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あたらしい秋


気づけばこの街に引っ越して1年が過ぎた。引っ越してからの半年間は、正直あんまり覚えていない。新しい家での生活、新しい職場での仕事。実家より田舎な場所なのに、心は都会のように大忙しで、時間があっという間に過ぎていた。

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いまnoteを書いていて思うのは、あのときは本当にnoteを読んでいなかったなあと体がしぼむ。まったく読んでいなかったわけではないが、頭を使って文字を読む余裕がなかった。

つくづく、文字を読むってむずかしい行為だと思う。だから頭空っぽで見れるSNSのパワーは恐ろしい。

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今年の3月〜4月くらいが、寂しさマックスな時期だった。正社員としてはたらき、仕事がぽんっと落ち着き、ようやく生活のルーティンが出来上がる。そこで地元の友達の顔が浮かぶ。

心に余白ができたときに、人は寂しくなるんだなあと知った。

玉造温泉街を散歩した。川沿いの桜並木は恋をしている女の子のような純粋に染まるピンク色、寂しさを無理やり埋めてくれるにぎやかな人混み、夕日のオレンジと街灯の明かりが混じる薄くてたよりない光。

全部全部、私の頬を痛めた。それらがあまりにも美しすぎたから。美しいと人は痛みを感じるんだなって、不思議な感覚を味わった。その瞬間にはじめて春を感じた。

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でも夏。期待どおりの夏じゃなかった。仕事は去年よりは成長できたけど、プライベートの夏は、夏らしいイベントがまた潰れ、雨も長く、ぽつぽつと穴の空く冷たい夏だった。涼しい夏は楽しいけど、冷たい夏は灼熱の夏よりイヤだ。

寂しい春と冷たい夏。本当に引っ越しをして私は正解だったのかと問う。どうすれば正解になるのだろう。ベッドでごろごろして、YouTubeを見て、友達と電話をしても解決しなかった。

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でも秋。この今。私はすごく楽しい。秋の夜は冬に駆けるから寂しくなるはずなのに、去年の忙しさを思い出して寂しくなるはずなのに、これがちっとも寂しくないのだ。

心の余裕と同時に、最近友達が増えた。スケボーをしていて、女子グループに入れてもらい、同い年の友達と仲良くなれた。同じ県内に友達がいる安心感を久しぶりに味わって、忘れかけていたワクワク感を取り戻した。

環境を変えることは、すごく大事。私も昔から環境を変えることが好きだった。小学校の友達とは違う中学校に行ったし、高校もわざわざ隣の市までかよった。

でも最初はツラい。特に社会人になってからの環境を変えることは、本当にツラい。学校にはコミュニティがある。けど社会人はコミュニティに自分から行く必要がある。


もし環境を変えた社会人で、近くに友達がいない人には、ぜひとも気軽なコミュニティに入ってみてほしい。寂しさは意外と「人」で解決できる。その手段はリアルじゃなくてもオンラインだっていい。気軽に人と話す時間は大事だなあと、あたらしい秋の日に思う。




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