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エージェントさんと共創するペルソナインサイトの仮説検証

こんにちは!HRにおけるNew Standardを創りたいGaudiy HRのKuwaです。

採用において、ペルソナが重要っていうのはよく聞く話です(マジで大事)。ただ、採用に10年以上携わり、エンジニアはもちろん、新卒からCXO、Web3関連など、ありとあらゆる職種を採用してきた中で、ペルソナ以上にそのペルソナが持ちうるインサイトを掴むことが大事だと感じています。

とはいえ、そもそもペルソナに出会うことが難しかったり、特に新しい採用ポジションの立ち上げなどはペルソナ自体も明確ではなく、なかなかインサイトの解像度を上げづらいということがあると思います。

今回、採用のHow(採用チャネルのWhere)の重要な一つでもある、エージェントさんとペルソナインサイトの仮説検証し、採用に繋がった取り組みを紹介したいと思います。


1. ペルソナインサイトの重要性

採用において、採用したいターゲットの設定(ペルソナ設定)は重要なので、どの採用担当も事業部やチームと連携して、細かく設定します。ただ、それ以上に大事と言っても過言ではないのは、そのペルソナのインサイトです。

※ターゲット・ペルソナともに明確な言葉の定義があると思いますが、このnoteでは、
・ターゲット:採用基準(Requirement)にマッチしている全ての方
・ペルソナ:ターゲットとなる方の中で、より詳細な条件や内面まで設定したもの
という言葉の使い方をしております。


問い: 候補者がその求人を見てエントリーするWHYはありますか?

職種柄、よく採用について相談を受けることがあるのですが、ターゲットに関する質問と同じくらい、ターゲットがなかなか見つからず、心当たりがないか(知り合いにいないか)、というご相談が多いです。

このようなご相談を受けた時に、「ターゲットがその求人を知った時に、なぜエントリーしようと思うのですか?」と聞いてみると、「うちの会社は成長環境だから」とか「優秀な人が多いから」といった返答をいただくことがあります。

もちろん、その求人を見たときに、それを感じ取れるかどうかというのもありますが、そもそも、そのターゲットが成長環境を求めているのか?優秀な人と働くことを重要視しているのか?もしそういった環境を求めていたとしても、そのターゲットが何を持って成長環境と判断するのかが不明です。

そして結果的に、ターゲットが送ったスカウトに反応してくれなかったり、エージェントさんからなかなか候補者を推薦してもらなかったり、ということにつながっていると考えられます。

直接話をして(カジュアル面談・イベント)で訴求するといった方法を取る戦術は王道ですが、実はそこまでに至るハードルが一番高いと考えています。
採用において重要なのは、そのターゲット(=ペルソナ)が、「エントリーしたい、カジュアル面談で話を聞きたい」と思ってもらうことです。
そのような状態を目指すためには、インサイトをしっかり把握した上で、色々な場面で訴求する必要があります。

2. どのようなインサイトを把握すべきか

ペルソナのインサイトを把握し、さまざまな場面やコンテンツで訴求し、エントリーやカジュアル面談数を最大化していくと考えた時に、どのようなインサイトを把握できれば良いのか?

結論から書きますと、会社の立ち位置や戦術、転職顕在層と潜在層で少し変わってくるかなと思います。
Gaudiyの場合は、「カジュアル面談数を最大化する」という方針を取っていますので、まずは話を聞きたいとなってもらうための訴求ポイントとなるインサイトを把握します。

転職顕在層と潜在層のインサイト把握の一部(例)。

3. インサイトの仮説検証における手段別メリット・デメリット

それでは、インサイトをどうやって把握するのか?というHowについて説明します。

こちらは単純で、ペルソナとなる方に直接ヒアリングすれば良いです。

と書くと、そのペルソナにヒアリングできないから困っているという回答が返ってきそうですが、エージェントさんにご協力いただいたり、スカウト媒体を利用するなどの方法があります。
※また、数は多くないかもですが、ペルソナとなる社内外の人に直接ヒアリングという手もあります。

もちろん多くのペルソナに直接ヒアリングできるわけではありません。ここで重要なのが、ペルソナインサイトの仮説を立て、検証することです。
仮説を立てた訴求方法をエージェントさんが関わる候補者さんに当てていただいたり、スカウトを打ったりした際の反応を見て、検証していきます。

