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フランスがNATO東京事務所開設に反対している件と、トルコがスウェーデンのNATO加入に急に賛成した件を並べて考えてみる

フランスのマクロン大統領が、NATO東京事務所開設に反対しているという話を聞いて、「マクロンの鼻もちならないクソ野郎め・・・!」と思う方も多いだろう。かくいう私もその一人です 笑

フランスは、なんだかんだで自分らが一番と思っているしね・・・

けれども、トルコが急遽スウェーデンのNATO加盟を承認したという報道を聞いて、改めて外交戦というものを深くかんがえさせられたので、ここにまとめてみる。

トルコがスウェーデンのNATO加盟を急に承認した件

トルコのエルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領の仲良しだし、クルド人をかくまっているという理由でスウェーデンのNATO加入を拒否し続けてきた。

けれども、ここへきて急にトルコがスウェーデンのNATO加盟に同意した。

この裏には、トルコ市民のEU入国の簡易化、関税障壁の撤廃のためにスウェーデンが頑張ります、という取引があった模様だ。さらに、アメリカからF16の供与も引き出すことに成功したという。

つまり、トルコのエルドアン大統領は、「スウェーデンのNATO加盟に賛同する」というカードを、高く売りつけることに成功したのである。

これが、外交のリアリズムだ。

私を含め平和ボケした日本人にはなかなか理解しにくいけれど、いろいろなものをバーターに使うという外交戦を、良く理解しておいた方が良い事例としてここに書きとどめておく。

フランスがNATO東京事務所開設に反対している件

上記事例をふまえたうえで、改めてフランスがNATO東京事務所の開設に反対している件を考えてみる。

フランスにとって中国はお得意様で、中国の機嫌を伺いたいという側面も確かにあるだろうけれど、フランスってなんだかんだで自分らが一番と思っているので、単にそれだけではないという可能性は考えておいた方が良いと思う。

フランスは、自分たちが決定権を持っている「NATO東京事務所開設していいよ」というカードを、高く売りつけたいのである、きっと。

フランスもずっと中国の言いなりということを良しとはしないだろうので、日本がいいバーターを示せれば、コロッと立場を変えるに違いないと思う。

そういったカードを示せるかどうかが、日本外交の腕の見せ所である。ただし、個人的にはNATOの東京事務所開設はそこまで優先順位の高いことではないと思うので、そのバランスを考えながら交渉に当たって欲しい。

NATOの東京事務所ができるにこしたことはないが、まずはイギリスのTPP加入の方がより大きなgood newsである。


NATOも本音ではインド太平洋地域に関与を深めたい

今回のリトアニアでのNATO会議には、日本だけでなく韓国・オーストラリア・ニュージーランドという太平洋諸国(日本がいうところのAP4という枠組み)も招待されている。

NATOも本音では、ロシア後を見据えて、インド太平洋地域に関与したいのだろうと思う。

その流れの中で、日本がリーダーシップを取れるのかどうか、という手腕が問われている。

(画像はイラストACから引用しています)


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