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100mm超えは超簡単‼️特大スマトラオオヒラタを羽化させる飼育方法を紹介

 こんにちは!Stag Beetleです。

この記事は、100mmを超える特大のスマトラオオヒラタを羽化させるためのノウハウを解説しております。

スマトラオオヒラタと言えば、昔からパラワンオオヒラタと一二を争うヒラタクワガタの人気種で、太くて逞しい大顎と幅のあるボディが魅力のクワガタです。

100mmを超える大型の個体ともなると、その迫力は他のクワガタとは一線を画すものがあり、クワガタ愛好家の間では数万~数十万円という高値で取引されています。

100mm超えのスマトラオオヒラタを飼育したいと思っても、決して安くはない金額を目にすると購入に踏み切れない方も多いと思います。

ですが、スマトラオオヒラタ自体は珍しい種ではないので、大きさを選ばないのであれば数千円で購入することが可能です。

そこで私がおススメしたいのが、小さな成虫ペアを安価で購入して産卵させ、孵った幼虫を大きく育てて100mm超えを狙うということです。

産卵から羽化まで、1年ほどの時間はかかりますが、幼虫が日に日に大きくなっていく様子や、蛹の神秘的な姿、羽化した特大個体を掘り出す瞬間は、他には代えがたい醍醐味があります

特大個体の作出は、飼育環境さえ用意できれば決して難しいことではありません。

クワガタ飼育が初めての方でも、100mmは十分狙えるサイズだと断言できます。
この記事が少しでも読者の皆様のお役に立てれば幸いです。



【筆者の飼育実績】

104mmのスマトラヒラタ

これまでに筆者が羽化させたオオヒラタのサイズです。
筆者の場合、ヒラタはメイン種ではないので、飼育コストが低い菌糸ビン2本羽化で飼育しております。

スマトラオオヒラタよりも幼虫期間が長い、パラワンオオヒラタやテイオウヒラタは3本羽化の方が大きくなりやすいですが、2本羽化でも100mmを超えは可能です。

  • スマトラオオヒラタ 104mmUP(大型血統)

  • スマトラオオヒラタ 95mm(WF1)

  • スラウェシヒラタ  101mm(WF1)

  • パラワンオオヒラタ 103mm(WF1)

【補足】WF1とは、野外個体のメスから生まれた子のことです。菌糸を食べて育った飼育個体の子よりも大きくなりにくいと言われています。


【飼育に必要なもの】

【通年で20℃で管理できる場所】

クワガタ飼育で最も重要なのが温度管理です。
特に、大型個体を作出したいのであれば、飼育環境を一年中20℃に保つのが理想です。

エアコン付きのクワガタ専用部屋を持っているブリーダーも少なくありません。

とは言え、エアコン完備で1部屋まるごとクワガタ飼育に使うのは、家族の了承を得なければならない等、ハードルが高いものです。

かく言う筆者もエアコン付きの部屋なんてありませんでした。

筆者が大型個体を作出できた要因は、『冷やし虫家』と『ワインセラー』を駆使して温度管理をしたからに他なりません。

✅冷やし虫家

冷やし虫家とは、ペルチェ素子を使った簡易冷暖房付きの昆虫飼育室で、希望設定温度を入力すれば自動で冷暖房を切り替えて温度を一定に保ってくれる優れものです。

設定温度は1~40℃まで可能ですが、ペルチェ素子は冷却力が弱いため、冷房の場合は外気温-10℃程度が限界です。

容量は100リットル程度で、1台当たりの収容は3200㏄の菌糸ビンだと7~8本程度、1400㏄なら30本程度といったところでしょう。

✅ワインセラー

ワインセラーも冷やし虫家同様、庫内を一定の温度に保てます。
ただし、ワインセラーの場合は設定温度が12~18℃程度と、スマトラオオヒラタにとっては、やや低温の商品が多いので、購入の際には対応温度を確認する必要があります。
(パラワンやテイオウヒラタは18~19℃が適しているようです)

ワインセラーは冷却方法にコンプレッサー式とペルチェ式があります。
コンプレッサー式は冷却力が強いので外気温に関わらず、設定温度まで庫内を冷やすことができますが、ペルチェ式は外気温-15℃程度の冷却が限界と言われております。

