Mitoma!

イングランドのレスターという小さい町で大学生をしている私の日常の楽しみの一つが、サッカー観戦です。現地のチーム、レスター・シティフットボールクラブはイングランド1部プレミアリーグ優勝経験もあるチームです。そんなレスターが先日同リーグに所属する、ブライトンホルブアルビオンと対戦しました。ブライトンにはワールドカップで大活躍し、奇跡の1ミリでも話題になった三苫薫選手が所属し、各ポジション優秀なプレイヤーを備え、クラブのスケールや予算規模では大きくトップチームとは差があるものの、優秀な監督と選手を安価な移籍金で集め今最も注目されているクラブの一つです。そんなブライトンで今イギリス現地のメディアに大きく取り上げられているのが、三苫は3年前まで日本の大学生だった。という事実です。

三苫選手は、少年期から青年期を地元川崎フロンターレのクラブユースアカデミーで育ち将来を嘱望されユースからのプロ入りが見込まれている中、本人は大学進学を希望しました。理由は自分はまだプロで活躍できるレベルではないと語っており、周囲の人間は大変驚いたそうです。そして大学では、コーチング論、栄養などを学び、さらに自分の頭部にアクションカメラを取り付けどの動きが相手ディフェンダーを翻弄でき、うまく躱せるかなどを研究し論文を執筆したそうです。そのかいもあってか三苫選手は大学卒業後1年後にはJ1 で最も注目されている選手の一人となり、2年で欧州のクラブから獲得されました。

彼のプレーの特徴は、スピードに乗ったドリブルとそこから放たれる制度の高いシュートとドリブルです。この特徴を持った選手は世界に沢山存在しています。数十年前よりも高いアスリート能力が求められる時代になった現代フットボールで、スピードのない攻撃的なタイプの選手はいません。三苫選手はスピード一級品な上に、一体一の局面での見えているものの多さが彼の一番の武器だと私は思います。三苫選手は相手を見ながらドリブルをし相手を交わすことができる選手です。サイドでのドリブルの局面では基本で気に相手と向き合うことが重要です。これを正対といい、自分がどちらに行ってもおかしくない体の向きでボールを触ることが重要です。三苫選手はそれを常に遂行し、自分がドリブルをする上での最高な状態を生み出しています。

ドリブルを得意とする選手には2つのタイプが有ると私は考えております。一つは、スピードタイプ、もう一つはクレバータイプです。これはどちらか一方のみを一人の選手が持ち合わせているのではなく、各選手得意なタイプに割合があるものだと考えます。例えば、元バルセロナ、スペイン代表のイニエスタ選手などは相手を見てドリブルすることが得意で、スピードに乗ってギュンギュン躱すドリブルは多くありません。よって彼のスピード、クレバーの割合はおそらく、2:8ほどだと推定します。三苫選手は、この相手を見て躱すクレバーさと速さで躱すスピード感がちょうど同じレベルにあると私は思います。彼のドリブルはスピードとインテリジェンスの絶妙なバランスで構成されており、そのクオリティは日本史上最高といっても過言ではないと私は思います。

また、相手を見ることができる彼のクレバーさは相手以外の味方を見ることにも役立っており、彼のドリブルが毎回成功しているように感じるのは、彼は”いつ仕掛けるべきか”をしっかり理解できる選手だからです。相手ディフェンダーの体の向き、自分の体の向き、自分の味方の位置、さらに1人躱したあとのディフェンダーの距離までを考え、今仕掛けるか否かを瞬時に判断し、その判断は間違いはない場合が多いのも彼のドリブル成功率が高い要因であり、多くのドリブラーができることではありません。

ブライトンからの2023夏の移籍が噂される三苫選手の移籍金は推定80億円との報道もあるほど、彼への注目はとどまることを知りません。まさに日本人の誇りです。これからもたくさん現地観戦をしつつ日本人選手の活躍に期待したいと思います。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?