クズ社会人の意志力講座

さて、クズから抜け出すために、なにをしなければならないか。

クズが考えるに、まずやらなければならないことは意志力を鍛えることである。クズがクズたる所以は、「できない・やらない・なにもしない」であり、まずはやらなければなにも起きないし、クズからの生還はあり得ない。

ただし、これを読んでいる読者なら周知の事実であるが、意志力と言う言葉ほど、当てにならないものはない。

意志ってなんだ。裏切り者の名前か。

自分をクズだと認識しているからには、過去にクズを抜け出そうとして、それでも抜け出せなかった経験があるのだろう。そして抜け出せなかった者の多くがこの「意志力」という見えない影に後ろから刺され続けて、しかばねとなり、死屍累々を積み上げているわけだ。

まず多くのクズが陥りがち(だと、クズが思っている)なのは、「行動を起こすためには、精神的なトリガーを必要とする」という誤解である。さらに言えば「精神が整っていれば、全ての物事が好転するだろう」ということ。つまり、「やる気があればなんでもできる・やる気がなければなんにもできない」理論である。

これは嘘である。

にわとりたまごになってしまうが、精神が伴わなければ行動を起こせないなんてことはない。むしろ、行動をした結果、経験を積み重ね、そこに精神が宿るというプロセスの方が自然に思える。

ここは相互関係だ。

だったら、精神が先にあってもいいじゃないか、という話にもなるが、ここはエネルギーの問題である。

ただ、エネルギーの話をする前に、精神・行動などに対して、意味を定義しておかなければならない。

実は精神・行動と並列関係にある概念はもう一つあり、それは言葉である。

「言葉」とここでは言うが、これはいわゆる、頭で考えている概念である。テクニックや計画、数字的根拠。形のない概念を言葉と言うことにしている。

それでは翻って「精神」はなにかと言えば、これはメンタル、いわゆる感情である。言葉と感情は明確に違う。頭でわかっていても、体動かないなんてことはよくある。ネガティブな時はなにか行動を始めずらいし、ポジティブな時は、これまでできていなかったことがすんなりできたりする。

「行動」は言うまでもないだろう。実際にアウトプットされた形を行動と呼ぶ。現実になっているものすべてが行動である。

さて、言葉・精神・行動は三すくみの関係である。

言葉をもとに精神というガソリンが作られ、それを消費して行動が起こる。逆に、行動(経験)により精神が揺れ動き、言語化され、それが自分のミッションステートメントとなったりする。3つが相互関係なのである。

この3つがバランスよく配置され、初めて好循環が生まれる。

だが、クズは大体において言葉の領域ばかり育てて、精神・行動の領域がおざなりになっている。もちろん、これは私、クズの場合からの推測でしかないが。

頭でっかちになり、変なプライドを持っている。そのくせ、現実の行動領域では打ちひしがれてるから、精神面もぼろぼろ。言葉から精神=ガソリンがたまに作られたりするが、行動までそれが使われなかったり、行動からのフィードバックがなく、精神が育たず、言葉も成長しない。結果、また頭でっかちになる。

さらに、ここにエネルギーの問題も関わる。言葉を使うのには、あまりエネルギーはいらない。「私はクズではない」と言うだけなら誰だってできる。ただ、これを「私はクズな行動を一切取らない」という行動にするだけで、大変なエネルギーがかかる。

言葉と行動ではエネルギー効率が全く違うのだ。

だから、クズはすぐに言葉で状況を変えたがる。でも実際に行動に反映されないため、なにもかわらない。

読者は言われるまでもなくわかっていると思うが、クズに最も足りていないのは、行動である。もっと詳しく言えば、行動し続けることである。行動を始めることでも、行動からなにかを得ることでもなく、行動し続けることである。

クズは自分が傷つくのを最も嫌う。行動を起こし、否定されるのを最も嫌う。だからすぐにへこたれるし、「どーせどうにもならねーよ」とひねくれているために、行動が続かない。

クズの言葉・精神は毒の沼のように、既にどうしようもなくなっている。ここを変えようといしてもなかなか変わらない。ここが変わるのであれば、あなたはこんなに苦労していないはずだ。

逆に行動を続けることができれば、そこから精神が生まれ、それを概念にすることで言葉もできる。その言葉をさらに行動に移すことで、クズ脱出ループを作ることができる。

読者もお気づきかもしれないが、実はクズから脱出する方法は簡単である。

クズから脱出するためには、行動し続けること、つまり習慣を作ることが大事なのである。

精神・言葉に頼らず、なにも考えることなく行う行動=習慣。

これさえ作ることができれば、クズが抜け出すことができるはずなのである!!!!(恐ろしいことに、ここまで語ったことは全て僕の妄想である。なぜなら、僕は未だにクズを脱出していないからだ!)

ただ、この習慣を作るというのが至難の業。

僕は1日坊主常習犯の男だから、これのやり方はさっぱり分からない。

なので、これから僕がつづるこの「社会人のクズ」は、クズがいかに習慣を作るか、その実験の記録になると思う。

そしてこの習慣作りの法則を見出したとき、この文章は役目を終えることとなるだろう。その日がすぐに来ることを願っている。



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