値段はペルチェ式の方が安価ですが、耐久性や消費電力といったランニングコストを考慮すると、コンプレッサー式に軍配が上がります。

ヤフオクやメルカリ等で中古品が販売されている場合もあるので、予算やブリード計画に応じて導入を検討されてみてはいかがでしょうか。


【菌糸ビン(1400㏄&3200㏄)】

スマトラオオヒラタの場合、幼虫飼育に使う容器は1400㏄と3200㏄の2種類欲しいところです。

素材はプラスチックのものやガラスのものがありますが、どちらでも構いません。

昆虫ショップで購入できますが、代替品として梅干し用の漬けビンを利用するブリーダーもいます。

なお、ビンの容量が2000㏄以上の場合は酸欠防止のため、蓋に直径4~5㎝程の通気穴を空けてください。

酸欠すると、幼虫は「暴れ」といってエサを食べずに徘徊し、やがて表面に出てきてしまうばかりか、無事に羽化できない場合もあります。

暴れている幼虫 オガを食べずに崩しながら徘徊しています

幼虫のエサ交換の時期は、羽化から逆算して決まってくるのですが、交換時期が前後すると食べ盛りの時期にエサが足りなかったり、或いはエサ交換のショックで大きくなりきれずに蛹になってしまったりといったことが起こり得ます。

筆者の経験上、そうした交換時期の見誤りが最も少ないのが1400㏄→3200㏄の2本羽化で、この方法が最も低コストかつ安定して大型化が見込めるサイクルだと感じております。

一般的に、菌糸ビンは3か月を目途に交換するとされていますが、それは管理する場所の温度や、クワガタの種類によって若干異なります。

25℃以上の高温で管理していれば劣化が早まるため、3か月程度で交換を考えなければなりませんが、20℃管理であればビンの詰め方が悪くない限り、劣化はほとんど認められず、まだまだエサとして問題なく機能しております。

また、ヒラタクワガタの仲間は、よく腐朽が進んだエサを好み、一度食べた場所を何度か繰り返し食べて(二度食い)成長しますので、菌糸の白い部分が全体の2割未満になるか劣化しない限り、3か月が過ぎたからと言ってすぐにエサ交換する必要はありません。

交換の時期の詳細については『菌糸ビン交換』の章で解説します。

【補足】菌糸ビンが劣化すると、ビンの側面に隙間が出来て水が溜まったり、幼虫が食べた後(食痕)がビチャビチャの泥状になったり、青カビが発生することがあります。
菌糸の詰め方が緩すぎる場合や、使用している菌糸と飼育環境がマッチしていない場合にこのようなことが起こりやすいです。
大型個体を羽化させるには、飼育環境にあった菌糸ビンを用意することも大切です。


【タイペスト紙】

タイペスト紙を挟んだ3,200㏄の菌糸ビン

タイペスト紙は、通気性・耐久性・耐水性に優れた紙で、雑菌やコバエの侵入と、菌糸の乾燥を防ぎます。

市販の3200㏄ビンには、蓋にフィルターが付いていないので、ビンと蓋の間にタイペスト紙を挟みましょう。

また、フィルター付の蓋を使用していても、菌糸から生えてきたキノコや幼虫がフィルターを破ってしまう事があるので、そういった場合はタイペスト紙をフィルター代わりに使用することができるので、何かと重宝します。

【補足】菌糸ビンにコバエが湧くと、クワガタの成長が阻害されてしまいます。(コバエの糞尿が原因か?)菌糸ビンがコバエの温床とならない為にも、タイペスト紙は必須アイテムになります。


【幼虫飼育に使用するエサ】

大型のスマトラオオヒラタを育てるのであれば、菌糸ビンがおススメです。
菌糸ビンとは広葉樹(クヌギやブナ等)のオガ屑に、クワガタが好むキノコ菌を植菌したものです。

菌糸ビンにも様々な種類がありますが、どういったものを使用すればよいのか解説していきます。

✅菌種

菌種はオオヒラタケ、ヒラタケ、カンタケ、カワラタケ等のラインナップがありますが、スマトラオオヒラタの場合はオオヒラタケとの相性が良いです。

オオヒラタケならどんな血統でも問題なく育ちますが、ヒラタケ、カンタケといった腐朽速度が遅い(エサの持ちは良い)エサは、大型血統以外は幼虫の成長が遅かったり、十分に育たない個体が出る場合もあります。

