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【投球後に必要な肩周りのリカバリー】

こんにちは!

今回は『投球後のリカバリー』について解説します。


■投球後の肩周りに起こる変化

投球後に肩まわりの起こる変化としては「筋出力の低下」があります。これは投球時に筋肉が使われ続けるからです。

疲労し、筋緊張が高くなった状態の筋肉は力発揮がしにくくなります。

連続投球後の肩関節周囲筋力の変化に関して, 棘上筋や棘下筋,小円筋などの腱板筋群(肩のインナーマッスル)の筋力は連続投球後に低下することが報告されています。

1)田崎 篤, 他. 肩関節. 2010
2)吉原圭祐, 他. 理学療法科学. 2012


また、肩のインナーマッスルだけでなく、肩甲骨周囲筋にも同様の変化が起きます。

過去の研究で、春季キャンプ中におけるプロ野球選手の肩甲骨固定性は低下しており、投球数を重ねることで肩甲骨周囲筋に疲労が生じることが示唆されています。

3)田中稔, 他. 肩関節. 2012


しかも、これは”60球程度”でも起きると言われています。

健常者を対象に60球の連続投球で上肢筋力に変化が生じるかを調査した研究では、「連続投球後では empty can test(棘上筋),肩関節外転位での外旋筋力,僧帽筋中部筋力,僧帽筋下部筋力,前鋸筋筋力,zero 外旋筋力の低下を認めた」と報告しています。

4)阿蘇卓也; 加賀谷善教. 日本臨床スポーツ医学会誌. 2021


まとめると、投球後は

・棘上筋や棘下筋、小円筋などの肩のインナーマッスル
・僧帽筋中部や僧帽筋下部、前鋸筋などの肩甲骨周囲筋群

これらの筋力が低下します。

■筋出力低下の原因と対処方法

この原因は筋肉内の血流が低下していることです。

そのままの状態で翌日を迎えると、疲労が抜けなかったり、痛みを感じたり、ケガにつながることになります。


では、どうすれば良いのでしょうか?



「血流をよくする」ことが重要になります。


その方法としては、軽い運動(筋収縮)をすることです。(有酸素運動も一つですがそれに関してはまた別の機会に解説します)


インナーマッスルのチューブエクササイズがありますが、これを”投球後”に行い、血流を改善させ、筋出力を戻ることが必要になります。


■投球後のリカバリーの実際

①インナーマッスル編

肩のインナーマッスル(腱板筋群)のエクササイズに一つにチューブを使ったものがあります。

5)Wilk KE, et al. Phys Sportsmed. 2011 

ただ単にルーティンとしてやっていては意味がありません。

意識するポイントがあります。


〈ポイント〉
・肘を身体につけたまま行う
→純粋な肩の内外旋で行えるように

・30回くらい行える強度のチューブで行う
→強すぎるとアウターマッスルが優位に働きインナーマッスルが働きづらい


〈よくある代償動作〉
・肘を後ろに引きながらチューブを引っ張る
・肩がすくむ
・体幹が回旋する

これらの代償動作はほとんどがチューブの強度が強いのが原因なことが多いです。

強すぎる負荷


また今回紹介するのは参考論文より引用した方法であり、『より体幹にも刺激を入れながら行える』方法です。

スタビライズボール(バランスボール)上で姿勢を正しく保ちながら行うことで体幹筋群の収縮が入ります。

投球時も同じように体幹を安定させた状態でのインナーマッスルの力発揮が大事です。

以下の動画を見て、ぜひ参考にしてください!

続き….
■インナーマッスルに対するリカバリーの動画
■肩甲骨周囲筋群に対するリカバリーの理論と動画
■実際の症例動画 など

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