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未来について林伸次さんと語ろう 小説家はbarにいる⑤

林伸次さん初の小説「恋はいつもなにげなく始まって、なにげなく終わる。」
出版記念インタビューも、いよいよ最終回です。

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小説の映像化について考えてみた

―冒頭でも触れましたが、この本には21の短編があります。そのうちの20話には実在する曲が紐付いているのに、最後のお話だけ、雰囲気が違っています。あの曲はどんな曲なんですか?

林 あれは架空の曲ですね。あの場面に出てくる映画のテーマソングという風にして、勝手に歌詞を作りました。最初から挿入歌があればいいかなあって。映像化した時に、誰かが作ってくれればいいなと。

―映像化するとしたら、どんな感じがいいですか。映画、それともテレビですか。

 僕は10分×3本のテレビ番組が一番いいと思っていて。真夜中に放送して。

―たしかに、それだとさくっと見られそうですね。

林 お酒の広告が出たりして。みんながあのドラマいいよねって、楽しみにしてて。「なんかあの話好き、おしゃれで」みたいなのがいいですね。

―役者さんやスタッフ陣が魅力的だとなおいいです。

林 映像化でうまくいった話とかも聞くんですけど、著者には、どうしたらうまくいくのかがわからないらしいんですよ。
(スタッフが)有名な作品を手掛けてるからいいというわけでもないようですし。

―それこそ、こちらにはテレビのプロデューサーとか来店されるんじゃないですか?映像化の話はむしろ編集者とかライツの方が担当かもしれないですが……

林 そうですね。そういうものの決定権は僕にはないですね。

―でも、原作者は嫌なものはノーと言えますよ。脚本にも。改変は怒る権利もあるし。

林 そうなんですね。本作りに関しては、書いて渡したものは4割くらいしか残ってなくて。編集者の中で、何がいいか決まってるんです。本当に編集者は監督で、自分は脚本家みたいな位置なんだなと。

―いっそ、林さんが自分で映像化用の脚本を書くのもありだと思います。

  実は加藤(貞顕)さんに、「林さん、本当は脚本家になった方がいいと思うよ」って言われたんですよ。加藤さんは人の才能が見るのが大好きで、変な人なんですよ。彼に言われたというのとは、向いてるのかなあと。

―向いてそうな気がします。

林 書き方について、色々なことを覚えなくちゃいけないじゃないですか。あれって難しいんですか。

―簡単ではないと思いますけど、1人で全部自分の原作を脚本にするのは、いいのではないかという気がします。それだとクオリティコントロールが効きますし。役者の選定はわからないですが、「この人がいい」くらいは言えるのではないかと。

林  そういえば、村上春樹も脚本家になりたかったんですよね。大学で、脚本を読むのが趣味だったらしいです。

―みんな村上春樹みたいな小説家を目指しているのに!そうだったんですね。やっぱり脚本と小説って違いますもんね。

そうそう、なんで映像化の話をしたかというと、小説の中に出てきた曲を流して、それに合わせて朗読してみたら面白かったんですよ。ドラマになったらいいですよね。いいところでテーマとなる曲を流して。お酒や楽曲の情報がテロップで出たりして。

林 作品の映像まで思いついてくれたんですね。ありがとうございます。

―3分くらいの曲も多いから、ちょうどいいかもしれないですね。10分のドラマとか。オープニング、エンディングをつけて。……すいません勝手に盛り上がって。

 この記事が発表されたら、竹村(優子)さんは必ず読んでくれるんですよ。他にも多分いろんな人が目を通して、「こうすれば面白いんじゃない」って言ってくれる。だから、アイディアを書いてくれると助かります。

小説家、林伸次の次作について

―名残惜しいですが、これが最後の質問です。次の本は何を出したいですか?

林 この本(「恋はなにげなく始まってなにげなく終わる。」)が売れたら、絵本版が作りたいです。ファンタジーみたいな話で、月にあるバーに、お客が来店する。そういう話があるので、まとめて本にしたいなと。でも絵本って売れないですよね。だから、もし本が売れたら別バージョンということでやれたらなあ。

―音楽がつくといいですね。

林 そうですね。もうCDは難しいし、そのページから音楽が流れればいいんですけどね。

―デジタル配信にすると違ってきてしまいますよね。(思いついて)林さんが同人誌を作って手売りしたら面白いですけどね。CDつきで3千円くらいで。バーテンダーの正装で売ってたら面白い。絵的に。都内開催の、創作系のイベントなんかいいんじゃないでしょうか。

林 そういうイベントに行ったことがないんですが、そこで売っているのは、紙の本だけなんですか?

―アクセサリーや文具、ゲームなども売ってたりします。ただ、こういう場所はまだまだ紙の本が尊ばれます。作者と会って、しゃべって。そういう時に紙は重要で。デジタルだと少し物足りない。

 対面なのに「じゃあ、ここダウンロードしてください」だと味気ないですもんね。

―そうですね。もし林さんがブースを出すことになったら、買いに行きます!今日は本当にありがとうございました。

 ありがとうございました。

noteやWEBの記事、SNSなどで紡がれる林さんの文章。その文体は、現実の語りと違和感がなく、驚くとともになんだかそこに嬉しさを感じました。これからも様々な林ワールドの断片を楽しんでいきたいです。林さん、本当にありがとうございました。そして最後まで読んでいただいた方、感謝いたします。



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