また、カワラタケは劣化しやすいため、羽化までに必要な菌糸ビンがどうしても多くなることや、その割にサイズが伸びないといったことからスマトラオオヒラタの飼育には不向きと考えております。

オオヒラタケを扱う際の注意点としては、20℃付近で温度差が生じるとキノコが生えやすいということです。

キノコが生えるとエサの栄養が奪われるばかりか、エサの劣化や酸欠の要因になりますので、見つけ次第キノコ狩りをしてください。

✅オガの樹種と粒度

微粒と中粒が混ざったブナのオガ

培地となるオガの樹種は、一般的にはクヌギやブナ等が多く用いられておりますが、スマトラオオヒラタの場合はブナがおススメです。

これも腐朽速度の違いによるものと思われますが、クヌギよりもブナの方が腐朽が早い(=幼虫が消化吸収しやすい)という特性が、幼虫期間が8か月程度と短いスマトラオオヒラタの成長速度とマッチしているように思います。

逆に、パラワンオオヒラタのように幼虫期間が12か月以上かかる種は、クヌギやヒラタケなどでじっくりと成長させた方が幼虫が早く成熟しない分、幼虫期間の後半に後伸びして大きくなる印象です。

上記は、筆者の経験則に基づく考察ですが、クヌギでも100mm超えのスマトラオオヒラタをポンポン出しているブリーダーさんもいらっしゃいますので、固定概念に捕らわれずに色々と試してみるのも良いでしょう。

オガの粒度については、微粒と中粒がミックスされているものが扱いやすいです。

菌糸メーカーによってオガの粒度と配合は異なりますが、既製品の菌糸ビンならどれも問題無く使用できると思います。

下記に筆者が菌糸を自詰めした際の粒度の違いと使用感をまとめますので、よろしかったら菌糸ビンを詰める際の参考にしてみてください。

≪微粒のみの場合≫
2000㏄以上のビンで、固く詰めると通気が悪く菌糸の発菌が悪い。
通気を考慮して固く詰めなかったため、オガの空隙の大きいところからキノコが生えて劣化が進み、羽化まで菌糸が持たなかった。
1400㏄以下の容量は、微粒のみの固詰めでも問題ない。

≪中粒のみの場合≫
オガの腐朽が遅くエサの持ちはいいが、初~2齢幼虫期には消化吸収しにくいのか、成長が遅い個体もいた。

≪微粒と中粒をブレンド≫☜おススメ!
通気性を確保しつつ、高密度で詰めることが出来るので菌糸の持ちも良い。初~2齢幼虫でも問題なく安定して成長が見込める。

菌糸はクワガタ飼育で最もコストのかかるところです。

菌糸ビンは既製品でも良いですが、菌糸メーカーから菌糸ブロックを購入して自分で詰めた方が圧倒的に低コストです。

また、高価な菌糸を使ったからと言ってクワガタが大きくなるわけではありません。

安い菌糸でも大型個体は作出できます!

菌糸の良し悪しは、飼育環境に適しているか否かと言っても過言ではありません。

同じ飼育部屋でも温度ムラ等でキノコが生え易い場所、生えにくい場所が合ったりするものなので、ブランド名に捉われずにご自身の飼育環境にマッチしているか否かを考慮して、使用する菌糸を見極めるのが大型個体作出の近道かと思います。


【飼育方法】

【産卵セット】

産卵セットは、コバエシャッターの中ケース程度の容器に、8分目くらいまで産卵用マット(微粒子マット)を固く詰めてください。

産卵木を埋め込むブリーダーもいますが、正直無くても全く問題ないです。
マットを固く詰めたら、転倒防止材とエサ(昆虫ゼリー)、交尾済みのメスをを投入し、23~25℃の温度帯で1か月の間産卵させます。

産卵が始まると、ケースの側面や底に卵が見えてくると思います。
産卵中はメスがマットに潜りっぱなしになりますが、エサを切らさないように注意してください。

エサが無いとメスが自分で産んだ卵や幼虫を捕食するようになります。

産卵セットに投入後、1か月程経過したらメスを取り出します。

幼虫が見えていてもまだ割り出しは行わず、そのまま20~25℃帯でさらに2ヵ月程補完します。

このときに割り出さないのは、卵や孵化したての幼虫を傷つけるリスクの回避と、幼虫が菌糸を食べられるようになるまで成長させるためです。
(ヒラタは初齢幼虫で菌糸に入れると、マットよりも死亡率が高いです。)


