朗読LIVE 147 古パン(前半)
翻訳されたテキストって、朗読しにくいなぁ、と思うことが多い。もちろん、翻訳されている方々を心の底から尊敬しているし、そこを問題にするつもりはない。
物事の説明の仕方だったり、話の進め方だったり、というような、ただ文字を置き換えただけでは不十分なところが出てくる。原文の調子は大事にしたいから離れ切るわけにもいかない。しかし日本語だと語順も違うから、どうしてもギクシャク感が残るんだろう。そうすると、日本語としてのリズムが狂うので、意味理解はできるけど、特に声に出すと読みにくいと感じるんだろう。いかにも翻訳モノという調子のものも、それはそれでいいんだろうけど。なんかちょっと居心地が悪い。
読み方という点で今回迷ったのが、「強いドイツ語訛り」の表現をどうするか。下に貼った訳では、少し言葉を変えてある。しかし大津訳では、言葉自体は標準語である。とすると、ドイツ語っぽく話すってどうするんだ。音の抑揚? 喉鳴らして音を出す? もちろん、ドイツ語訛りの日本語ってあるのだろうけれど、少なくとも私にはドイツ語訛りだろうが英語訛りだろうが、区別はつかない(身近にいないから聞いたことなくて分からない、というだけかもしれない)。
もっと困るのは、下手にやってしまった時に醸し出されるその人の雰囲気だ。ドイツ語訛りで話す中年男、というのが、どんな人物像だと彼の国では想像されるのか。ドイツ語訛りの日本語と思われる調子で読んだ時に日本人が感じる姿とはきっと違うと思うのだ。
エスニック・ジョークの界隈では、ドイツ人というのは、真面目でルールに従う人たちという扱いらしいが…、
(恋人がドイツ人は地獄だそうですよ…。)
カッチリ真面目な遠近法の誤りが気になる画家…、どんなしゃべりかたやねーん!
ということで、ドイツ語訛りというのはおいといて、大津訳の意図に沿って(多分)真面目そうな感じに読むことにした。
文中に書かれていないのに、声に乗せた途端にイメージがついてしまうものをどうするのか。もちろん、そこは読み手の解釈で、ということになるが、訳文だと、翻訳者の解釈が挟まる分、より厄介になるのかもしれない。
古パン(前半) オー・ヘンリー
【確認不足で、朗読を公開できなくなりました】
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