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ボルトン氏の寄稿から世界情勢を読む

アメリカ・トランプ大統領の元補佐官ジョン・ボルトン氏の米メディアでの発言をまとめた記事があったので、ここにクリップしておく。

ボルトン氏といえば、「悪魔の化身」とまで言われるほどの超タカ派として知られているが、少なくとも世界戦略に関する面においてはリアリストで、決してぶっとんでいるわけではない。

その思想は、アメリカの「同盟戦略&力の均衡」を重んじる古典的なもので、ある意味ではトランプ大統領よりもバランス感覚があるように思える。ボルトン氏の分析は、世界情勢を見るうえで、一つの指針となる含蓄を持つ。

ウクライナ戦争の戦況については「残念なことに、流れはロシアに有利に流れている。 ウクライナの2023年春季攻勢はほとんど成果をあげておらず、戦争開始以来、激しく争われてきたアウディーイウカなどの潜在的な重要拠点は今、ロシアの手に落ちつつある」と述べている。

上記記事より

ボルトン氏も、ウクライナの劣勢を指摘している。

 “The Hill”への寄稿の中でも、ボルトン氏は「西側諸国の指導者はすぐに怒りを表明するものの、すぐには行動を起こさない」と口だけで行動が伴わない西側諸国の対応を批判、「2021年にジュネーブで行われた会談で、バイデン氏はプーチン大統領に対し、ナワリヌイ氏が獄中死した場合、ロシアは“壊滅的な結果”に直面するだろうと警告した。 金曜日、その“結果”について問われたバイデン氏は『あれは3年前のことだ。 その間、彼らは非常に多くの結果に直面した。35万人以上のロシア兵が死傷した。 彼らは全面的に大きな制裁を受けた。 他に何ができるかを検討中だ』と答えた。バイデン氏が言及した“結果”は、ナワリヌイ氏の処遇や失脚から生じたものではなく、ロシアのウクライナに対するいわれなき侵攻から生じたものだ」とバイデン氏の回答のおかしさを指摘している。

 さらに、バイデン政権のウクライナ戦争に対する対応について「バイデン氏は2年間、非戦略的に、少しずつ援助を行い、それによってロシアが膠着状態に至るまで戦争することを許した。 バイデン氏は、ロシアが“より広範な戦争”を開始するのではないかと懸念して常に踏みとどまっているが、そのような戦争を遂行するロシアの能力がどこに隠されているかについては一度も説明していない」と批判している。

 では、バイデン政権はどう対応したらいいのか? それについて、ボルトン氏は「ナワリヌイ氏の悲劇は、特に共和党員にとって警鐘となるはずだ。 私たちはウクライナに慈善活動を行っているのではなく、アメリカのコアな利益を守るために行動している」、「ナワリヌイ氏殺害とウクライナに対する最も即時的対応は、アメリカ政府がウクライナを支援するという戦略的責務に議会が目覚めることだ」とアメリカの国益のためにもウクライナ支援を続けるべきとの姿勢を強調した

上記記事より

バイデン政権でも、トランプ陣営でもない立ち位置の発言が、興味深い。

ちなみに、ボルトン氏は安倍晋三元首相の手腕も高く評価していた御仁である。結構重要なので、3年前の記事から再掲しておく。

彼(安倍氏)は憲法改正に失敗したかもしれないが、そのような改正の必要性があまり重要でなくなるほど、状況を変えた


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