世界情勢を複雑化させる因子・フランス
現在の世界情勢をごくザックリと言うと、自由民主主義陣営 VS 権威独裁主義陣営のチーム分けが進んでおり、そこに属さない第三勢力・グローバルサウスがある、という感じである。
けれども、自由民主主義陣営にありながら、隙あらば独自路線を行こうとする国がある。それが、フランス。
世界情勢を読み解くうえで、しばしば鍵になるフランスの立ち位置を読み解いてみる。
フランスの路線:欧州の番長
NATOが東京に事務所を開設するということが話題になっていたが、フランスのマクロン大統領がそれに反対したようである。
マクロンさんとしては、アジアのゴタゴタに巻き込まれたくない、中国での金儲けの邪魔をされたくない、という思いがあるのだろうけれど、同時にフランスは「なんだかんだで自分が一番」と思う節があり、アメリカの一極覇権を望まない傾向がある国である。
その「欧州はオレが仕切っている」という、欧州の番長的発想がこの発言を生む下地になっていると思う。
アメリカの一極覇権を望まないという点においては、その思いの強弱はあれど、同じベクトルを向いているのがフランスと中国である。
その意味では、自由民主主義陣営の結束を切り崩したい中国としては、もっともターゲットにしがいのある国である。
少し前には、マクロン氏の「台湾有事には関わらない」という発言も話題となったことがある。
フランスの動向は、世界情勢を複雑化させる要因となる。
とはいえ、マクロン氏の意見がフランスのエスタブリッシュメントを代表する声かどうかは分からない。
かつてフランスのシンクタンクが日本の外交的変化について、好意的に分析するインタビューについて、記事にしたことがある。
このことから、NATOの主流派や、フランスにおいてある程度世界情勢が見えている人たちは、日本でのNATO事務所開設を望んでいるのではなかろうかと思う。
NATO事務所は開設するのか、しないのか、するのか、すると思ったらせえへんのか~い(笑)、となるのかどうか引き続き注目していきたいと思う。
(画像は写真ACから引用しています)
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