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ACWR(Acute Chronic Work load Ratio)を上手く活用しよう

みなさん、こんにちは!
野球トレーナーの矢部です。


みなさん、

練習やトレーニング、急に負荷を上げすぎていませんか?


練習やトレーニング負荷の急激な増大は今後のケガのリスクを左右します。

その負荷の指標として今回は

【Acute Chronic Work load Ratio(ACWR)】というものを紹介します。

ACWRは簡単に言えば、

ここ1カ月の慢性的な負荷(Acute load)と、現在かかっている負荷(Chronic load)との差がどれだけあるのかを見る指標です。

今回はその負荷の算出の仕方とその数値の意味を解説していきます。

■はじめに

直近1週間の負荷(Acute load)が直近4週間の負荷(Chronic load)の1.5~2.0倍になるとケガのリスクが高くなる
(Gabbett, T. British Journal of Sports Medicine. 2016より)

と報告されています。

簡単にいうと
「急に負荷を上げるとケガしますよ」
ということです。

例えば、新しい技術を身に付けるために練習に打ち込み過ぎたり、普段より強度の高い練習を続ける強化合宿をしたりと、いつもと違う事を急に始める時は注意が必要です。

■負荷の種類

負荷の種類には

・走行距離やジャンプの回数などの量的なもの
・心拍数や乳酸濃度など人によって変わってくる質的なもの

の大きく2種類あります。

それぞれを、外的負荷内的負荷と呼び、正確にデータを測定するためにはこの2つは分けて考える必要があります。

今回は内的負荷の測定方法として【自覚的運動強度(RPE)】を紹介します。


■負荷の算出方法

PREは自覚的な運動のキツさを数値で表したものです。

0〜10で表します(0:全くキツくない 〜 10:とてもとてもキツい)

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そして負荷(Work Load:WL)は、
【セッションRPE(sRPE)】というもので
算出できます。

その日の練習のキツさを主観的に0~10で採点したsRPEに
その日の練習時間(分)をかけた数値が
その日のWLとなります。

例)今日の練習はキツさが5程度だった。練習時間は2時間した。
5(sRPE)x 120(分) = 600(WL, 単位なし)

これを毎日記録します。
そして、直近1週間と過去4週間を比較し、ACWRを算出することで

『特定の1週間の練習やトレーニングメニューにどれだけ怪我のリスクがあるのか』を測る指標にします。

ACWR=計測したい週の負荷の平均/過去4週の負荷の平均

例)1週間の総WLは4200。
それに対して過去4週間の総WLは16000(1週間当たり4000)
ACWR=4200/4000=1.5


■目安の数値


ACWRの値が1なら平均(過去4週間と同じくらい)で、

1より高ければ平均以上の負荷がかかっていることになります。

ACWR=0.8〜1.3であれば
比較的安全(急激に負荷は変動していない)と言われています。


■注意点


ACWRは過去の負荷と比べるものなので、
負荷がずっと低くても1に近い値となり、逆にずっと高くても1になります。

そのため単純にこの数値だけでは、

練習やトレーニングの良し悪しを判断することはできませんが、

重要なポイントは、
今かける負荷は、未来にかけられる負荷の量も決めるということです。


すなわち、
『急な高い負荷は未来の怪我を引き起こす』可能性ということです。


■まとめ

今回は【Acute Chronic Work load Ratio(ACWR)】という概念を用いた

内的負荷の測定方法として【自覚的運動強度:RPE】を紹介しました。


RPEはトレーニングのキツさを0から10まで、
選手それぞれが評価している
主観的な数値なので、
それをもとに負荷を正確に判断するのは
難しいです。

しかし、『継続的にモニタリングする』ことで、負荷の変動が見られます。

特別なツールがなくても、
選手に聞きさえすれば数値化できるので、
【選手の状態を把握するファーストステップ】
としては有効だと思います!


指導者や保護者の方はぜひ子供たちの自覚的な運動強度を聴取して

どれだけ負荷がかかっているのか?を把握してみてください!


今後もこのnoteでは、これまで得た私の知識と経験をもとに皆様の野球のレベルをワンランク上げていきたいと思います。野球に関するトレーニング、身体のケア、ピッチングやバッティングのパフォーマンス向上などを科学的な知見をもとに発信していきますので、見逃さないためにもアカウントのフォローをお願いいたします!


矢部和樹(やべっち@野球トレーナー)

【活動】
・理学療法士(スポーツ整形外科勤務)
・中学硬式・高校野球部トレーナー
・公認野球指導者(U-15)
・バッティング研究(大学院修士)



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