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著名な作品をすべて絶賛する必要はない

わたしは趣味で小説を書いたりするのだけれど、同じくらいに読書も大好き。

昨今のベストセラーと言われるものもいいけれど、大正、昭和、平成初期の頃の好きな作家の小説をじっくり読むもの大好きです。


よく、芥川賞や直木賞が発表された直後には、もう芥川賞作品は読む価値がないというニュアンスの発言を見聞きするけれど、1冊2冊しか読んでいない人が言っていることのような気がしてなりません。


そうとう昔の作品を除いて数十作を読んでいるけれど、やはり芥川賞をとるような作品はひと味違います。

しっかりまとまっているし、新しい視点なども含まれています。

その時代を見据えた作品もあるし、こんな世界これまで見たことがない! と驚愕するものもあります。


◇◇◇

しかしだからと言って、すべての受賞作を賛美するつもりはありません。

正直、首を傾げたくなるものもあります。

自分がついていけないだけかもしれないけれど、「これが受賞作と言われても……」とまったく納得できない作品もあります。

大方の人が素晴らしいとか、褒めちぎっても、自分自身の感覚で納得できなければそれは認められない。

(だからといって、どこかに悪口を書いたりはしませんよ。)


作家の先生が褒めているから、評論家が大絶賛しているから、ものすごく売れているから……

いろいろな理由で自分もその作品を良いと感じなければならない。

感じられないのは自分の読む力が不足しているからだ……。


そんなふうに思う人もいるかも知れないけれど、まったくそんなことありません。

もしかしたら、本当にまだ読解力が不足しているのかもしれません。

そういう可能性はないわけではない。


だけど、読書とか芸術鑑賞って、その時までの自分の経験や考え方などによって、いくらでも解釈が変わってくるし、感じられる幅も異なるものだと思います。

まだ分からないのなら、それでいいのだと思います。

いつか時間が経過し、今よりも多くのことを経験したあとに鑑賞したときには別の感情が湧くのかもしれないし。

それは個人差があって当然でしょう。その感受性や感じ方、理解力が個性です。

だから今、理解できないとがっかりする必要はありません。


わたしが言っているのはそういうことではなくて、

ある作品に対して誰かが価値を認めているからといって、
あなたも同じように価値を感じなければならないかといえばそんなことはないということです。


芥川賞とか権威があると言われているような賞を獲得した作品であっても、良さが分からなければそれでいい。
それで正解だということです。



★言葉による芸術が文芸作品です。芸術家のすごいところはそれまで誰も見たこと感じたことのない世界を形にすることかと思います。

自分の既成概念にないまったく新しいものに出会った時、人は拒絶反応を示すのが当然ではないでしょうか。

自分の中にこれまでなかった新しい世界や考え方や登場人物や文体を目にした時、「なんだこれは! まったく分からん!」という感想を持ち、思考停止。その先を読み解こうとチャレンジするのをやめてしまわないように、心がけようと思っています。(実際には、寄り添えなくて読むのやーめた! となることもしばしばですけど)

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