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激動の時代を生き延びるべし!ウクライナ戦争後に起こることを予測してみる

著者は、素人ながらに世界のニュースの情報収集・分析を行ってきた。その究極の目的は、「未来を予測し、危機を乗り越えること」なんだろうと思う。

ウクライナ戦争の現在と、過去の歴史については、報道も増え、記事や動画での解説も増えた。しかし、中長期的に起こるであろう未来の予測に関する記事はまだまだ少ない。

そこで今回は、激動の時代を生き延びるために、ウクライナ戦争後に起こるであろう未来予測を、シミュレーションしてみる。

ほぼ間違いなく起こるであろう2つのこと

ずっと先の暗闇を見通すには、まず足下に灯りがなければ始まらない。遠い未来を予測するうえで基軸となる、ほぼ間違いなく起こるであろう2つのことをまず整理しておきたいと思う。

①ロシアは世界最貧国のひとつとなる

もともと「GDPは韓国と同程度」であった軍事大国ロシアは、ウクライナ侵攻に伴う西側経済圏からの締め出しにより、さらに経済力は低下し、世界最貧国の1つとなるだろう。この記事作成の時点で、デフォルトはほぼ間違いないと報道されており、今後ルーブル安のハイパーインフレが起こるのは不可避である。

これは、戦争に勝っても負けても避けられない運命である。多くの軍事専門家が、この戦争に戦略的合理性を見いだせずにいる最大の理由がそれである。

ただ、戦前の日本とは異なり、ロシアは資源大国・食糧大国であることから、西側経済圏から閉め出されても「最低限食っていける」。これがもしかしたらかえって事態を長引かせる要因になるかも知れない。

②米中新冷戦は続く

ロシアに世界の耳目が集まるなか、忘れてはならないのが米中新冷戦である。むしろ、アメリカにとってのラスボスは中国である。実際にアメリカは、ロシアを非難しながらも中国に対する牽制は緩めない。

これを忘れると、世界情勢を読み誤ることとなる

この2つを「未来を見通す灯火」として、もう少し細かい点を考察していきたい。

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1.国連の枠組みが組み変わるであろう

将来的に「新国連」が作られるかも知れない、ということは、新大西洋憲章が宣言されたときから口を酸っぱくして(?)述べてきた。

今回のウクライナ戦争はこの流れを大きく加速するものである。

核を持った常任理事国が暴走すると、国連は何も機能しない」ということを、奇しくも今回の戦争は証明してしまった。

このままロシアが常任理事国の座にとどまり続けるとしたならば、平和を求める組織という国連の”建前”も、とんだ欺瞞となる。国連改革の機運は高まるだろう。

すでに欧州評議会からのロシアの追放は決定されている。

さらに、欧米諸国はロシアに「常任理事国としての特権を悪用している」との非難攻勢も強めている。

今後、もしも国連の枠組みが組み変わるとするならば、日本は敗戦国の地位を脱する戦後最大の好機が訪れる。既に日本は少し動き始めているようで、これに関しては少し安心した。

林外務大臣曰く、

国際社会の平和と安全の維持に大きな責任を持つ安保理の常任理事国であるロシアの暴挙は、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している

各国の複雑な利害が絡み合う安保理改革は簡単ではないが、引き続き多くの国々と協力し、日本の常任理事国入りを含む改革の実現に全力を挙げていきたい


2.エネルギー政策が見直されるであろう

今回のウクライナ危機では、環境大国であるドイツが欧州の対応を遅らせる一因となってしまった。

石炭/石油火力もダメ、原発もダメという「環境先進国ドイツ」は、皮肉にも原発大国フランスから電力を買ったり、ロシアから液化天然ガスを買ったりする「エネルギー脆弱国」となってしまっていた

特に天然ガスは、石炭や石油に比べて二酸化炭素排出量が少ないとされ、自然エネルギーの普及が進むまでの「中継ぎエース」として期待されてきた。ロシアから「天然ガスを売らないぞ」と脅されると、ドイツとしてはいささか動きが鈍るのもやむを得ない事情と言える。

このような有事には、他国にエネルギーを依存しているということは大きなリスクとなるということを、ドイツは身をもって示している。

他方、アメリカも「シェールオイル」の大産出国であるが、バイデン大統領・民主党政権は「環境問題がライフワーク」ゆえに、シェールオイルの増産に踏み切れぬという状態である。

