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中国不動産バブル崩壊で何が起こるか?グラフ豊富な良記事に基づく

私は、世界情勢をフォローするためのニュース記事分析を中心にnote記事を綴っているが、その大きな目的の一つは、経済動向を予測し、危機を回避したい、あるいは株で儲けたい(笑)、ということである。

世界経済動向をウォッチするうえで、さっぱり理解できていなかったのが中国不動産市場であった。少し前だが、こんな良記事が出てたので、ここで記録をかねて分析してみる。

中国不動産バブル崩壊で何が起こるか?日本のデータを参考にする!

上記記事は、主に日本のバブル崩壊との比較を行いながら、中国の不動産バブル崩壊を論じている。

まず参考となる日本のデータは、これである。

上記記事より

味わい深いデータだと思うけれど、ポイントは二つ。
①不動産価格(赤線)は11年間(1980年→1991年)で4.2倍となったのち、13年間で75%低下して底打ちした。
②日経平均株価(青線)と不動産価格(赤線)はおおむね相関しているが、不動産価格の変動は日経平均株価に遅れて起こっている。

中国の未来を予測するうえで、この日本のデータは大いに参考となる。

ちなみに、日本はこの後、どうなったのであろうか?

吊り上がった不動産価格の評価額は激減し、売るに売れなくなった、いわゆる「不良債権」は、下記のような推移をする。

上記記事より

日本の不良債権は、2002年をピークに激減しているが、これは日銀の量的金融緩和による実質的な買い入れが影響している。

日銀の総資産の推移を示すグラフが下記である。

上記記事より

ご覧のように、不良債権が減り始める2002年ごろから、日銀の総資産は激増している。

以上、日本のバブル崩壊をザックリをまとめてみると、
①株価ピークアウト→②不動産価格下落→③不良債権増加→④日銀買い入れ

という流れで、とりあえず不良債権問題にはかたがついている。ここまでのプロセスで、バブル崩壊から15年ほど経過している。

歴史は繰り返す、中国がこの流れを繰り返すとすると、中国の不動産バブル崩壊はまさに、まだ始まったばかりと言える。

中国の日本化はすすむか・・・否!

これは本当に素晴らしい記事で、日本との比較を交えながら、中国不動産市況がどのような運命を辿ると予想されるか、中国独自のファクターを交えながら詳細に分析されている。

そして、「中国の日本化(Japanification)は進むか」の答えは、「」である。

それどころではない、もっと悪い

詳細はぜひ、元記事を読んでいただきたいが、もっともポイントだと思った「日本と中国の仕組みの違い」の部分のみ、ピックアップしておく。

この投資主導経済の実態はコスト先送りによる需要創造である。投資とは会計的には支出し(=需要を創造し)、コストを資産計上によって先送りするという危険な行為である。建設された設備や構築物が有効に活用できないものであれば、不良資産の山を作り続けることになり、非常に大きなリスクを伴う。共産党主導の地方政府は、そのリスクに無頓着で、成長競争のみにこだわる投資暴走を続けてきたのだ。

2年余りでアメリカ100年分のセメントを消費したといわれるほどの天文学的投資資産の多くが、価値を生み出す健全資産とは考えられず、潜在的不良資産が積み上がっていると推測される。

固定資産投資による経済成長を続けてこられた背景には、土地の錬金術があった。地方政府が土地利用権を売り、その売却代金が地方政府の収益の四割を占めたことで、地方政府は極めて収入が潤沢になった。

そうした潤沢な資金をインフラ投資やハイテク企業への支援に向けることができた。この成長パターンは、バブルが崩壊し、地方政府による土地利用権売却収入が止まると維持できなくなる。そして、いまその崩壊が実際に始まったのである

上記記事より

中国経済成長の仕組みと、今後たどるであろう運命について、これほど簡潔にまとめられた記事は初めて見た気がする・・・ということで、ここに改めてまとめておく。

それで、世界経済はどうなるか?

巨大市場であった中国経済の低迷は、真綿で首を絞めるかのように、じわじわと世界経済に悪影響を与えるであろうが、リーマンショック級のインパクトを先進国経済に与えるかというと、そうではないのではないかと予想する(というか、妄想するw)。

中国経済の低迷が世界に与える影響が限定的とする主な理由は、以下のとおりである。
①すでにデカップリングがある程度進み、各国の中国経済依存度が縮小に転じているということ。
②欧米の投資資金もかなり引き上げられており、欧米の金融不安に直結する可能性は低いということ。
③”次の巨大市場”である、インドが目覚めつつあること。

ということで、特に日経平均株価においては、中国経済低迷は長期的な重しにはなるだろうけど、リーマンショックのように海の底まで沈んでしまうことは(少なくとも当面は)ないのではないかと思っている。

特に、円安で「安い労働力」となった日本は、中国に変わって外国からの投資を呼び込みやすい環境にある。「円安は悪」という世論が醸成されつつあるが、少なくとも短期的には私は楽観している。「貧しいハイテク大国」となった日本は、それ自体が日本復活への地ならしとなる

いずれ円高へ揺り戻すときが来るだろう。そのときまで、過剰に円安を心配して、無理やり円高へ持っていくような施策(急激な金融引き締め等)は行わない方が良いと思う。


(画像は写真ACから引用しています)


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