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「何か言い足りてないことはないですか?」

本は遅効性のメディアだとつくづく思う。
先日もそう思ったばかりだ。

今回の主役となる一冊は『行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88』(宮本恵理子・著/ダイヤモンド社)。

タイトルの通り、インタビューに関して多くを学べる一冊だ。

この本の後半、199ページにはこういうことが書いてあった。

(インタビューのラスト3分で相手が誰でも必ず聞く質問は)
『何か言い足りてないことはないですか?』

最初に読んだときの感想を正直言うと、「えー!そんなばかな」だった。どういうことかと言うと、インタビュイーは質問を受けて答える人だから、その人に「では最後に一言」というようなことはかえって相手を困らせてしまうのではないかと思ったのだ。

そんなファーストインプレッションに引っ張られたのか、しばらく僕はこのことを忘れてしまっていた。だが、先週くらいからユーザーインタビューの機会を毎日いただけるようになって、ふっとこの一節を思い出したのだった。

『何か言い足りてないことはないですか?』

あるインタビューで恐る恐る聞いてみた。するとどうだ。答えてくれたぞ!
意気揚々と次の人にも聞いてみた。また答えてくれた!そうやって試してみると、5人中3人~4人は何かを言ってくれた。これは…なんだ?と思った。

本書では、この質問をすることで話してが「今日言いたいことは十分に話しきれた」と感じることで満足感が上がると書かれていた。

実際にそうかは確かめていないが、確かにちょっとすっきりしているようにも見えなくもない。ある人からは、インタビューに関係のない企業サービスに対する不満が出てきた。よっぽど言いたかったのだ。

『何か言い足りてないことはないですか?』

これは最近のお決まりフレーズになった。なんだか言い切るのがこそばゆいのもあるので『最後になりますが、これ言っておきたいなあ、言い忘れていたなぁ、あるいは話しているうちに思い出したことがあればぜひ聞かせてください!』と伝えるようになってから自分にはしっくりくるようになった。

本はほんとに遅れて届くなぁ。
それがとても頼もしい。
ま、届かなくてもそれ自体に価値があるのだけど。


22/01/18

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