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円安最高!と叫びなさい:by 円安の悪魔

「円安最高!」
「円安最高!」
「オマエも、円安最高!と叫びなさい」

と、円安の悪魔がいたとしたら言うだろう(笑)

1ドル150円に達した「円安」、これは日本の未来に何をもたらすのか、未来の悪魔の聞いてみようww

円安は日本の貧困化の象徴なのか?

最近の日本のマスコミでは、円安こそ日本の貧困化の象徴であり、物価高に苦しむ庶民の諸悪の権限である、という「円安=悪」論が流行している。

これは、部分的には正しい。

たしかに、欧米でちょっとランチしたら5000円だった、オーストラリアでバイトしたらびっくりするぐらい稼げるので、ワーキングホリデーが流行っている、などという報道を良く目にする。

円安とは、ざっくりといえば円の価値が下がっているということなので、外国のものを購入するときに不利になる。その結果、外国に行けば「食事は高い」し、輸入品の値段も高騰し、結果的に日本国内の物価を押し上げる要因となる。

けれども、外国の物価がべらぼうに高い、輸入品の値段が高騰している、という現象は、円安だけが原因というわけでない。

円安がもたらされた時間の流れを追ってみる

せっかくなので歴史をかなり遡ってみると、民主党政権末期、安倍政権誕生前夜の2012年11月ごろは1ドル=80円前後であった。

アベノミクス爆誕により、異次元金融緩和がはじまって2015年6月ごろには1ドル=120円前後となった。その後はゆるやかに円高方向となり、105円~115円レンジで推移、2021年1月には1ドル=103円前後となる。

円ドル為替レートの大まかな推移

そのあたりでトレンドは転換して円安方向へ、ウクライナ戦争がはじまった2022年2月ごろから急激な円安がすすみ、115円前後→現在150円程度、となっている。

つまり、歴史を振り返ると、アベノミクスによる異次元金融緩和(超低金利政策)による適正レンジは、1ドル110~120円程度と思われる。その後の急激な円安は、アベノミクス以外の要因によって起きている

その理由を紐解いてみよう。

第一に、2020年2月ごろからの新型コロナウイルスの流行である。新型コロナウイルス流行により、欧米では厳格なロックダウン政策がとられ、経済活動は大幅に縮小した。同時に、国民には給付金がバラまかれ、国民の間に流通するお金が増えた。つまり、経済(供給)縮小過程で国民のキャッシュが増えた。その後、供給の復活が追い付かぬ経済活動急回復が起こり、これは、欧米にインフレを起こす大きな原動力となった。

第二に、2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻である。世界有数の食糧及びエネルギー供給国であるロシアが西側経済から排除されることで、あらゆるモノの価格が上昇した。第一の理由に追い打ちをかける、物価上昇要因となった。

そして第三に、第一・第二の理由により、インフレ(国内の急激に物価上昇)に苦しむこととなった欧米諸国では、インフレ退治のために急激な金利の引き上げを行った。

アメリカの金利はいまや4%を超え、5%に迫ろうとしている状況である。「いま、インフレ退治を行わないと、将来が大変だ」ということで、必死のようである。

金利が高いということは、その通貨で貯金しておいた方が良いということでもあるので、「金利が安い日本円を売って、どんどんドルで預金しようぜ・・・!」という流れができたことが、今回の円安の本質である。

従って、円が売られているという現状は、日本の貧困化を象徴する現象とは必ずしも言えない。

円安は悪なのか?

たしかに、一般論として、「貧しい国」の通貨は安く、「豊かな国」の通貨は高い、という「大まかな方向性」はあることは否定しない。

戦後まもないころ、1ドル=360円だった。その後、日本の国力向上とともに、徐々に円高方面へとふれていったわけである。

そして、レーガン大統領時代の1985年、「プラザ合意」によって”意図的な円高誘導”がもたらされる。プラザ合意とは、ざっくり言えば、「日本の輸出企業がもうけすぎだろ!アメリカ企業にもっともうけさせろ!(ドル安の方が輸出業が儲かり、貿易赤字を克服しやすい)」ということである。

以後、アメリカは日本の意図的な円安誘導を許さない雰囲気となり、日本の民主党政権時代に1ドル=75円までの円高となるのである。(1ドル=75円の超円高時代に、何かいいことがあっただろうか??)

つまり、以前はアメリカが「許さん!」と言っていた円安を、今やアメリカが容認しているのである。

「安い日本」は、来るべき日本復活への布石となる

ここまでの流れを総括すると、つまりはこういうことである。

円安により、日本は安い国になってしまった。日本人は外国へ行きづらく、逆に、外国から見れば日本は超お買い得である。けれども、これは日本が本当の意味で貧しい国になってしまったからというより、日米金利差(日本は低金利、アメリカは高金利)によって生み出された付随的なものである。ウクライナ戦争やコロナ後の経済急回復も、インフレ圧力となっていて、円安のみが日本の物価高の原因というわけではない。アメリカは元来、日本が円安方向へふれることを許さなかったが、現在は許容している状態である。

以上を踏まえたうえで、「じゃあ、円安に何かいいことはあるんですか?」という問題を考えてみたい。

メリット①:輸出企業に追い風
円安は輸出企業にとって追い風となる。実際に、直近には過去最高益をたたき出す企業も多く、結果として日本の税収も過去最高となっている。

メリット②:日銀(財務省?)に莫大な利益
急激な円安対策に為替介入を行っているようだが、これはドルが安い時代に買ったドルを、高い時代に売っている行為と等価なので、為替介入を行った日銀は莫大な利益を得ているはずである。

メリット③:製造業に国内回帰及び外国資本の日本投資が進む
円高時代、国内で作ってももうからない、人件費も高い・・・ということで、国外への工場移転が加速した。今回は、その逆である。日本国内で作って輸出した方が儲かるし、人件費も安い・・・。

世界最高レベルの民度の日本人が、超お安い値段で雇えるのである。これは日本に投資するしかないよね!ということで、実際にTSMCやマイクロンなど、外資の国内投資も進んでいる。

「日本人が安く使われるのは屈辱・・・!」という気持ちも分かる。分かるんだけれども、長い目でみれば、いまこそ日本の製造業復活の大チャンスがきているといえる。

ということで、円安は必ずしも悪いことばかりではない。円安の悪魔でなくとも、「円安最高!」と叫びたくなるのである(笑) 

心配しなくてもいずれ円高に回帰する

ということで、この円安は、日本に訪れたボーナスステージと考えておいた方が良いと思う。日本復活のための、必要なステップだ。

そして、かつて日本の急激な経済成長を恐れたアメリカがプラザ合意で円高誘導を促進したように、いずれまたアメリカの都合で円高への揺れ戻しは起こる。そのときまでは、外資の力も借りながら、着々と日本は足腰を鍛えておくべきだ。日本がこのまま二流国に転落しつづけるということとは、ない。

いまや、日本のターンが来ているのである。

実際に、税収は過去最高を記録している。日本政府は、儲かって儲かってしょうがない状況なのである。今こそ、減税(所得減税や消費減税)を実施して、わずかに光が見えかけている日本経済にブーストをかけるべきだ。

ここを間違えると、失われた30年が、また失われた40年となってしまう。円安の悪魔を食らうチェンソーマンは、いまはまだ必要ないのだ。










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