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岩合光昭が初監督!「全シーンに猫が登場する映画」メイキング秘話 vol.1

突然ですが皆様、猫はお好きですか? 私は猫が欠乏すると仕事ができなくなるくらい好きです。というわけで本日は、岩合光昭さんのギャラリートークの様子をお届けしようと思います。vol.3には大の愛猫家であるフレディ・マーキュリーの話も出てきますので『ボヘミアン・ラプソディ』のファンの方もぜひご覧くださいませ。

さて今月、動物写真のトップに君臨し続ける岩合光昭さんの写真展『ねことじいちゃん』が日本橋三越(新館7階)にてスタートしました。こちらは岩合さんの初監督作品である同名の映画から撮りおろしのスチール160点を展示するもので、2月の映画の公開に先駆けて全国各地を巡回するようです。原作は「ねこまき」さんによる人気コミック。第15回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作品だそうです。←とってもかわいい。

今日(1月12日)は急遽、追加イベントが決定したそうなのですが、告知なしでも会場はすし詰め状態! ものすごい人だかりでセキュリティの方たちが会場整理に四苦八苦しているほどでした。そんな熱気に溢れかえる会場で、岩合さんが披露されたエピソードをノーカットでご紹介します。

「みんないい子だね」を流行語大賞に

〈岩合さんご登壇〉ありがとうございます。岩合光昭です。新年あけましておめでとうございます。〈聴衆の反応を見てしみじみと〉本当にみんな、いい子だね。〈会場笑〉「いい子だね」っていうのは、NHK BSプレミアムで放送中の『世界ネコ歩き』で僕は猫に言ってるんですけど、ディレクターいわく「去年は『チコちゃん』にとられたけど、今年あたりは流行語大賞にノミネートされるんじゃないか」なんて話してたんですけど〈会場笑〉まあ冗談だと思います。

皆様のおかげで『世界ネコ歩き』が7年目に入りました。これもひとえに皆さんに番組をご覧いただけるからこそだと思います。スタッフにもお礼を申し上げます。今年も『世界ネコ歩き』は続きそうなんですけど、NHKから「続くということは断言するな」っていうふうに言われたんですけど(笑)まあ一応、行きたい国々は提出してお願いしたことで了承はされたんで、今年も見られるかと思います。

猫のことを考えない日はない

『ネコ歩き』は2012年から始まって、僕は毎日毎日、猫のことを考えない日はなくなってしまって。ブラジルでジャガーを撮りながらも「なんかおっきな猫だな」と思ったり…〈会場笑〉本当にもうかなりの「猫病」にかかっているような感じです。去年は特に忙しい日々を送りました。

というのは2月から7月までずっと、この『ねことじいちゃん』という作品を作っていて『世界ネコ歩き』のロケが後回しになってしまって。最後のロケも10月に出て12月に帰ってくる、みたいなことになってしまいました。昨日放送のメキシコ編もその11月に行った時の放送で『死者の日』という、死者を迎える、日本でいうお盆みたいなお祭りなんですけど、僕は『リメンバー・ミー』という映画を思い出しました。その映画では犬が主人公でしたけど、僕たちは猫が主人公で。ご覧いただいた方もいらっしゃると思います。でも今回は『ネコ歩き』じゃなくて『ねことじいちゃん』のお話をさせていただきますね。

「じゃあこの映画作るの、やめます」

主演は立川志の輔さんにお願いしました。僕自ら電話をしたら「いや、そんな大役を引き受けるのは無理かなあ」と。「スケジュール的にも、君が知っているように毎週火曜日と水曜日に東京・渋谷のNHKで『ガッテン!』の収録があるので、愛知県の三河湾に浮かぶ島にはとても閉じこもれない」ということを仰られて、最初断られてしまったんですけど。僕は粘って粘って、最後の電話で「もう師匠に出ていただけないなら、この映画作るの、僕やめます」と言ったら「ちょっと待てよ」と〈会場笑〉

その後、僕は札幌で写真展があって、すごく寒かったんですけど。2月でしたね、ちょっと喉がガラガラするなと思った時に師匠から電話があって、ちょうど(立川志の輔さんがCMをされている)龍角散がほしいなと思っていたところで〈会場笑〉「考えてみたんだけど、君の初めての挑戦だし、僕もこんな大役を受けるのは初めてだし、挑戦をしたいと思う」と言われて。本当に(滞在先の)ホテルの天井に頭をぶつけるぐらい喜びました。それで『ねことじいちゃん』の主役のじいちゃんは、師匠になりました。

100匹以上の猫をオーディションした

そして猫の主役がもちろん要るので、猫探しをしたんですね。最初は島の猫を抜擢しようかなと思ったら、スタッフ・キャスト合わせて総勢60人くらいになるので、とても猫を探している時間の余裕がないので(苦笑)結局、動物プロダクションから探してもらうことになって。3箇所くらいの動物プロダクションを回って、100匹以上の猫をオーディションしました。猫の映画ですから。

オーディションしながら「あの子はどうかな、この子はどうかな」と考えているときに、この猫に出会いました〈写真を見せながら〉名前を「ぽんず」といって、映画には「虎次」という役柄なんですけど、プロダクションで出会った時にあまりに人懐っこく、僕好みで顔も大きいんで「この猫は素晴らしいな」と思って。でも「ちょっと抱っこさせてください」と言って抱っこしたら20秒くらいしか抱けないんです。ポーンと腕の中から飛び降りてしまって。それで「抱っこが苦手な猫は主演にはなれないな」と思いましたが、映画に出てほしかったので主役の「タマ」の恋敵役として出てます〈会場笑〉冒頭に登場する猫もこの子なんですけど、かなりアピール力のある猫で。そのほかにもTVコマーシャルなんかにも登場しているらしいんです。

vol.2に続きます。

主役の猫、首回りが太っててすごくかわいいんですが、それは岩合さんの「顔の大きい猫が好き」という好みもあったんですね(笑)

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