なお、エージェントさんやスカウトによりインサイト仮説検証のメリット・デメリットは下記の図だと考えています。

エージェントさんとスカウトによるペルソナインサイト仮説検証

スカウトの場合は、

反応がない方がどうなのかわからない
・職種の採用立ち上げ期は、アトラクトできるコンテンツがないので文章のみの訴求で時間がかかる

特に後者は、採用強化していく上で、どういったコンテンツを作っていくべきかを検討しづらく、数打てば当たる戦法となる可能性があり、大変辛いです。。。

一方でエージェントさんは

データベース(求職者)を抱えていて、直接ヒアリングできる
・違う企業の求人と一緒にスカウトを送ったり、いろいろ試すことができる

と比較的、仮説検証を回しやすい状況ではあります。

今までに採用実績があり、採用コンテンツもそれなりにある場合は、スカウトでも仮説検証(というより改善)をすることが可能だと思いますが、まだ採用実績が乏しい、要は採用立ち上げ期の採用職種の場合や採用難易度の高い職種は仮説検証を回すために、エージェントさんにご協力いただく方が有効なのではと考えています。

4. 実例:LLM/Generative AIエンジニアの採用

前置きが長くなりましたが、エージェントさんと共に行ったペルソナインサイトの仮説検証事例を紹介します。

GaudiyではLLM Agent/Generative AIにかなり投資しており、R &Dだけでなく実際にプロダクトに実装している段階でもあります。
こちらは最近できたAIチームの採用サイトです。

チームが発足したのは、2023年の半ばごろで、本格的に採用を始めたのが2023年末。今でこそ採用サイトができましたが、当初、コンテンツがほとんどありませんでした。
そして、LLM AgentやGenerative AIは新しい分野でもあり、採用市場にも非常に少ない状況でかつ、どこの企業も採用したいと思える職種とも言えます。

一方で、コンテンツはまだないが、ターゲットと接触(カジュアル面談)できれば、実際にやっていることを伝えられるため、絶対に興味を持ってもらえるという自信があり(LLM Agent/Generative AI領域で革新的で世界の中でも進んでいる自負)、まずはターゲットに「話を聞いてみようかな」と思ってもらい、カジュアル面談でアトラクトという戦術で進めるためにも、ペルソナのインサイトが重要でした。

そんな中、ペルソナを作る際に、必須要件(採用要件)はずらさずに、どういったGaudiyを魅力に感じるかのインサイトを浮かべながら設定したりします。この時点で、ある程度、外国籍のエンジニアが頭に浮かび、そこで、日本在住の外国籍のLLMエンジニア・Generative AI関連のエンジニアをペルソナにした時のインサイトの仮説を立てることにしました。

2つのインサイト仮説

日本にいらっしゃるということは基本的に日本のことを好きな方が多いはず。安全性などもあると思いますが、日本のカルチャーが好き、その中でも日本のエンタメが好きで日本に興味を持った方が多いはず。エンタメドメインは日本では好き嫌いが分かれる?(vs SaaS?)と思いますが、外国人エンジニアの方がGaudiyに興味を持ってもらいやすいのではないか?という仮説を立てました。

よって、エンタメ×AIという見せ方が実は良いのでは、ということを考えました。

ちょうど、別のチームでグローバルメンバーが増えつつあったのを追い風と捉え、日本にいるとはいえ、日本からグローバルで戦う、英語でのコミュニケーションがOKというのは日本にいる外国籍の方に刺さるのでは?という仮説を立てました。

たまたまAI立ち上げ時のチームメンバーは英語を話せる日本人だったこともあり、チームとも話をし、ここを推しても良いとなりました。

よって、

が、ペルソナに刺さるという仮説を検証することにしました。

余談:ただ、仮説1が正しいのならば、ある程度日本語も話せるのではという仮説もあり(経験上、日本のエンタメが好きだと日本語を学んでいる場合が多い)、既存メンバーが流暢に英語を話せなくてもコミュニケーションは可能だと思っていました。)


仮説検証を共にするエージェントさんの選定

ある程度ターゲットが決まった上で、どのエージェントさんと一緒にインサイトの仮説検証(&採用)していくかを考えました。

今回の要件としては

  • 外国人エンジニアの求職者を多く抱えている

    • 会社独自のデータベースを持っている

      • 確立された集客チャネルを持っていると、なお良い

  • Gaudiyの推奨者(ファン)である

ということで、前職でもお付き合いがあり、自分がGaudiyに入社してからもGaudiyに紹介したいとLinkedInでご連絡いただいたビズメイツ(G Talent)さんにお願いすることにしました。


仮説検証の結果

★採用実績

2ヶ月間の採用KPI

結果としては2ヶ月でなんと、4名も採用決定しました。どのメンバーも有名Techカンパニーをはじめ複数社からオファーを受けていた素敵な方です。
エージェントさんの中でも、一緒に仮説検証と採用を進めていただいたビズメイツ(G Talent)さんからの推薦数はダントツで多く、3名の入社決定かつ内定承諾も100%という素晴らしい結果でした。(ちなみに残り1名も海外エージェントさんです笑)

