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今村昌弘 『魔眼の匣の殺人』 読書感想

こんんちは、ジニーです。

だいぶ溜め込んでしまった読書感想。
年末年始でできるだけ更新していきます。

まずは、今村昌弘さんの「魔眼の匣の殺人」。
ずっとずっと文庫化されるのを持っていた作品の一つです。

この作品は、今村昌弘さんのデビュー作でもある「屍人荘の殺人」の続編である本作。
葉村 譲(はむらゆずる)と剣崎 比留子(けんざきひるこ)の二人を主人公にしたバディ系の探偵ものミステリです。

前作の感想はこちらから読んでいただけると嬉しいです。


■作品の簡単な説明

「屍人荘の殺人」で存在が明るみになった「班目機関」を追い1冊のオカルト雑誌。
そこに載っていたある預言者に関する記事に、「屍人荘の殺人」の惨劇が事前に予言されていたことを知り、葉村と剣崎の二人はその予言者に会いに行くことになります。
無事に予言者に会うことはできたものの、そこで新たな予言を聴くことになります。

【あと二日のうちに、この地で四人死ぬ】

この予言が一つずつ実現してしまう状況の中で、この窮地をどう脱するのか?
そして、続く「死」は本当に予言によるものなのか?

■「予言」を上手に活かしたミステリー

前作「屍人荘の殺人」は前代未聞のクローズドサークルの形成と、それだけに頼らない本格派のミステリで各賞を総ナメし話題となりましたが、今作は「予言」をベースに置いたミステリ。
同様にクローズドサークルの中での殺人事件と謎解きになるのですが割とそのクローズドサークル自体は割とありふれたものです。
しかし、何よりも「予言」の使い方が非常にうまい。
というか、こんな風に「予言」を扱うと、ミステリとしての奥深さと複雑さが増して、濃厚な作品になるとは。

読むほどに先が知りたくなり、ドンドンと読み進めてしまう。
次が気になって仕方がなくなる。
そんな引き込まれる力がハンパないのが本作の魅力。

■謎解きのあとのもう一押しがまた秀逸

謎解きから、その後に明かされるもう一つの真相。
これは読んだ人にしかわからない驚きだと思います。
気付かぬうちに作者の手の上で転がされていた感じ、ひとりでも多くの方に味わっていただきたいものです。

2作目にしてこのクオリティ。
改めて凄い作家さんですね。
本作の続編となる作品も発表されており、そちらの文庫化も待ち遠しいです。

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