#459 業務が多いから人を増やす、は実はあんまりいい手ではない。
実は、担当している人の人数が忙しさの本当の理由ではなかったりするなぁ、と思ったので、メモ。
1、どこも「忙しい」理由。
営業部門の人事総務を担当してますが、これ、真剣にやると、結局はリソース配分の最適化、つまりは限られた人をどこにどれだけ配置するか、という話になるのですが、どこも自分のところはとても出せる人はいない、むしろもっと欲しい、となります。
ただ、営業は比較的話が簡単なのは、「目標も一緒に持ってね」と言えば、本当に必要かどうか数字で判断できてラクです(まぁ、それでもいろいろありますが)。
問題は、ミドルバックの部署。
業務量調査とかして、何とかリソースの逼迫具合を示そうとします。
となると、何が起こるか?
調査をした結果、「実は暇でした」とは言えませんから、考えられる業務を全て盛り込んできます。そしてそれぞれの業務にいかに手間がかかるか、を詳細に報告しようとします。
私はどちらかといえば、「何も言ってこない部署」が心配です。なぜなら、「忙しすぎて業務量調査なんてやってられない」という状況になっている可能性があるからです。もっとひどくなると、「人は欲しいけど教えているヒマもないのでムリ。だから今はいらない。」というケースもあります。
つまり、「忙しい」と騒がない部署を含めてみんな「忙しい」のです。
まぁ、本当にヒマなところも騒がないでしょうが、いまどきなかなかないと思います…
2、「人を増やす」で解決するか?
では、「忙しい」は人を増やして解決するでしょうか?
実は、そうではないケースが結構あります。
例外としては、業務が標準化、マニュアル化されていて、新しい人でも比較的短期間で戦力となるケースです。
ではなぜそれ以外のケースでは人を増やしても「忙しい」は解決しないのでしょうか?
それは、「コミュニケーションコスト」が発生するからです。
1人でやっている時は、全部自分でコントロールできます。
ところが2人になると、業務を分け合うことになりますので、当然、「連携」が必要です。
同じ場面でも2人いるとそれをどう解釈するか、も意外なほど違ったりします。ですから、「認識合わせ」も必要です。
そして、最終的なアウトプットというか、成果物もそれぞれの作業を「統合」する手間も発生します。
こうした、「連携」「認識合わせ」「統合」といったものは、1人でやっていると発生しません。あるいは、複数人でやっていても、長年同じメンバーでやっていると、最低限で済んでいる場合が多くあります。
こうした業務が忙しいから、と増員すると、「コミュニケーションコスト」が発生して処理スピードが落ちたり、そもそも教えられない、極端な場合、新しい人がどうして良いかわからず、下手をすると不満を持って辞めてしまう、という問題が発生したりします。
つまり、忙しいのは増員では解決できない、のです。
3、まとめ
いかがでしたでしょうか?
単なる増員では忙しさは解決しないケースもありますよ、という話でした。
なんだ当たり前じゃん、というところですが、問題の根本はどこにあるのでしょうか?
そうです。業務の見える化がされていない、ということです。
ある業務を長く担当している人がいて、上司は何回か変わっている、という場合に起こりがちで、新人の管理職は着任時こそ業務内容やフローなどを理解しようとしますが、長く担当している人からすると、そもそも当たり前すぎるので、人に説明することができなかったり、立ち入られたくないので、詳しくは説明しない、というケースが見られます。
そのうち、問題なく業務が回っているなら、まぁ、いっか、ということになり、見える化がなされないまま放置されます。
放置といっても問題が起こるわけではないので、優先順位としても低く、また責任者が交代、というパターンです。
こうなってくると、怖くて異動もさせられません。結果、ますますブラックボックス化が進みます。
今回は、増員しても問題が解決しない、と指摘しましたが、むしろ思い切って担当を異動させることが解決策になるかもしれません。
大抵の場合、ろくな引き継ぎメモも作成されず、しばらく大変なことになりますが、意外なほど早期に収束するものです。
「あの業務は○○さんでないとわからない」という状態はリスクでしかありません。見える化に協力してもらえないなら、異動を契機に業務フローの見直しにつなげてもいいかもしれません。
人事担当としては、現在の担当の方の次を見つけるのが難しい、という課題もあったりするのですが…
最後までお読みいただきありがとうございます。
例によって個人的な経験によるものですが、どこか参考になるところがあれば幸いです。