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5:結局、彼女とは別れないんでしょ。

やはり彼は、私のことを特別だと言う。

夜遅くまで電話をすると、彼はいつも決まって甘い言葉を紡ぐのだ。

あーちゃんは特別だよ。かわいい。なんでそんなにかわいいの?


眠いふりをして言っているのか、本当に寝ぼけていて無意識で言っているのか分からないが、前者でも後者でも彼女がいる彼にとっては言ってはいけない言葉だろう。と思う。
そして私はそれをまともに受け取ってときめいてしまったらいけない。とも思う。

「あなたはそういう人って理解するしかないの、色んな女の子にそう言っているんだよね。」

そう言ってみた。


誰にでも言ってるわけじゃないから。
 女の子と遊ぶこともあるけど、
こんな風に俺から遊びに誘うことは無いし。
 あなたは特別って思うから、
俺の中で、あなたに対する意識の存在が
変わってきてるのかもね。

彼は言葉を紡ぐのが上手いと思う。
私は語彙力がないから、いつも彼の言葉を聞くと返す言葉に困ってしまう。

そんな私を見て、ゆっくりでいいよ、と言って私が話すのを待ってくれるところが好きだ。


彼とは仲良くなるのに全然時間がかからなかった。というか、初めから距離感が無かったからすぐに仲良くなってしまった。
急に仲良くなると、急に仲良く無くなるのではないか、と思うことがあって、そう思うと、仕方ないけれど少し寂しい。

彼にはなんでも話せる。
昔好きだった人の話、理想の相手、将来のこと、貯金の話、ふざけた話、真剣な話、辛い話、生々しい下ネタ、毎日のなんでもないことも。なんでも。

こんな友達は他にはいない。男友達ではもっといない。それは彼もそうなのかもしれない。
だから特別だと思ってしまうのか。

ただ仲が良くて、気を遣わずに話が出来て、たまたまそれが、異性で、恋愛対象だったってだけだ。

私のことを特別だと思ってくれてたとしても、彼は付き合っている彼女と別れる気はなさそうだから、私と付き合うと言う選択肢はないんだろう。

私もこんな男は嫌だ。彼氏にしたくはない。でも、結婚するならこういう人と付き合いたい。
彼は尊敬出来るところがあるから。

こんな考えは甘くて頭がおかしいんだろうか。


夜中の1時半、寒空の下電話をしながら散歩に出かけるのはこんなにも楽しいものなのか。
それは、電話の相手が好きな人だからなのか。
ただ、私は本当に彼のことが好きなのか。

散歩途中に買ったミルクティーは
熱が冷めると急に不味くなった。

恋もそんなものなんだろうか。


Ckw.

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