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#聞いたよ20歳 vol.19 サトウカエデさんへ


聞いてよ20歳!

20歳に伝えたい文章を1000字以上で投稿するコンテスト。応募作品に対しての感想を投稿する、それが聞いたよ20歳!です。


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19.【小説】きこえないはずの音が、僕の骨を軋ませる


人事・採用・働き方等の執筆をされている現役ライターのサトウカエデさんが、まさかの「小説」でご参加いただきました!!嬉しながらも困惑しています!(笑)。


「2万hz以上の音を文章で表現してみる」

仲さんが、嶋津さんの文章レビューで出したお題をカエデさんも書いてみようと決意した作品。

読めば読むほど、ぼやけた情景がはっきりと映ってくるステキな青春小説だと感じました。ぜひともいろんな方に繰り返し読んでいただきたいです。


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2月14日金曜日、バレンタインデーの夜に投稿され、彼氏に会いにいくために電車に揺られながら読みました。正直、とってもエモーショナルでした。

物語にするにあたって考えてみたことは。低周波数帯域は皮膚に響くのに対して、高周波数帯域は骨を伝わるんですって。骨まで響いたら、人の体からなにが出てくるのだろう。

物語の主人公は、20歳の「僕」。「僕」は2ヶ月11日ぶりに会う彼女と体を重ねたときに、たくさんの「2万hz以上の音」を骨の奥底まで響かせていることが伝わります。

数多くない初々しい回数がよりいっそう彼らを刺激し、さまざまな音に敏感になったのでしょうか。とても胸がドキドキしました。

可聴音域は若い頃のほうが広いから、青春と呼ばれた時代は、目に映る細々したものが心を揺さぶるんでしょうか。そんなことを思いつつ。

個人的にですが小説も映画も、青春ジャンルが一番好きです。

「目に映る細々としたもの」。このカエデさんの描写が、たまらなく美しい。本当に作品の虜になりました。

私はこの物語の中で、仮説ですが「2万hz以上の音の表現」をいくつか見つけてみました。皆さんも何度かお読みになって、探してみてください。

見つければ見つけれるほど、物語の甘酸っぱさが奥まで響いてキュゥっとなります。


立ち昇るライラックのような花の香が、脳みそを揺さぶる
瞼のうらに、いつか見た海が浮かんだ
視界を鮮やかに染める色が、僕のやわらかい内臓を刺激する
脳裏のカラフルな映像が僕の骨を震わすたびに、想いが血肉を掻きむしる


きっと「僕」は幸せなんだろうなあ。こんなにも彼女と2万hz以上の音を感知しているんです。音としては聞こえないけど、彼女とともに全部抱きしめて欲しい。その感知した体験も、未来ある人生に必ず必要となるのでしょう。

どうか瞼のうらの海へ放たれませんように。眺めた夕日に焼かれませんように。「僕」が「僕」であるためには、いまそばにいる彼女と感知した体験を大切にしてくれますように。

きこえない音なんて聞くもんじゃない、なんて。本当は嬉しいくせに。私は、照れくさそうにする「僕」へ慈愛に満ちたまなざしを向けて、やさしく物語を読み終えました。


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カエデさんは、この作品を通して「感性豊かになろう」というメッセージが込められているのではないかと思いました。

20歳って、ありとあらゆるものに感動できる年齢です。

だからこそ、「僕」のように、海を眺めてもいい。空を眺めてもいい。太陽を眺めていい。普段から地球上にある自然へ耳をすませて、からだ中に響かせて。

「聞こえない音」も聞く姿勢を大事にすれば、新鮮さを吸収して感性を豊かにさせると思います。大げさかもしれないですが、世界をうんと広くしてくれると私は信じています。


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