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コロナ禍在宅看取り10(在宅介護スタート)読んだ本に救われた

母の退院の日も決まり、ベッドや介護用品の買い物も妹と済ませ
あとは退院を待つだけになり、他に何かしておくことはないかなと考えたとき
思い出した主治医の言葉。

最期のときは救急車は呼ばないでください。
慌てて救急車を呼んでしまう家族の方もおられるそうで、言われた言葉でした。

積極的な治療をやめるということはそういうこと。
頭ではわかっているつもりでも、確かにどんなふうに息を引き取るのかなんて
知らない。
病院で亡くなることしか知らないし、それさえも経験したことがない。

義理の父からも、子どもたちに衰弱していく人間を見せるのは
ショッキングなのではないかと心配されました。
確かに、そんな細かいことまで考えられていなかったし
今はまだ元気な母が衰弱していく姿まで想像することができていませんでした。

何か前もって情報を入れておかないと、本当にその時を迎えたら
心が壊れてしまうかもしれないと思いました。

わたしでなくとも、妹たちや父の心が耐えられないかもしれないと。

本人も含めて話し合った際、痛みをコントロールできなくなったり
意識の混濁で暴れたりなどの症状が出た際は
迷わずホスピスへ再入院ということだけは決めていました。

ただやはり人間が病院以外の場所で息を引き取る経験を
誰もしたことがない状況は母にとっても良くないことだと思いましたし
本人が一番怖いのに、周りの家族が慌てていたら家の中は混乱すると。

そんな中出会ったのが玉置妙憂さんの『死にゆく人の心に寄りそう』

旦那さんを在宅で看取られた元看護師の方で出家されている彼女が書いた本。

どうやってこの本に辿り着けたのか記憶がないのですが
人が亡くなるときに辿る経過を淡々と記してあり
旦那さんとの日々や出家に至るまでの経緯や修行の様子も記されています。

【人は必ずいつか死ぬ】という当たり前のことを教えてくれるとともに
みんないつか死ぬのに、どうして死に方を知らないのだろう
とも考えさせられました。

自然死は稀なことかもしれないけれど
病気でも最期は自然に自分の死に方を選んでもいいんだと気付かされました。

わたしはどうしたいかな

母よりも自身についても考えさせられました。
わたしは弱虫で寂しがりやなので
姉妹や子どもたちに会えなくても
病院で痛みや恐怖を和らげてもらいたいとも思いました。

いざとなればわかりませが
死に立ち会う前に絶対に読んでほしいと思う一冊だったので
流石に本人には渡していませんが、妹たちと父には読んでもらいました。

この一冊がなければ本当の意味で腹を括ることはできなかったと思いますし
これを読んでいたことで家族全員がその時を冷静に見極め
最適な時期に集まり、ごく自然に騒ぐことなく母を見送ることができたと思っています。

介護を始める方や、在宅看取りを検討されている方以外にも
のこ記事を読んだ方みんなに読んでいただきたいなと思う一冊で
私たちはこの一冊に本当に助けられながら生活していたように思います。

母が残りの時間を平穏に過ごせるように
自分たちの気持ちを冷静に保つためにたくさんの書籍を読みました。
がん治療の本や先進医療の本、宗教関連の本や、死後の世界を書いた本。

心のトレーニングが今の私たちの生活を作ったと思っています。
スピリチュアルでも宗教でもなく、自分の心を守れるのは自分だけです。
知ることは、心を強くし、人に優しくなれることだと知りました。