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手の鳴る方へ 一◯
私は、今歩いてきた道を引き返すことにした。
貴方が居なくなった原因がどこにあるのか知らなければならない。
振り返るのは少し怖いが、後から後悔するぐらいならば、試せる事は試しておきたい。
振り返るとそこには、狐面少年が立っていた。
貴方よりも、背が高く、印象としては6年生くらいの体格をしていた。
「な、なんですか。私の息子に何かようですか?」
一呼吸おいてから、大人の威厳を保とうと勇気を振り絞って声をかける。
少年は答えずに首をふる。
「じゃあ、私に何か伝えたいことがある?」
そう言うと今度は一度だけこくんと頷いて、すっとある一方向に向かって指を指し示す。
それは、道から少し離れたところに建てられた小さな祠だった。
普段は、気にもとめていなかったのでそこに祠があることすら知らなかった。
とても小さなもので、人ひとり隠れることすらできない大きさだ。
「これが、なにか」
と少年がいた方に向き直ると姿が忽然と消えていた。
やはり、なんらかの怪現象に巻き込まれたと考えるほうが正しいようだ。
犯罪や事件に遭ったのではないことは幸いか。
そんな風に考えてしまうのは、健全ではないが。
祠には、花が添えられていた。
雨風にさらされていないところをみると、かなり真新しいもののようだ。
そして、ふと思い出す。
この花には見覚えがある。
卒園式で貰った花束に、同じようなピンクの花があった気がする。
偶然かもしれないが、なんらかの共通点を見いだすことができた。
貴方は、この場所に立っていた。
祠には、別に紙切れのようなものが置いてあったが何が書いてあるのかは私には分からなかった。
https://note.com/kyk505/n/n9c31235edd75
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