早稲田NEO 吉野家炎上はなぜ起きた

1.炎上のあらまし

 早稲田ネオという教育機関で吉野家の取締役(当時)の発言が炎上したことは周知のことだと思います。
 あらましを知りたい方は👇

2.同席の教授は何故止めなかったのか

この件で吉野家と早稲田大学が謝罪を形成したことは👇の記事の通りです。

ここでは、これらの記事で触れられていない、同席の教授は何故止めなかったのかについて考えたいと思います。
その理由は、(米国)マーケティングの専門家だからです。

(1)まず、この講義の構成は、PBLであるということです。
   第1回目に吉野家の役員が同社のデジタルマーケティングの実践
    について語り、その主題を受けて。
   最終回に受講生が自社に落とし込んだ考えを発表する。
    それを担当教授陣と第1回で登壇した吉野家役員が講評する。
(2)PBLを設計する時は担当講師と実務家と入念な打ち合わせをして
   受講生が最後につかむ学習の要点(時に、take a wayとも)を明確にしま
   す。
(3)つまり、この炎上したやり方がデジタルマーケティングの本質だと
   担当講師陣が考えていたということです。
(4)でないと、これほど酷い発言を止めない訳がありません。

3.デジタルマーケティングの本質とは

 そうすると、なぜ、デジタルマーケティングを通してみると炎上発言が正当なものに見えるのでしょうか。
 ここで、マーケティングの大家と言われているコトラー教授の本を引用して考えていきましょう。

この本の129頁にその核心
Marketing Building a Data Ecosystem for Better Targeting
があるのでそこから抜粋します。

2012年、ニューヨークタイムズ誌に掲載されたチャールズ・デュヒッグによる「ターゲットがティーンエイジャーの妊娠を予測した」という記事は、大きな話題となりました。そのティーンエイジャーの父親は、自分の娘が小売業者からベビー用品のプロモーションクーポンを受け取っていたことを知り、憤慨しました。… 娘との会話の結果、本当に妊娠していることがわかりました。…この小売業者は、すべての買い物客にユニークなIDを割り当て、すべての人口統計情報と買い物履歴と結びつけていた。ビッグデータ解析により、実際の妊婦の消費パターンが明らかになり…この話は、企業がデータのエコシステムを活用して、より情報に基づいた意思決定を行うための優れた例である(The story is an excellent example of companies leveraging data ecosystems)。データ駆動型マーケティングは、マーケティング5.0を実践するための最初のステップなのです。
(129頁より引用翻訳は私です)

Marketing 5.0 p.129

この一文を読んで、個人情報保護法やGDPR、あるいはPrivercy by Design に関心がある人なら、腰が抜け目玉が飛び出すほど驚くか、人権侵害の酷さに怒髪冠を衝くとなることでしょうね。私は腰が抜けました。

4.「生娘をシャブ漬け戦略」は正しいデジタルマーケティング

「当時、教室には早稲田大学の教授をはじめ「デジタル時代のマーケティング総合講座」の講師陣、運営スタッフが数名同席していたが、その場で注意する人はいなかったという。」
それは、コトラー教授がThe story is an excellent example of companies leveraging data ecosystemsと称賛する実践例だからです。
(1)マーケティング用語に変換していく
「生娘をシャブ漬け戦略」
「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対食べない」

この言葉の汚さや、自社の製品を毀損する酷さに加えて人権侵害の酷さがありますがマーケティング用語に変換してみると
田舎から出てきた・・・・←位置情報を利用して
右も左もわからない・・・←購買履歴を抜き出し
牛丼中毒にする・・・・・←上記をターゲットにして割引クーポンを
(2)コトラー教授の教えと照合すると
バッチ適合します=マーケティングでは正当と考えられる
となりませんか。

5.デジタルマーケティングの本質

このように、米国型デジタルマーケティングの本質はPrivacy侵害という人権無視の上に成立しているのです。
 人権感覚あるいは欧州で真っ当なビジネスを行いたかったから、このような米国マーケティングを相手にすることはないでしょう。
 というか、今時Kotoler Marketing 5.0って・・・

6.cookie規制 マーケティングで検索を

ここまで読んでまだ疑問の人は、「cookie規制 マーケティング」で検索することをお勧めします。

自社のビジネスを危うくする前に。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?