【割り出し】

2か月後(産卵セットにメスを投入から3か月後)、いよいよ割り出しです。

この段階ではほとんどの幼虫が2齢幼虫(体長3~5cmくらい)になっており、割り出しのタイミングとしてはベストになります。

ここまで育てば菌糸ビンを食べられますので、1本目の1400㏄ビンに1頭ずつ入れていきます。

菌糸ビンに投入したら、後は羽化まで20℃の低温で管理となります。

幼虫を入れた菌糸ビンには、ラベルを貼って管理しましょう。
クワガタ界では混血や産地混同は厳禁なので、複数の産地や種類を飼育していてもごちゃ混ぜにならないように、1本1本丁寧にラベリングします。

ラベルには下記の項目を記入します。

  • クワガタの種類(管理名、ライン番号、血統名等)

  • 産地(スマトラ島 アチェ州 Mt.Bandahara←詳細産地が解かれば書く)

  • 累代(例;WF3)

  • 種親情報(例;♂○○血統 100m × ♀○○血統 55mm)

  • 雌雄判別

  • エサの種類と容量(例;〇〇菌糸 1400㏄※交換の都度記入)

  • 幼虫を投入した日付と体重(※交換の都度記入)

  • 蛹化・羽化日

【補足1】割り出した時に脱皮直後(頭が白い)の幼虫がいた場合は、菌糸ビンに入れないでマットを軽く詰めたプリンカップ等の中で1日程管理してください。
脱皮直後の幼虫は大変デリケートなので直接触らず、スプーン等でマットと一緒にすくうようにして回収します。
頭が赤く色づいてきたら頭部が固まった頃合いなので、菌糸ビンに入れても大丈夫です。

【補足2】幼虫の雌雄判別は頭の大きさと、おしりから3節目にあるクリーム色の雌斑(卵巣)の有無で判断します。通常、幼虫の頭はオスの方が大きいですが、脱皮直後などは雌でも頭が大きく判断が難しいです。
割り出し時点で判別できなくても、3齢幼虫まで成長すればオスの方が明らかに大きくなるので、2本目の菌糸ビン交換までに判別が出来ていれば大丈夫です。 


【菌糸ビン交換】

1本目の菌糸ビンに投入後、4~4.5か月ほど経過したらオスの菌糸ビンの交換を行っていきます。

メスは交換せず、このまま羽化まで管理します。

この時期になるとオスの幼虫はビンの7割ほどを食い上げ、見た目でも頭と体が格段に大きくなり、1400㏄ビンが狭く感じるほどになりますので、オスとメスの判別は容易になります。

幼虫を入れる3200㏄ビンは、予め菌糸の中央に直径5㎝程の穴をビン底まで開けておき、ここに幼虫を頭から潜らせるように入れてあげます。

幼虫がビン底に転落して傷つかないように、幼虫を入れる前に穴の側面を削ってオガでビン底にクッションを作ってあげると安全です。

ブリーダーによっては、1本目の食痕や幼虫の糞を穴の底に入れる方もいますが、この場合は1本目の菌糸ビンにカビやコバエがいないことを必ず確認してから行ってください。

万が一カビやコバエが混入してしまうと、新しい菌糸ビンにカビやコバエが移り住んでしまい、瞬く間に台無しになってしまうので注意しましょう。

多くのブリーダーは、菌糸ビンの交換時に幼虫の体重を測定します。

この時点で70gオーバーなら100mmは堅いと思います。

70gに乗っていなくても体色が白くて透明感があり、首元の皺がパツパツになっていなければまだまだ伸びしろがあるので今後に期待が持てます。

逆に、体色が黄色く皺に余裕がない個体は後伸びはあまり期待できないでしょう。

3200㏄ビンに投入し、幼虫が潜っていったら蓋をして、後は羽化まで待つだけです。

引き続き20℃の温度帯で管理し、キノコの除去や劣化の確認は定期的に実施してください。

【余談】
サムネイルのスマトラオオヒラタ(104mm)は交換時の体重は48gしかありませんでした。
というのも、じつは1本目に使用した菌糸がヒラタケだったので成長が遅かった為です。(菌種による成長速度の違いを実験していたため)

