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対症療法か? 原因療法か?

久しぶりに昔の同僚から、連絡があった。



「オステオパシーのセミナーを受けに行ったら、そこの講師が『理学療法士は原因を追究しないで、アプローチするので詐欺師も同然だ!』と言っていた。」とのこと。



そりゃそうだ。



運動療法も物理療法も「対症療法」だ。日常生活動作訓練に至っては、原因療法や対症療法とかいったものとは別次元の問題だ。



そもそも現代西洋医学でもほとんどが対症療法で、原因療法はほんの一部だ。



私はカイロプラクティックの学士だが、カイロプラクターも「我々は原因に対して治療をするのだ!」と声高に言っている。



カイロプラクターの言う原因は『サブラクセーション』だ。



これは日本語で言う亜脱臼ではなく、カイロプラクター独特の概念だ。



私に言わせると『サブラクセーション』も原因ではなく結果だ。



つまり現代のカイロプラクティックも原因療法と言えない。




しかし、カイロプラクティックの創始者D.D パーマーは人が健康を損なうのには3つの原因があると言った。



『trauma』 『toxin』 『auto sugestion』である。現代風にグッドハートは『構造』 『化学』 『心理』と言った。



多くの治療家は構造ばかりに目を向けるが、原因を追究し始めると『化学』や『心理』の側面に目を向けざるを得ない。(本来はもっとさまざまな側面に目を向けるべきだが・・・)



例えば私の患者の例だが、長年の腰痛を訴え主治医からAKAの処方を受けて行っていた。身体が硬いからとストレッチを指導し本人にもやってもらう。大体は良いが時々まだ痛くなるとの事。病医院ではここまで。


しかしこの患者さんは「何故だ?腰痛の原因は何だ?」これにこだわった。


原因は野菜ジュースだった。


野菜ジュースにアレルギー反応を起こしていたのだ。・・・これは化学の側面の原因。




また何度も内反捻挫を繰り返す高校運動部員の原因は、監督に対するネガティブな感情だった。・・・これは心理的側面だ。



追求すればもっと複雑な原因も出てくる。にわかには信じられない原因に遭遇する事もある。



そうなるとエビデンスなど言ってられなくなる。



原因療法を目指すなら、現代科学がほとんど科学的でないことを認めなければならない。



そしてナラティブで突き進み、さらに到達した原因に向き合う手技を持ち合わせる必要がある。



エビデンスを大事にする現代のカイロや理学療法にその手技はない。



エビデンスは医療を科学として成長させるにはとても重要で、その足を止めてはいけないが、それと同じくらい治療家は科学的根拠の確立されていない手技を、臨床現場で使いこなすバランス感覚がとても重要なのだと思う。

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