★検証結果(ヒアリング)

どうやら、仮説は正しかったのか?ということを思いつつ、採用を続ける中で、仮説の検証をするために、ビズメイツ(G Talent)さんにヒアリングしました。

上述したものは良い仮説ばかり書きましたが、実はややネガティブな仮説も持っていたため、そちらも検証しました。

ヒアリングによる仮説検証結果

概ねメインのインサイトの仮説は正しいという結果でしたが、

  • グローバルメンバーがいることの安心感というニュアンスでしたが、日本語を話せると言えども、ずっと日本語で仕事をするのは辛いというインサイトはあまり考えていなかった

  • 尖った・独特のカルチャーやビジョンは敬遠されるのではなく、興味とを持ち、聞いてみないとわからないから聞いてみたいとなるのは予想外

    • こちらの狙いと違ったが、カジュアル面談に繋がりやすかった

    • また、逆にザ・日本企業みたいなカルチャーは敬遠されるとのこと

と、仮説が一部違い、結果的に良かったということも判明しました。


また、ヒアリングの結果、下記のことがわかりました。

  • Gaudiyがパブリックで出しているコンテンツやプレスも刺さる

  • 集客にポスティングをしたが、生成AI関連のポスティングを出すだけで応募したいという候補者も多い

    • インハウスでAI関連をしっかりできるところは意外に少ない

追加で判明したこともあり、変に囚われずに今後もAI関連のコンテンツをどんどん作っていくのが良さそうというのがわかりました。

また、

  • カジュアル面談後の候補者の意向度の上がり方がすごかった

    • グローバル、仕事への姿勢、事業への本気度、技術の質問も的を射ている

とのことで、採用に繋がったのは関わってくれたAIチームメンバーのみんなのおかげです!

5. 仮説検証の前提にあるのは信頼関係

今回、ビズメイツ(G Talent)さんのご協力の元、仮説検証を行うことができましたが、もちろん、「ちょっと仮説検証したいのでお願いします」ではやってくれることはありません。

前提、エージェントさんと信頼関係があるかどうか。Gaudiyはファンベース採用という思想を持っており、こちらは単に候補者だけでなく、採用に関わる方全て(エージェントさんやスカウト媒体の企業さん、採用に関わる社内メンバー)も対象です。エージェントさんがGaudiyの関心者以上、できればファンであることが重要です。

今回はテーマとずれるためにあまり記載しないですが、ファンになってもらうための行動や仮説検証に適しているエージェントさんなどは個別に聞いてください笑

ただ一つ私の考えですが、エージェントさんの仕事はGaudiyに採用決定することではなく、候補者と企業を適切にマッチングさせることだと思っており、こういった仮説検証をすることで、求職者さんのインサイトを知れたり、仮説検証を行う中で出会った求職者さんがGaudiy以外の企業に転職決定することもあるので、エージェントさんにもメリットがあると思うので、Win-Winの関係で共創できるのではと思っています。

我らのhanaさんのファンベース採用のスライドの一部


6. 仮説検証において大事なこと

今回、ある程度仮説が正しかったのですが、大事なのは仮説が正しいと検証することではなく、仮説を検証することです。要は、仮説は外れても問題なく、HRでも仮説を外すことはたくさんあります。

(ex.デザイナーのある職種で、エンタメが好きでGaudiyに興味を持つと仮説を立てていましたが、デザイナー向けエージェントさんに、「エンタメが好きでGaudiyに興味というデザイナーは少なく、カルチャーや世界観に興味を持ったので応募したという方が多い」と言われました)

Gaudiyでは、プロダクトやプロジェクトを成功させるために、「仮説検証」を非常に大事にしており、かつ仮説検証を「高速に回す(=高速実験)」ことを重要視しています。

これは、組織や採用においても重要なことで、HRメンバーに関しても、組織や採用においても、プロダクト運営と同じという考え方を持ち、仮説検証、高速実験を実践するようにしています。

HRにおけるHowがロックされているからこそ、こういった仮説検証を積み重ねて、New Standardを作っていきたい。
インプットも採用やHR領域の本などより、社会物理学など違う分野のものが増えています笑

機会があれば、他の仮説検証事例を紹介していきたいと思います。

最後に

今回、採用が難しいLLM Agent / Generative AIエンジニア職種を実例に挙げて、エージェントさんと共創したペルソナインサイトの仮説検証を書かせていただきました。

(お約束ですが)、Gaudiyはビジョン実現に向けて、それ以外にも様々な職種を採用しています!ぜひ、採用サイトをのぞいていただき、ご興味いただければと思っております!

また、HRに限らず、採用や組織に関して壁打ちやディスカッションしていただける方もぜひお気軽にご連絡ください!


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