プロ野球選手のピッチング・バッティングフォーム解説Vol.2後編
こんにちは!野球トレーナーの矢部です。(Instagram・Twitterで情報発信中!)
プロ野球選手のフォームを解説するこの企画
第2回は埼玉西武ライオンズ・山川穂高選手です。(前編はこちら)
【前編のまとめ】
前回、キーワードは『高く上げた足』と『スイング軌道』と書きましたが、
前編では、「足を高くあげること」で
位置エネルギーを高くし、次のステップでの運動エネルギー増加(重心移動の加速)につなげていること
下半身は重心移動し、手を残すことで「捻転差」をしっかりと作っていること
を解説しました。
後編では、2つ目のキーワード『スイング軌道』について解説します。
今回はその「スイング軌道」に着目して、バッティング動画をご覧ください。
【バッティングフォーム解説】
まず、山川選手のバットスイング軌道を解説する前に、「飛距離と理想的なスイング軌道」について考えたいと思います。少し長くなりますが、重要なところなので、読んでみてください。
■バックスピンをかける
飛距離を出そうと考えるとき、ボールの下を打ち、バックスピンをかけることでボールが遠くに飛ぶことをイメージされる方が多いかと思います。実際、そのように打つ練習を見ますよね。
確かにバックスピンが強いほど大きな揚力(≒自由落下に抵抗する力)がボールに働き、飛距離は伸びます。
そのため、強いバックスピンをかけるには、ボールの下側を打つことに加え、なるべく中心から離れた位置でインパクトする必要があります。
■打球速度を最大化する
しかし、打球速度が最も大きくなるのは、投球されたボールの軌道とバットの軌道が一致し、かつボールとバットの中心が正面衝突した時です。(城所 他, 日本機械学会シンポジウム講演論文集, 2009より)
すなわち、ボールのなるべく下側でインパクトすると、強いバックスピンはかかりますが、打球速度が上がらなくなり、結果的に飛距離が伸びなくなってしまいます。
一方、ボールとバットが完全に正面衝突をした際は、スピンがかからず無回転になるため、揚力の効果はゼロになり、早く落下してしまいます。
■理想的なバットの軌道とは?
以上を踏まえると飛距離を最大化するには、バットの軌道を投球されたボールの軌道に合わせることに加えて、ボール中心のわずか下をとらえることが必要です。そうすることで、打球速速度が最大化、かつバックスピンのかかった理想的な打球になるからです。
では、どのくらいの角度でそのくらいボールの中心から下を打てば良いのか?
先行研究によると、ストレートを打つ場合はバットの軌道は19度上向き、かつボール中心の6ミリ下をとらえることで飛距離を最大化できると報告されています。(Nathan A, 2015)
投球されたボールは8度前後下向きの軌道を描きますので、打球速度を最大化する完全正面衝突であれば、8度前後上向きのスイング軌道でボールの中心をとらえることが最適となります。
しかし、飛距離を最大化させる場合は、さらにアッパー気味の軌道でボール中心のやや下側をインパクトすれば良いということになります。
■理想的なインパクトを迎えるスイング軌道にするには?
それではスイングの軌道の構造からどうすればアッパー気味の軌道でインパクトできるか解説していきます。
一般的に、スイング軌道はトップからフォロースルーまでバットヘッドは弧を描くような軌道(ダウン→レベル→アッパー)になります。
そのため、その軌道のレベルからアッパーの局面でインパクトすることが理想的と言えます。
このアッパー局面でインパクトを迎える方法は2つあります。
1つ目はミートポイントをより投手寄りに置くことです。
スイングの終盤、つまり投手寄りにかけてアッパー軌道になるので、身体のより前で捌くイメージです。しかしこの方法では、スイングの終盤になるのでスイングスピードが落ちたり、外角のボールが届かずバットの先っぽに当たったりして、結局、打球速度が落ちる可能性が考えられます。内角のボールを捌く時には良いかもしれません。
2つ目はスイングの
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