幸運の壷
今回、おひたち氏より、どこかのコメント欄で協賛させてほしいと言われた気がしたので、有料記事にはしておりませんが、広告がつきます、ご容赦願います。(カツアゲシステム採用)
ある日一緒に暮らしていた
彼女にその話をしたんだ。
「ついに買ってしまった」
「何を?」
「壷だよ壷」
「なんの壷?」
「幸せになる壷にきまってる」
「えっ?何の宗教?」
「なんの宗教って北陸教会だよ」
「北陸教会ってテレビで話題になった
インチキ」
「インチキってなんだよ
お前、壷が羨ましいからって
そんな言い方ないだろう!」
「おめでたい人。愛想つきたわ
さようなら」
「え?別れるってこと?」
「あなたのそういうところが
もう耐えられないの」
「わかった」
あっさり別れを受け入れたのは
別に彼女と別れてももっと
素敵な人とまた出会えると思ったからさ
理解し合えない者同士が
無理に同じ船に乗る必要はない
それに俺には壷がある
今までの俺は何もできず
成績があがらないから
上司に怒られないようにだけする
駄目な営業マンだったけども
今日からは違う
だって壷があるからね
何をやってもうまくいくって
北陸教会の教祖様は言ってたもの
実際、やる気にみなぎり
ばんばん営業をかけたんだ
時には、強引に
「えー部長かってくださいよー」
取引先の部長におねだりしたりして
やはり壷の効果は凄い
今まで売り上げゼロの月もあったのに
1か月で1000万円近い売り上げだ
歩合で100万円も貰えた。
本当に歩合ってでるんだな
お礼をしに教会に行かないと
教会に着くと
色んなことを聞いてくれるんだ
だいたい月の生活費にぎりぎり
いくら必要かとか
俺はそうだな。彼女とも別れたし
六畳一間のアパートだし
家賃いれても20万円もあれば
そこそこやってけるかな
教祖様とは直接会う事なんて
できないのだけども
幹部の方が直々に俺を呼んでくれた
いいのかな?一般信者の俺なんか
「きゃらをさん、どうですか
壷の力は?幸せはきましたか?」
「はいっ!!もちろん」
「だけど困ったことになりました」
「えっ?どうしたんです?」
「それはお試しの壷だったので
本物を買わないと、この御利益が
逃げてしまうかもしれません」
「えっ・・それは困ります
どうしたらいいですか?
本物の壷って・・おいくらですか?」
「80万円になります」
すごいな、俺の生活費は20万円あれば
やっていける。丁度歩合もでたし買える!
奇跡って本当にあるんだな。
なんて俺は幸運に味方されている
いや、壷のおかげだな。
「もちろん買います!!」
俺は燃えた。今までの俺なら
80万円なんて手が出なかった
だけども、今俺はとても
幸運を手に入れている
仕事にも身が入るんだ
今まで17時の退社時間を常に
意識してたけど、気づけばもう17時
上司に申し出た
もっと自社の商品を熟知したいので
残業代いらないので勉強していいですか?
タイムカードはいそいそと切って
申し出たら、それだけなのに
何か感激してるなこの人
なるほど、こんな機能は
こういう場面で使えるな
営業のノートも纏めておこう。
そういえばアイエス商事の山下部長には
最近連絡とってないな
ちょっと気まずくなってたんだよな
いいや、電話しちゃおう
「どーもどーもすみません山下部長」
なんか生活に張りがでるな。
壷を買っただけなのに!
俺はなんてラッキーな男だっ!!
今月は何と2000万円も売り上げた
全国1位ではないけども
関東では1位だった
歩合ももらい給与は200万円だ
教団にお礼に行かないと
教団につくと幹部の方が言う
「きゃらをさん、壷の幸運は
何で出来ているか知ってますか?」
「えっ?そんな事考えた事もない」
「壷はですね、親を亡くした子供たち
その子供たちがたべていけるように
無料でご飯を提供したり、学校に通わせたり
そういう慈善活動をすることで教祖様が
運気をあつめて壷に宿しているのです」
そうだったのか!!道理で!!
