いつも気づくのが5年遅い(2)

さてさて、弊社コピーライターの求人に応募してくれた33歳、未経験の彼女。前の記事で「人がらは申し分ない」と書いたけれど、頭の回転が早いし、ユーモアもあって、発想力にも期待できそう。

ただ、どうしてもひっかかるのが年齢と性別だ。

女性だろうが、いくつだろうが、既婚だろうが、子持ちだろうが、純粋に能力で評価されるべき、という理想は理解できるものの、現実が追いつかない。
よりによって、彼女は少し年上の男性と入籍したばかりだというのだ。

愛する人と新しい生活を始めるという、本来なら喜ばしいはずの事柄が、こと妙齢の女性の転職というシーンにあってはこんなにも微妙な空気をつくりだしてしまう。これが現実だ。

もちろん彼女もそのことを承知しているから、キャリアビジョンを問うたヒアリングシートには

転職後5年は仕事に集中したい。そしてできれば38歳までに出産したい

と書かれていた。


未経験から5年でどこまでできる?
38歳で出産するのに5年集中できる?
本当に出産は38歳でいいの?
出産後、復帰するという保証は?

決して口には出せないし、仮に聞いたとしても誰にも答えられない疑問が頭をよぎる。
ああ、彼女があと5歳若ければ…

こういうことはわたしにも経験がある。誰かに言われたのではなく、自責の念として。
なぜあの時、気づかなかったのか。
なぜあの時、こうしなかったのか。
これは「あの時」から5年分いろいろな経験をした今のわたしだから分かることでしかないのだけれど。

こんな後悔を少しでもしなくて済むためにできることってなんだろう。経験の濃度を上げるとか?

ちなみに、弊社は彼女に内定を出した。
だから、春からは彼女と一緒に働けるとばかり思っていたのに、なんと辞退されてしまった。
「逃した」ならぬ「逃げた」魚は果たして大きかったのだろうか?

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