見出し画像

ドライいちじく、天日干しにするかオーブンで焼くか

同じ素材を使っていても、手順や工程が異なると仕上がりに差が出ることがある。

私はいい加減な人間なものだから、レシピ通りにきっちり計量したり手順を踏んだりするのが割と苦手ですが、ジャムを作る時は日持ちさせる意味でも果実の重量の40%以上の砂糖をまぶして煮る、ホワイトソースを作る時はバターで小麦粉を炒めたらダマにならないように少しずつ牛乳を加える、メレンゲを作る時は卵白を軽く解きほぐしたら砂糖を少し加え、少し泡立てたら砂糖を加え、…と繰り返して角を立たせる、など、理由がわかることはそれに沿うようにしています。

化学反応よろしく、料理はひとつ手を加えると変化が生まれます。

加える手の意味の違いを考えないまま、同じものを作ろうとして1回目と2回目とで異なる工程で作ったら、仕上がりが大きく異なることがありました。

8月下旬~9月頭頃。
庭のいちじくの木についた実がぷっくりとして、木の周辺には怠惰な甘ったるい午後を思わせる匂いが漂ってきます。

画像1

いちじくはミネラルがたっぷりな上に植物性エストロゲンを含み、女性には特にいいと聞くので、まだ鳥や虫にかじられていない実の一部をドライフルーツにすることに。

自宅でドライフルーツにするには、天日干しにする、または100℃に設定したオーブンで焼いて水分を飛ばす、の2パターンあります。

天気がいいから、天日干しすることに。採ったいちじくをよく洗い1/4程度に切って、干し網に入れて天日干しにすること3,4日。くるんと丸まって触っても水分が指につかない程度になったら完成です。

画像2

これがものすごく美味しくて。うちのいちじくは農薬も甘くさせるための肥料撒きもしておらず、ねっとり熟したものは鳥や虫との競争で、まだ少し早いかなというものは歯触りはさっくりしており甘みがもの足りず。
それが、天日干しにしたものは水分が抜けて甘みがぎゅっと凝縮し、いちじくだけどどことなくほっくりとした匂いが混ざり、ちょっと口さみしい時に食べるのにうってつけの仕上がりです。
セミドライにするのも、しっかり干してカラカラにするのもお好みで。いずれの場合も念のため早めに食べるか冷凍保存を。

画像3

家でこんなに美味しい保存食が作れるなら、と、欲張って第二弾を作ることに。
今度は天気がぐずつきがちなので、オーブンで。
天板にクッキングシートを敷き、天日干しと同じく1/4程度にカットしたいちじくを並べ、100℃に設定したオーブンで90分、裏に返して30分焼く。

画像4


すると……
果実から蜜が漏れている……。

画像6

画像7

きっといっぺんに水分を飛ばそうとしたからか、実の変化に水分の変化が追いつかなかったからか、実の周りに出た蜜が水たまりのようになっており、茶色く焼けている。
少しその部分を食べてみると、安納芋を思わせる甘さの蜜が焼けてカリカリに飴状態になっていて、これはこれで美味しいけど、全部をクッキングシートから剥がしきれない。
一番の美味しいエッセンスなのに……。
焼いた実はそれはそれで甘さは残っているけど、先日の天日干しにした方が甘みがしっかりあり、食べやすい。

画像7

状態を急に変化させるのではなく、日の力を借りてじんわり自然に水分を飛ばしたから、天日干しはうまくいったのでしょう。甘みや栄養素を逃さずに水分だけが抜けるなら万々歳。いちじくの場合はわかりませんが、椎茸は天日干しにするとビタミンDなどの栄養素が増えると聞きます。紫外線などの強い光から身を守ろうとして、干しているものの栄養価が上がるそうです。
(参照元 https://kinokokumiai.or.jp/blog/1603/

そして何より、天日干しなら電気を食わない。

オーブンで焼くメリットは、
●早くできる、計画を立てやすい、次々に作りやすい
●天候が悪くてもできる
といったところでしょうか。

天候に左右されてしまい計算しきれない面は否めないけど、できるなら急がず自然の力を借りてドライフルーツを作りたい。
様子を窺い変化を観察しながらのんびりと待つのも楽しいものです。

さて、今年もドライいちじくを作りますか。

画像8


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?