教祖様に運気をわけていただいていたのだな
「少しお布施していただけないでしょうか?」
「いくらですか?」
「180万円ほどになります」
「!?・・・・」
「高いですか?高かったら言って下さいね
怪しまないでくださいね」
「・・・・・・」
「大丈夫ですよ?気持ちだけでも」
「いやぁ、感動しました
私は20万円もあれば生活できますし
丁度180万円歩合ででたので
その金額とドンピシャだったから
びっくりしました。奇跡ですね
はい、これ180万円です」
「あ・・・ありがとうございます」
神様っているんだな。
それがわかるから教祖様になれるのだな。
今まで自分は自分で生きていると
そんな思い上がってた事が恥ずかしい
次の月は5000万円を売り上げた
もう全国1位だった歩合は500万円
それだけじゃない
異例の出世だ
いきなり役員に抜擢された
なんでも、人知れず残業をしてたのが
評価されていたらしい
周りの俺を見る目が暖かい
別に仕事が面白いから周りの人達の仕事も
率先して手伝ってただけなのになぁ
こんな風に言ってくれることもあった
「きゃらを先輩に僕憧れてます」
嬉しいけど、いいのかな。なんだかごめんな。
部下たちにも恵まれて
俺が運営する部署はまた莫大な
成績をおさめた
最近は教団に行けていない
それだけがとても心残りだ
するとそこに、教団の幹部の方が
直接きていただけた
わざわざ私のために足を運んで頂けるなんて
「すみません、足を運んでいただいて」
「凄いご活躍ですね」
「いやー壷のお陰です」
「実は教団が投資した株が失敗して
存続が危ういのです・・そこで
少し助けていただきたいのですが・・」
なんと!そんな事になっていたのか
わざわざ教えに来てくれるなんて有難い
丁度歩合も何か月分かあるし
直ぐ銀行にいって全額降ろした。
「いやーもっと早く言ってください
1000万円です。私の全額です」
イエスキリストの教えにもあったな
与えよ、さらば与えられんって
でも先に壷を売って下さったのは
教祖さまだからな。
このご恩を大切しないと
お金の周りもよくなるし
後輩たちも誘ってくれて
ふいに、昔やっていたバンドを
もう一回やってみたくなってさ
青春を取り戻したい感じかな
ギターを買って趣味で遊んでいたら
レコード会社の方がたまたまいて
「えーオリジナルの曲ですか?」
「はい。遊びですけどね」
「いや、凄く良いですし歌詞も優しい。
それでいて胸を打つ、
よければデビューしませんか?」
「えっ?でも、会社がありますし」
「会社も続けててもデビューできますよ!」
二足の草鞋というか
デビューなんて眉唾ものだと思ってたら
まさかのダブルミリオン
一躍、時の人になってしまった
会社は仲間もいるし辞められない
辞めたら困るからと
会社の代表に就任してしまった
壷の効果は絶大だな
そこへ教祖様が直々にきてくれた
「大出世おめでとうございます」
「いえ、教祖様のおかげです」
「私のおかげ?」
「そう、壷を売ってくださったから」
「あっ・・・そうでした」
そういってまた俺は感謝を込めて
教祖様に寄付したんだ。
「はいこれ、全財産をどうぞ」
それでも両方の年収は手取りで
3億は超えていた
翌年には20億にまで膨れ上がった
また、教祖様が忙しいからと教祖様自身が
足を運んでくださった
随分とやつれた様子だな
「色々と訴えられて、裁判に負けて
お金が無くて困っているのです
ちょっと助けてくれませんか?」
俺は20万円もあれば生活できるし
少しはいい家にすんだけど
音楽活動の時楽屋には弁当もあるし
衣装も貸してもらえる
至れり尽くせりだからな
それもこれも教祖様が売ってくれた
壷のおかげだ。
全部教団に寄付した
翌年は英語化した歌が全世界で
1000万本以上売り上げた
YOUTUBEに動画をあげたら
チャンネル登録者は1日で7億人
務めている会社は私の知名度もあり
世界企業に成長してしまった
もはや、年収などいくらかわからない
そこにまた、教祖様がきてくれた
「すみません。どうか、私に
壷を返してもらえないですか?
お金なら全部お返ししますからー!」
「それはちょっとできないです」
良ければこちらのフォローもお願いします。
https://twitter.com/kyarakyarawoya1
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