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対デジタル・ディスラプター戦略

対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方 (日本経済新聞出版) 

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スタートアップ企業などがデジタル技術とデジタルビジネスモデルを駆使して業界や会社を破壊するデジタル・ディスラプトが頻繁に起こっている。既存企業のビジネスモデルでは考えられない新たなバリューがデジタルによって創出されている。

デジタル・ディスラプターはデジタルを駆使し急速にイノベーションを起こす。既存企業が規制のビジネスモデルに固執する中、迅速に規模を拡大し巨大な顧客基盤を作り上げる。既存企業のバリューチェーンごと飲み込み巨大な顧客基盤を一気に築き上げ、複数の市場や既存企業の売上、収益を掻っ攫っていく。

イノベーションを起こす原動力は市場や社会にある満たされない顧客ニーズである。既存企業が当たり前と思っている商取引に潜む「顧客の不満(顧客自体も気づいていない)」をデジタル・ディスラプターは察知し、最終顧客に対しデジタルを駆使し「満たされないニーズを満たす」ための「新しいバリュー」を提案する。

既存企業はバリューベイカンシーを素早く発見、創造し、そこに飛び込むことが必要である。

既存企業は差し迫った脅威に対して迅速かつ効果的に対応する必要がある。破壊された市場にはデジタル・ディスラプションにって生じた市場の空隙(バリューベイカンシー)できる。そこには中心的製品の代替だけでなく、新たに生まれる周辺ビジネスも含まれ、利益を享受できるチャンスがあり、この空隙を発見、創造しなければならない。

バリューベイカンシーを発見、創造するためには「新たな市場機会を見つける察知力」「何が価値をもたらしているのかを分析し、戦略と顧客への価値提案を導き出す意思決定力」「迅速に行動し、針路を変えつつディスラプターに反撃し、バリューベイカンシーを発見、創造する迅速な実行力」が必要になり、そのためには保守的な体質や同質性を排除する組織文化の改革が必要になる。

これまでの成功を支えてきた前提を疑い、会社が顧客に価値をもたらしてきた方法がどれほど強固であり得るかを確かめないといけない。「何も行動を起こさない組織は滅びる」。「ルールを守るマネジメント」から「今していることが正しいかどうかを未来のために考えるマネジメント」への転換がリーダーに求められている。