つまり、「環境問題・CO2削減」という錦の御旗が、西側諸国の自縄自縛を生むという皮肉な結果となっている。

今後も、大きな方向性として脱炭素化社会の流れは変わらないだろうが、より現実路線にシフトしていかざるを得ないと思う。具体的には、原発の見直しや、石油/石炭火力の延命である。

日本の石炭火力発電は世界でもっともクリーンな火力発電であるにも関わらず、「石炭=悪」のレッテル貼りに辛酸をなめてきた。世界のエネルギー政策がより現実的なものにならざるを得ない流れのなか、日本の石炭火力発電に大きなチャンスが巡ってくるのではないだろうか。

ただ、正当な評価を得るためには、日本の努力も重要である

さらに、アメリカでもガソリン価格の高騰が続いている。

この状態が続けば、バイデン大統領・民主党政権も「環境・環境」とはなかなか言っていられなくなってくることが予想される。

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3.北方領土交渉の最大の好機が訪れるであろう

勝っても地獄、負けても地獄のロシア、経済的困窮が長く続けば、北方領土交渉に関する戦後最大の好機が日本に訪れるであろう。

日本が平和的手段で北方領土を取り返すには、残念ながら「お金」しかないからである。

この好機を逃す・逃さないは日本政府の戦略的な動きにかかっている。「こういうことが起こりうる」という考えが頭の片隅にあるとないでは初動が全く変わってくる。日本政府・官僚組織のどこかに、起こりうる複数の事態のシミュレーションを行っている部署があることを、切に願う。


4.穀物価格・金価格について

穀物価格、金価格は既に高騰しているが、穀物価格(特に小麦)は高止まり、金は中長期的に更に高騰と予想する。

ウクライナは世界有数の小麦(と、トウモロコシ)の生産地域であることから、穀物価格が高騰し、我々の日常生活をも圧迫しつつある。

しかしながら、世界の穀物需給能力は高い。生産量も年々向上している。おそらく、すぐに供給が需要にキャッチアップするだろう。しかし、直ちにウクライナの混乱が収まるわけでないから、穀物価格は「高止まり」と予想する。

なお、この記事作成時点で、世界のコメの価格は逆に低下している。日本人はもっとコメを食べるようにシフトするべきだ。

参考:米国農務省穀物等需給報告書(2022年3月)

一方で「金価格」。ロシアルーブルが紙くずになるとするならば、安定資金の「金(ゴールド)」への逃避が進むと思われる。ルーブルをドルに変えることができない以上、頼れるのは「金(ゴールド)」かビットコインである。この潜在需要は長期に及び、ビットコインはともかくとして、恐らく金価格はゆっくりと上昇傾向が続くのではないかと予想している。


5. 米中新冷戦はさらに先鋭化する

SWIFTからの排除を含む西側諸国の経済制裁は、ロシアに対抗する手段であると同時に、中国に対するデモンストレーションでもある。

西側経済圏からはぐられると、こうなりますよ

という警告だ。

中国も、注意深く今回の事態の流れを研究していることであろう。

中国は既にドルに変わる基軸通貨を目指して、デジタル人民元を創設したり、将来的には内需100%の経済圏を構築するべく動いている。SWIFTから排除されたときのダメージを最小化するために、今後この動きは加速すると思われる。

すなわち、米中経済のデカップリングは更に促進される。米中冷戦は、むしろこれからが本番だ。

なお、SWIFTの威力を保つために、西側諸国ではブロックチェーン技術をベースにした暗号通貨はあまり広まらないのではないかと予想する。従って、ビットコインには一定の需要が保たれるだろうが、暗号通貨が基軸通貨にとって変わる時代はやってこないと思う。

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まとめ

以上、ウクライナ戦争がもたらしうる未来をいくつかの項目に分けて予測してみた。「素人風情が何言っているんだか。。。」と呆れながらも、酒のつまみの話ぐらいになっていただければ幸いである。

ともかく、この無益な戦闘が一刻も早く終息することを願いつつ、日本政府には虎視眈々と現状を分析するリアリズムをも期待したい。

<基本事項>

①ロシアの経済的困窮は当面続く

②米中新冷戦はこれからも続く

<各論>

1.国連の枠組みが組み変わるだろう(常任理事国入りの好機到来)

2.エネルギー政策が見直されるだろう(日本の石炭火力に好機到来)

3.北方領土交渉に戦後最大の好機が訪れるだろう

4.穀物価格は高止まり、金価格は長期的上昇傾向が続く(米の増産を!)

5.米中デカップリングは更に促進する

もはや改めて強調するまでもなく、世界秩序が組み変わるとき(歴史的転換点)だ。

(画像は写真ACから引用しています)



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