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「かわいい」はすべて料理本が教えてくれた(そしてそれはつづく)


ある対象を「かわいい」と感じること。

それは本当に人それぞれで、それこそ育ってきた環境、与えられるものによって大きく変わる気がしています。いったいその価値観はどうやって作られていくのでしょうか。いろいろな人にかぶりついて聞きたいくらい興味のあるテーマですが、まずは自分の話をしてみます。

私に「かわいい」を教えてくれたのは、料理本です。中でもこちらの本の影響は絶大でした。

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「キッチンへおいでよ」と「ランチはいかが」。少女小説家の小林深雪先生が作った本で、子ども時代に買った初めての料理本になります。

表紙のチェックやストライプのテーブルクロス、いちごのタルトの華やかさ、ハンバーガーのちょっとやんちゃなたたずまい。それらに魅了され、手に取りました。

この二冊は何度回しても「かわいい」が出るガチャのようなものでした。くまの容器に入ったはちみつも、カラフルで端正な英字フォントも、一口サイズの手まり寿司も、全てが愛らしくときめいてしまう。問答無用の力によって感嘆が止まらなくなるのでした。

その力が「デザイン」というものであることを、大人になってから知りました。ものの掛け合わせが効果を生むこと、写真やスタイリングといった「見せ方」の重要性。そういったものをこの本から無意識に学んでいた気がします。

そうそう、文章で「かわいい」を描けることを知ったのもこの本のおかげです。思い出のエピソードに料理やお菓子、恋愛などをうまく取り入れると、きゅんとする話になることを教わりました。


さて、時は流れて2018年の終わりごろ。すっかり大人になった私の前に、突然「かわいい」本が現れました。これは行きつけの本屋で出会ったもので、一目見てノックダウンされました。

表紙のパン、反則ではないでしょうか。レッドカードで心の競技場から即退場しかねないかわいさです。

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タイトルはずばり「花と料理」。作者はフラワースタイリストの平井かずみさん、料理家の渡辺有子さん、「ほぼ日」の「VERRY MERRY EVERYDAY to you」でおなじみのフォトグラファー、大段まちこさん。

気になる中身は365日、日めくりの写真集です。毎日花か料理(もしくは両方)が載っているので、自分や周囲の大切な人、推しの誕生日の内容を確認するという楽しみ方があります。ちなみに今日(5月10日)はシンジュバのリース。可憐で爽やかな一品です。作り方も書いてあります。

子供の時は、ある程度ポップで楽しいかわいさを欲していました。でも、今ほしいのは、洗練されたかわいさ。この本はそれがすみずみまで行き届いていて、読んでいると多幸感にあふれます。購入してからもうだいぶ経ったけれど、一日の終わりに、次の日のページを眺めるのがずっと日課になっています。

プロが全力で「かわいい」を詰め込んだ料理本は、私の良き先生です。この先もまた、新たな一冊に出会えることを願って。



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