教育実習で教わった、文字式指導における意外な盲点
中学一年生の数学では「文字と式」という単元で文字式の表し方について学びます。
これができないと、この先の数学が全部分からなくなるほど重要な単元。
僕は、教育実習先でこの単元の授業を受け持つことになりました。
文字式の表し方
掛け算は省略する($${a\times b = ab}$$)
係数は文字より前に($${a\times 2 = 2a}$$)
割り算は分数の形に($${a\div b = \displaystyle \frac{a}{b}}$$)
僕は、割り算の表し方を説明するために、小学校で習う「商分数」を利用することにしました(例えば、$${2\div 3}$$ の答えが $${\frac{2}{3}}$$ となるというやつです)。
$$
\triangle \div \square = \frac{\triangle}{\square}
$$
$$
a\div b = \; ?
$$
上のように板書して、下式の答えがどうなるか生徒を当てていきました。
一人目は無言でしたが、二人目で$${\frac{a}{b}}$$と正解が出たのでそのまま授業を進めました。
授業が終わって、参観していた先生方に意見を伺ったところ、思いもよらない指摘を受けたのです。
「これって $${\triangle}$$ や $${\square}$$ に分数が入ったときはどうすんの?」
商分数は基本的に自然数同士の割り算であって、分数の割り算の時には使えないと、この時初めて気づいたのでした(ちなみに、連分数のように分数の中に分数を入れ子にした表現は中学校では習いません)。
ではどうするか。
「割り算は逆数を掛ける」という計算の原則を利用すれば自然と答えが導けるのです。
$$
a \div b = a \times \frac{1}{b} = \frac{a \times 1}{b} = \frac{a}{b}
$$
これであれば、例えば $${a \div \displaystyle \frac{3}{2}}$$ を計算するときも
$$
a \div \frac{3}{2} = a \times \frac{2}{3} = \frac{a \times 2}{3} = \frac{2a}{3}
$$
あるいは、係数は前に出すという規則を使って
$$
a \div \frac{3}{2} = a \times \frac{2}{3} = \frac{2}{3} a
$$
と計算できます。
また、別の先生は無言だった一人目の生徒がどうして答えられなかったのか、理由を教えてくれました。
$${\frac{a}{b}}$$ をどう読めばいいのか分からずに困っていたのです。「ビー分のエー」と読めなかったわけです。
実際に授業を経験しないと気付けないことがたくさんあると、思い知らされました。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!