この個体は初夏に産卵させて得られた幼虫で、気温の高い夏~秋を25℃帯でヒラタケ菌糸で飼育し、気温が下がって20℃管理が出来る時期にオオヒラタケ(3200㏄)に投入という少し特殊な菌糸リレーから作出しております。
この飼育法は、夏場の高温を下げきれない場合の裏技として使えるのではないかと思います。

ただし、エサ交換のショックで蛹化した場合、1本目で大きく育っていない分、羽化サイズも小さくなるという欠点があるので、大型化の再現性という点で難点がある飼育法とも思います。


【交換から3~4か月後】

この時期になると幼虫の体色が黄色くなり、ビンの中を徘徊するようになります。

一見すると暴れのように見えますが、蛹室を作る前に行うワンダリングという行動なので、特に何もしなくて良いです。

ワンダリングの痕から劣化や青カビが生じる場合もありますが、新しいビンに入れても結局同じことを繰り返すので、無視して問題ありません。
蛹室を形成するのを気長に待ちましょう。


【蛹室形成】

蛹室の壁面は糞などの体液でこげ茶色になっている

蛹室を形成したら、基本的には菌糸ビンには触らずに管理することが望ましいですが、例外的に下記のような事例が生じた場合は露天掘り人工蛹室で対処してください。

人工蛹室で羽化したマナドヒラタ 羽が閉じなかったので絆創膏で応急処置

≪露天掘りor人工蛹室へ移すケース≫
蛹室の内部にキノコが生えてきた場合
(キノコによって羽化不全や蛹が潰れることを防ぐため)
 
蛹室の周りの土が水分過多で薄茶色くなっている場合
(窒息や蒸れ防止のため)
 
蛹室が崩れそうな場合
(羽化不全の原因)

なお、前蛹期や蛹になりたての半透明な時期は非常にデリケートなので、蛹室を掘るのはおススメしません。

また、前蛹でもまだ顎や脚が動く段階で蛹室を壊すと、別の場所に移動して再度蛹室を形成しようとしますが、途中で力尽きて死亡したり、無事に羽化できても想定より小さく羽化してしまう場合があるので、ブリード歴の浅い方は前蛹での取り出しは控えた方が無難です。


【蛹~羽化】

この蛹が104mmUPとして羽化した

蛹になって2ヵ月ほど経過すると、成虫の身体が表皮から透けて見え、いよいよ羽化となります。

クワガタにとって羽化は命がけの行為で、特に大型個体にとっては難所とも言えます。

様子が気になる気持ちはわかりますが、無用なストレスを与えればクワガタの生命に関わりますので、ぐっと耐えて無事に羽化するのを祈りましょう。

羽化したクワガタは、蛹室の中で身体が固まるまでじっとしています。
羽化して数週間は内臓器官を形成している過程でとてもデリケートなので、蛹室から掘り出すのは、羽化後1か月以上経過してからにしましょう。

身体が固まっても、新成虫はすぐにはエサを食べずに休眠します。

休眠中は湿らせたティッシュや水苔、広葉樹マットを敷いたケースの中で個別管理し、25℃以下の涼しい場所で管理します。

新成虫はエサを食べるまでは水分のみで生きているので、乾燥に気を付けて霧吹きなどで保水を行ってください。

個体や管理温度にもよりますが、羽化から2~3か月もすると、ケース内を徘徊するようになります。

新成虫と一緒に入れておいたティッシュがボロボロになって、その上を歩き回っているようなら活動開始と判断し、エサ(昆虫ゼリー)を少量与えて後食(エサを食べること)するか様子を見てください。

後食が確認できれば、通常の成虫飼育に移っていただいて大丈夫です。


【まとめ】

本記事では、100mmを超えるスマトラオオヒラタの飼育ノウハウについて解説しました。
要点をまとめると下記のとおりです。

  • 大型個体を羽化させるには、通年20℃で管理することが重要

  • オオヒラタケなら容易に大きくなる

  • 菌糸ビンは適切な容量を用いて、ベストなタイミングで交換する

最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事がお役に立てれば幸いです。

それではまた!

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