主体的・自主的に従っているのか?」に応じませんでしたその院生。なので、「一部のものが隷従しているのを標準というのは宗教的洗脳に他ならない」と申しました。
 おそらく1990年以降「米国では。シリコンバレーでは」という<出羽守>が横行して2000以降はただの猿真似しかないのではと思っています。その例が株主主権論かと。
 ただ、前に書いた主座を保っていた時代の研究なので得ることが多い名著です。
 この中から紹介していきたいと思います。

ドラッカー先生が日本に与えた影響と吸収


 前に、別の院生が「米国の主要なビジネススクールではドラッカーの本をほとんど読まないし講義もないし研究もまったく行われていない。故にドラッカーなんて学問でも何でない。」と言い放った話をしたので、第一回目はドラッカー先生に関する研究から。

Chapter 5 Peter F. Drucker and the Philosophy
of “Management”
Yasushi Isaka and Hisashi Shimada

要約から紹介

戦後の日本がドラッカーをどのように受け入れ、日本のマネジメントの形成に役立ったのか、"マネジメントブーム "や "マネジメントジャーナリズム "の隆盛と関連づけながら見ていきたいと思います。

結論がかっこいい=5.4.2 2000年以降の展望

規範経営学
「業績さえ良ければ、社会的機関としての責任が果たせるとは言い切れない。組織に関わる人々の力を引き出し、成長させ、生産性を高め、業績に貢献できるようにし、働く人々の生活を豊かにすることが必要である。」
 かっこいい~~~、、、あ~いやいや、、ドラッカー先生が規範経営学の礎と言われるのは何故かがよくわかる一言ですね。
3つの責任
「組織とそのマネジメントが、業績、人間性、社会性などの面で成果をあげることが、社会的機関の責任である。そのような結果が出ないということは、社会的機関としての責任が果たされていないことを意味する。」

日本が引き受けた規範
「ドラッカーに日本人が求めたのは、アメリカ流の実用主義的な経営理論だけでなく、彼の母国であるオーストリアやドイツで生まれた規範主義的な理論であったのです。」

日本の経営は何を柱にしてきたのか。よくわかるいい論考ですね。

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